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銀行の名前があまりくるくる変わるので、経済人でも、昔の何銀行がどういう経緯で今何銀行になったか、正確に理解している人は少ないだろう、という人もいる。
調べてみると、確かに大変な経歴だ。東京銀行と三菱銀行が合併して東京三菱銀行になったのは、命名に芸はないがまだしも理解できる。
しかし三井住友銀行の場合は、さくらと住友(以下、銀行を略する)が合併して三井住友になったのだが、理解するにはさくらの源から探らねばならない。1968年に日本相互が太陽と改名。1973年、太陽と神戸が合併して太陽神戸に。1990年太陽神戸と三井が合併して太陽神戸三井となる。合併しても三者が名前一つ譲らなかったということを示している。この太陽神戸三井が1992年にやっとさくらとなる。
一方住友の方は、1895年に住友として創設されたのを、1948年大阪と改名。財閥解体の時期である。しかし再び1952年には住友に戻り、その後、河内、平和相互などを吸収しながら、2001年にさくらと合併して三井住友になった。こうした合併劇と比べると、「昔の名前ででています」という流行歌の主人公さえ折り目正しく見えて来る。
みずほの場合も複雑だ。1948年に安田が名前を富士と変更。一方1971年に第一と日本勧業が合併して第一勧業になった。2002年の合併には、富士と第一勧業と日本興業の3行が加わった。
UFJは三和と東海の合併だが、この3文字名前を正確に言える人はあまり多くない。ケネディ大統領の頭文字を取ってJFKと言う人。空飛ぶ円盤と間違えてUFOと言う人。世の奥さんたちはほとんどMJB。コーヒーと混同している。
りそなに至ってはラテン語だそうだから、我々は意味もわからない。あさひと大和の合併だが、このあさひは1991年に協和と埼玉の合併でできた。りそなではなく、えこな銀行と言う人が多い。えこなオイルの壜は台所にある。
この合併の姿は、人間にすればそろばん弾いての政略結婚を思わせる。銀行が苦境に立ちだしたのは、合併名称の変更で何とか状況を打開できると思った頃からか。しかもいい名前をつける文学的才能のある人物が、銀行の世界に1人もいなかったことが証明された。
幸福だのトマトだのあおぞらだのしあわせだの「ふざけないで」と言いたい銀行名もある。今に、家族銀行、長寿銀行(マークは杖をついたお年寄り)、市民参加銀行、ふれあい銀行(女性社員に触らないでください、という注意がカウンターに出ている)、うねり銀行、横綱銀行、ノーベル銀行、おやじ銀行、出会いいやし銀行(出会い銀行といやし銀行の合併)、野球サッカー銀行、おしん大根銀行(商標は2本の大根のぶっ違いで迫力がある)、おむすび銀行(マークがいい)などもできそうだ。
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