奥日光の水と生物

水環境 生物環境
水域環境
 
 平成14年7月〜10月にかけて奥日光湖沼群と河川の水域・生物環境の現状を把握するために調査を行いました。調査点は次のとおりです。
(承認番号 平14総使、第431号)
*調査結果の図はGIS(地理情報システム)を使って作成しています。
 
 
河川の水質
 
 湯川、逆川、大谷川では、上流の湖沼で繁殖したプランクトンの影響を受けて、水中のクロロフィルaがやや高い値を示しています。

(承認番号 平14総使、第431号)

 湯川上流では全窒素が特に高く、有機汚濁が進行した湯ノ湖の影響を大きく受けています。
 外山沢川、柳沢川では上流に汚濁源がないので、清澄な水質を保ってます。


(承認番号 平14総使、第431号)

河川の調査結果
項 目 範 囲
DO 8.1〜10mg/l
pH 7.9〜9.0
全窒素
(T-N)
0.11〜0.48mg/l
全リン
(T-P)
0.011〜0.046mg/l
クロロフィルa 0.3〜4.7μg/l
SS 1〜4mg/l

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各湖沼の水質
 
 透明度は中禅寺湖湖心では13.5mですが、菖蒲ヶ浜では9.9mと低下しています。これは有機汚濁が進行した湯ノ湖の影響直接受ける湯川が流入しているためと思われます。
 湯ノ湖では、有機汚濁が進行した状態を反映して2〜3m前後の透明度でした。
 
 <中禅寺湖>
 中禅寺湖は、概ね清澄な水質が保たれているといえます。


中禅寺湖  (承認番号 平14総使、第431号)

湯ノ湖  (承認番号 平14総使、第431号)
中禅寺湖の調査結果
項 目 範 囲
DO 8.1〜10.9mg/l
pH 7.9〜9.0
全窒素
(T-N)
0.11〜0.25mg/l
全リン
(T-P)
0.007〜0.023mg/l
クロロフィルa 0.4〜4.7μg/l
SS 1mg/l

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<湯の湖>
 湯ノ湖は、周辺から流入する生活排水や温泉水の影響を受けて、有機汚濁が進行していることが知られています。
 2002年の調査でも湯ノ湖全体でクロロフィルa、全窒素、全リンなどが高い値を示しています。


(承認番号 平14総使、第431号)
湯ノ湖の調査結果
項 目 範 囲
DO 9.9〜12.5mg/l
pH 7.3〜8.8
全窒素
(T-N)
0.18〜0.60mg/l
全リン
(T-P)
0.02〜0.079mg/l
クロロフィルa 8.4〜29.9μg/l
SS 1〜4mg/l
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<西ノ湖、蓼ノ湖、刈込湖、切込湖、光徳沼、五色沼>
 光徳沼、蓼ノ湖、五色沼は、ほぼ清澄な水質を保っています。
 西ノ湖、切込湖、刈込湖では、やや汚濁が進行している様子が認められました。特に、切込湖と刈込湖では、水質汚染の有力な指標であるアンモニア態窒素が湯ノ湖よりも高い値を示していました。


(承認番号 平14総使、第431号)
その他の湖沼群調査結果
項 目 範 囲
DO 0.1〜10.6mg/l
pH 6.2〜7.7
全窒素
(T-N)
0.1〜1.12mg/l
全リン
(T-P)
0.005〜0.043mg/l
クロロフィルa 0.2〜4.3mg/l
SS 1〜10mg/l
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底質について
 
 湯ノ湖湖心では、底層が無酸素状態であると思われます。

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調査測点 全硫化物量mg/g(乾泥)
強熱減量(%)
中央粒径(50%)Mm
中禅寺湖 湖心 0.82 13.8 0.010
中宮祠 0.17 6.5 0.180
松ヶ崎 1.80 12.8 0.008
千手ヶ浜 0.32 8.1 0.100
菖蒲ヶ浜 0.33 17.7 0.150
湯ノ湖 湖心 2.91 13.3 0.008
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生物環境

湖沼群の生物

 魚類

科名 湖沼名 蓼ノ湖 光徳沼 西ノ湖 切込湖 刈込湖 五色沼 湯ノ湖
調査年月日 H14.10.7 H14.10.8 H14.10.8 H14.10.9 H14.10.9 H14.10.11 H14.9.3
種名 \方法 刺 網 投 網 刺網・
タモ網
刺 網 刺 網 刺 網 タモ網
サケ カワマス   5          
ニジマス 34     1 1    
ブラウントラウト     15        
コイ タモロコ         34    
モツゴ         12    
ウグイ     11        
ギンブナ       30 20    
ドジョウ ドジョウ           1  
ハゼ ジュズカゼハゼ              10
ヨシノボリ類     9        
種類数 1 1 3 2 4 1 1

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 底生動物

 今回の調査でみられた注目種

コモチカワツボ
 コモチカワツボは1990年代に日本の各地で見つかるようになった外来種です。ヨーロッパから生きたまま輸入された養殖用のマスやウナギに混じって日本に侵入し、各地に広がったと考えられています。
 マスなどの淡水魚に食べられても、生きたまま消化管を通過できることが知られており、川の流れに逆らって遡上することができます。また、乾燥にも強く、水鳥の体について遠方へ運ばれる例も知られています。在来の生態系に与える影響は未知ですが、爆発的に増殖するため、在来種と生息空間や餌料で競合する可能性があります。
 湯ノ湖全域に高密度で分布し、今後湯滝を経て下流に分布を拡大することが懸念されます。

マルタニシ
 北海道南部から九州にかけて分布し、比較的海に近い平野部の水田、池沼、潟、用水路などに多く生息します。農薬等による水質汚濁や用水路の改修などで生息数が減少していることから、レッドリスト に掲載されています。
 湯ノ湖・流入点のヨシ帯で2個体が確認されました。

モノアラガイ
 北海道から九州までの日本の各地に分布しています。小川、川の淀み、池沼、水田などの水草や礫に付着しています。ヤスリのような歯舌で微小な藻類を削り取って食べます。藻類の他、動物の死骸や生み付けた卵塊を食べることもあります。
 繁殖期には水生植物の葉や茎に卵を産み付けるため、水生植物の存在を必要です。用水路の改修や水質汚濁の影響で減少しているといわれており、レッドリストに掲載されています。中禅寺湖と湯ノ湖の沿岸で多数確認されました。

 水生植物

 今回の調査でみられた注目種

カタシャジクモ
 北海道、青森県、栃木県、山梨県、神奈川県の8湖沼に生息するといわれていますが、富栄養化の進行、草食性魚類の放流、埋め立てなどの影響でその分布域が減少し、絶滅危惧T類(絶滅の危機に瀕している種)に指定されています。
松ヶ崎、湯ノ湖の湖尻、流入点で確認されました。


ササエビモ
 北海道、青森県、栃木県、神奈川県の冷涼地の湖沼、河川において稀に生育する沈水植物です。エゾヒルムシロとヒロハノエビモの雑種の一型と考えられており、ヒロハノエビモとの判別には注意を要します。類縁種は世界各地から報告されていますが、日本では水質汚濁、開発による減少から絶滅危惧IB類(近い将来における絶滅の危険性が高い種)に指定されています。
中宮祠、松ヶ崎、千手ヶ浜で確認されました。

ヒメフラスコモ
 青森県、栃木県、山梨県、神奈川県の6湖沼に生育するといわれていますが、生活・産業排水の流入や草食性魚類の影響でその分布域が減少し、カタシャジクモと同様に絶滅危惧T類(絶滅の危機に瀕している種)に指定されています。
湯ノ湖の湖尻、流入点で確認されました。