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著者: 笹川 陽平  
記事タイトル: 父親が元気を出さなくては 6)  
コラム名: 元気覇気勇気 30  
出版物名: 産経新聞  
出版社名: 産経新聞社  
発行日: 1999/02/06  
※この記事は、著者と産経新聞社の許諾を得て転載したものです。
産経新聞社に無断で複製、翻案、送信、頒布するなど産経新聞社の著作権を侵害する一切の行為は禁止されています。  
   ??理事長は大学時代に一日五ドルで三カ月かけてアメリカを回ったそうですが、そこから得たものは
 
 笹川 最近はごく普通のことでしょう。私の場合は当時観光ビザがなく、半年ほどロサンゼルスでアルバイトしました。その金でぐるっと回ってきただけの話ですよ。大した話ではないです。ただ、何をやっても人間というのは生きていけるものだ、と実感しました。
 
 ??なるほど。ほかには
 
 笹川 一番大きかったのは、やっぱり父親の存在でした。日本全体を覆ううつ病を吹き飛ばすにも、父親がもっと元気を出さなければいけない。
 
 ??父親ですか
 
 笹川 父親です。国が悪い、社会が悪いと、みんないろいろいいます。しかし、国の、社会の最小単位は家庭です。それぞれの家庭が落ち着いて、平和であることが父親としての最小限の役割でしょう。
 
 ??家庭がしっかりしていなければ、国も社会もうまく機能しない
 
 笹川 そうです。それはなにも(父親が)子供をしかるとかいうことじゃなくて、やっぱり父親としての存在感だと思うんです。
 では、存在感というのは何か。私の反省を含めていえば、家庭での時間をきちっと、できるだけ長くとるということが大事なんじゃないでしょうか。
 (家に)いないで父権だけ振り回そうとしても無理です。父親を中心とした家族の会話というのが存在しないわけですから、気がついたら子供と母親にタッグマッチ組まれて父親はカヤの外という格好になるわけです。
 
 ??でも、時間だけでは不足なのでは、十分といえないのでは
 
 笹川 まず初歩的なこととして、父親の人格を子供たちに認めさせるには“男の背中”です。偉そうなことをいわなくても、家におやじがいて、子供たち、女房の愚痴を黙って聞いてやるというところから始まるものです。
 そうした話を聞く父親の背がすべてをものがたるのです。非常に私は単純なことだと思うんですよ。
 
 ??理事長ご自身、それを実践している?
 
 笹川 可能なかぎりね。
 
 ??理事長のお父さま(笹川良一氏=故人)はいかがでした
 
 笹川 厳しい人でした。たたかれたことも、大声でしかられたこともありません。それでいて大きな存在感でした。
 社会生活上必要なことをよく教えられました。たとえば、人の家に行ったときの靴の脱ぎ方、上がったときのあいさつの仕方、お手伝いさんには明るく自分からあいさつすることなどなど、基本的なことはすべて教わりました。
 電話のかけ方なんて厳しかった。そういう社会生活としての基本はきちっと教えられました。こうしたことは、かつてはどこの家庭でも、ごくふつうに行われていたことです。
 父親が元気を出して、家庭の中心に座るべきです。
 
 ??すべては家庭からということですね
 
 《日本の現状、これから進むべき道を熱っぽく語る姿に、単なる言葉でなく自らそれを実践している人の迫力が感じられた》
 (特集部長 細野憲昭)
 



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