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外国で手にした英字新聞に出ていた記事なのだが、アメリカの歴代大統領の性格分析が三人の心理学者のチームによってなされたのだという。今は大統領選の最中なので、こういう「研究」に興味が持たれるのだろう。以下は分析の概略である。 歴代のアメリカ大統領の中でも大物と言われた人たちには、責任を引き受けるという男らしさがあったという。「彼らはスマートでエネルギッシュで判断がはっきりしていた。しかし感じがいいというわけでもなく、単純に正直というのでもなかった」 感じがいい、ということは、隣人や配偶者には強く求められる要素なのだが、国民を統率する大統領の場合は、しばしば感じのよくない人の方が大きな仕事をする。 心理学者たちによると、正直、率直ということは、大統領の器量を示す場合には必ずしもプラスには働かない。正直とは言えない大統領は、人を説得したり、目的を達成する方策を知っている。正直と率直は一般人の美徳らしい。 そのいい例がリンドン・ジョンソンとフランクリン・ルーズベルトであった。彼らはトリックも使えば甘言も弄した。必要なら嘘をつくこともあった。彼らは大衆を扱うすべを知っていたほんとうの政治家だった。 自らの体験に対して率直であることは、歴史家的見地からみて、政治家の偉大さともっとも深い相関性を持つという。アブラハム・リンカーンとトーマス・ジェファーソンがこの範疇に入る。その反対がウィリアム・タフツとユリスス・S・グラントである。外交的な明るい性格も、判断の明快さと同じくらい、大統領の偉大さを決める要素だ。この点においてはセオドール・ルーズベルトとアンドリュー・ジャクソンが秀でていたが、一方カルヴイン・クーリッジとワーレン・ハーディングはその才能を欠いていた。 成功に向かって絶えず努力することも、偉大な人物になる一つの条件だ。「成功する大統領は、自分で野心的な目標を定め、そうしておいて天と地が出会うように運命を動かすものなんです。セオドール・ルーズベルトという人物がそうでした」 分析は次のような結果を出している。 「支配者」としてはリンドン・ジョンソン、アンドリュー・ジョンソン、ニクソン、セオドール・ルーズベルト。「内政的な性格」としてはニクソン、フーバー、クーリッジ、ブキャナン、ウィルソン、「善良な人物」はアイゼンハウワー、クリーヴランド、フォード、ワシントン。「無垢な人」はタフツ、ハーディング。「俳優」はレーガン、クリントン。「現状維持派」はマッキンレー、ブッシュ、トルーマン。「知識人」はリンカーン、ガーフィールド、ジェファーソン、カーター、ヘイエス。「明るい活動家」はケネディ、ルーズベルト、クリントン、レーガンである。多分に表面的な分類だろうが、おもしろいことにモンローとヴァン・ブーレンはどの範疇にも入らなかった。
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