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あの大惨事をもたらした阪神・淡路大震災から10年が経ちました。6400人を越える犠牲者を出し、マヒ状態にあった行政機関に代わり130万人を超えるボランティアがその救援に動きました。そのことは「ボランティア元年」とも評され、その後、ボランティア活動などを支援するための法案の成立に向けて大きな役割を果たしました。その2年後、冬の日本海で起きたロシアのタンカー“ナホトカ号”の重油事故は海岸を真っ黒に染め、この重油災害においても数万人を数えるボランティアが自発的に行動し、人海戦術による重油の回収が福井県を中心に日本海沿岸の各地で展開されました。それ以降、幸いなことに大きな油の流出事故は起きていませんが、水害や地震、あるいは火山災害など多くの自然災害が発生し、それぞれの現場においてボランティアによる救援活動がなされてきました。
昨年は7月の新潟・福井の集中豪雨による水害に始まり、本土に上陸した台風の数が10を数え、各地で大きな被害をもたらしました。10月23日には新潟中越地方を中心に大地震が襲い、次から次へとまさに災害の当たり年かのようでした。そんな中、延べ数10万人を超えるボランティアがそれぞれの被災地で活動しました。大規模災害時のボランティアによる復旧・復興活動はいまや必要不可欠なものであることは広く一般に認識されてきました。特に行政機能が混乱しライフラインが断たれた場合には、自衛隊や消防等の救援活動に匹敵するほどの機動力やパワーを発揮してきました。
中でも森林ボランティアの専門性を生かした活動には際立ったものがありました。水害では濁流によって街中に流されてきた瓦礫や大きな流木、強風によって倒された樹木などそれらの処理にはチェーンソーが欠かせないからです。また地震での倒壊家屋からの家財道具を持ち出す際にも梁や柱を切断しながらの作業となります。加えて新潟では19年ぶりの大雪もあり、雪害木の処理などでも大きな働きをしていただきました。
この10年災害現場を多少経験した立場として言わせていただければ、人命救助の観点から地域の中で必ず持っていてもらいたい救援ツールとして次の5つがあげられます。ハンマー・バール・ロープ・最低1t以上のジャッキ・そしてエンジンチェーンソーです。特に地震においては、瓦礫の撤去はもちろんのこと、テコとなる材料を切り出すにも有効なツールといえます。
当然のことながら災害は忌わしいことではありますが、大規模災害でのボランティアによる救援活動は、いまや被災地の復興には欠かせぬものとなり、その活動は被災者へのエールにもなっています。乾ききった人間関係が象徴されるような事件が多い昨今ですが、被災地で活動する泥に塗れたボランティアを見るにつけ人と人の絆を改めて感じることができる災害救援活動の現場です。
◆災害救援活動でご協力いただいた森林ボランティア団体(順不同) 奥会津只見森林づくり倶楽部(福島) 日本森林ボランティア協会(大阪) 地球緑化センター(東京) かぐや姫なごみの里竹原(栃木) 秩父やすらぎ隊(埼玉) 小海やすらぎ隊(長野) 名栗さわらび隊(埼玉) 箱根KIKORI(神奈川) ふれあい筑波(茨城) みどり情報局?東京(東京) 浜仲間の会(東京)
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