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自ら国民に向かって、自国民の資質に対して、失望と悲しみを表明したのは、マレーシアのマハティール首相である。
首相は20年の任期の間にマレー人の怠け者の本質を変えられなかったのは、自分の失敗だったと語った。首相の在任20年を祝う晩餐会の席上でであったという。
「私は、マレー人の意識を変えることができなかった」
マレー人は同じ国内に、中国人社会がいいお手本としてあったにもかかわらず、何も学ばなかった。彼らは勤勉の価値を少しも身につけなかった。
中国系の人々は、肥料を使って、上質の米を生産する。しかしマレー人は肥料を売って暮らすだけだ。これ1つをとって見ても、どんなにマレー人が中国系の人たちより遅れているかがわかる。
「なぜ我々は、中国系社会から農業で成功することを学ばなかったのか。我々はこんなにも長い間、隣同士で住んでいたのだから、そのチャンスはいくらでもあったはずだ。
マレー人は、一生懸命に働くことはいいことだ、とわかっている。しかし実行しない。できなかったのではない。しようとしなかったのだ。
我々が変化したとしても、われわれはあくまでもマレー人だ。この点は、私の最大の失敗であった」
マハティール首相は今期で首相の座を去ることになるという。次の首相の座に立候補しようとする人に対して彼は忠告する。
「政治の世界には、永遠の友も永遠の敵もいない、のが普通だ。しかし首相というものは、他人を踏みつけにしたり、他人を引きずり下ろしたりして、トップの座に着いてはならない」
彼によると、首相はただの行政官であってはならない。社会をよくするための変革をもたらすものでなければならない。
かつて首相に就任する時、彼は「時には我々は、夜の闇の中で問題にぶつかるだろう。しかしそこから抜け出すには、積極的、建設的であることだ」と言った。その信条は今も変わっていないようである。
首相は健康にも問題があるという。その点に関しても、決断力のある首相は言う。
「もしも医師が決断を下すのを恐れているなら、患者は死ぬかも知れない」
もちろん患者を国家にもたとえているのであろう。
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