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今年の夏の中国新疆の旅は、尼崎の英知大学で教えている息子が、主に国際関係学科の学生さんたちの研修旅行として企画したものなので、結構厳しいことを言っていた。
その1つが、現地のものしか食べてはいけない。自分でレトルトのお握りや、梅干しやらを持ち込むと、荷物が増えるので、一切禁止、ということらしい。
たしかにこういう土地で生きるには、2つのことができなければならない。1つが、来る日も来る日も羊料理を食べることである。
土地の人たちの大半は、イスラム教徒なのだから、豚を食べない。牛は気候が暑いからいない。口に入る肉類は、羊か鶏である。私たちは日毎、ウイグル料理を食べる。バン麺と呼ばれるどろっとした野菜と肉の煮ものを掛けた手打ちウドン、羊の脂を入れた炊き込み飯、それからすばらしい野菜料理である。漢族の住民は少数派だから、私たちが俗に言う「中国料理」はもはや主流派に成り得ないので、従って恐ろしくまずい、と息子は言う。だから事前に食事のリクエストを出した時、すべてウイグル・レストランを指定した。
もう1つは、日本のようにあちこちにドライブインとか給油所がないので、野原でトイレができなければ、旅が続けられないのである。
2008年にオリンピックが北京で行われるようになってほんとうによかったが、それまでに中国は実にたくさんのすることがある。道路の整備と鉄道建設だって、なにしろすぐ数千キロ、あっという間に数万キロの距離になるだろうから、そういうインフラ整備だけでも、建設工事には洋々たる未来が開けている。雇用の口も有り余っているだろう。
日本は中国に借款として(2001年の第4次円借款の最終年度分までに)2兆6500億円、インフラ整備用として「輸銀ローン」分が3兆4283億円、他に無償援助もあって、20年間に総額6兆円出したというが、今度は日本が中国に無償援助をしてもらってもいいくらいだという気がした。
息子は、学生たちにも埃嫌悪と細菌恐怖症が蔓延していて、すぐ手を洗ったり拭いたりしたがる「ウェット・ティッシュー症候群」がある、と言う。国内では「抗菌」をうたいものにした製品が溢れているのだから仕方がないとも思うが、そういう惰弱な精神に対抗して、土と不潔に馴れる訓練をしなければ学生たちがたくましい人間に育たない、と言う。教育とはお互いにご苦労さまなものである。
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