日本財団 図書館


日本語学習には日本語資料による知識の更新が必須
南京大学 大学院修士課程 日本言語文化専攻 2年 厳
 
 外国語の勉強には、本を読むことは必要不可欠です。私たちが日本語を勉強する際には、教科書だけでは十分でなく、日本語らしい日本語を話すことも到底無理ですので、日本語の本を利用することが大切だと思います。読書を通じて、言語そのものだけでなく、その言語が表している社会背景、風俗なども生き生きとしてきます。
 中国で日本語を勉強している人たちにとって、自分の力で日本語の本を探すのは大変なことです。自分も日本に留学している先輩を頼って、日本から本を買うことがあります。先輩にインターネットで連絡して、日本の書店で本を探して送ってもらいました。本が届くまでに2ヶ月も経ってしまい、お金も大変かかりました。中日文化研究センターは日本語の書籍をたくさん提供してくれ、いろんな便宜をもたらします。センターが成立されて既に5年間になります。私が南京大学に入って日本語を勉強するのも6年で、センターの書籍と一緒に成長してきたという感じがします。
 センターが成立されたとき、私はまだ大学2年生でした。鼓楼キャンパスに日本語の書籍を借りることのできる図書室が創立されたことを先生から教えてもらった時、とても行きたかったのですが、私は浦口キャンパスにいましたので、センターを利用する機会は少なかったです。4年生になって、鼓楼に来てから、センターの書籍を利用することが多くなりました。初めは、簡単な小説を読んでも、分からないところがたくさん残っていましたが、読めば読むほど、奥深い内容もだんだん理解できるようになって、読書の楽しさも発見してきました。センターにはさまざまな分野の図書があって、これらの本のおかげで、日本の歴史や社会を客観的に認識することができるようになりました。たとえば、センターには朝日新聞の『天声人語』というコラムの内容を文集の形式で収録している本があります。文化、政治などいろんな分野の内容を含め、日本の現実社会を認識する道を開いてくれます。それだけでなく、論文を書く時もいつもセンターへ行って、資料を調べます。論文集や学術の書籍もたくさん集められていて、非常に役立ちます。こうしたことにより、私の日本語の能力も鍛錬されて上達してきました。ここ数年来、センターの蔵書量は増加し、種類も豊富になりつつあり、出版されたばかりの新しい内容の本も増えています。そのおかげで、私たちの知識も遅れずに更新できます。センターはもう私たちの日本語の勉強に不可欠なものであり、とてもありがたい存在になっていると思います。
 
精神の楽園「日本語書庫」
寧波大学 外国語学院 日本語科 3年 章頴文
 
 初めてそこに入り込んだ時、莫大な宝を発見したような興奮と喜びを感じずにはいられませんでした。それは、長い間探していたCDをようやく見つけた時、或いは恋人とデートする前の気持ちと同じでした。そこは、日本の皆さまのお蔭で作られた日本語書庫であります。
 日本語書庫は2万冊余りの本からなっています。本はいっぱいですけれども、整然と本棚に並べられています。これらの本は文学だけでなく、言語、歴史、経済、医学、政治とほとんどあらゆる分野にわたります。ある時には、京都の府誌のような本さえ見つけたことがあります。あれほど美しく、豊かな町について読むことができるのは、どんなに幸せか分かりません。
 夕方に近づく頃、私はいつも書庫に行きます。その頃の日差しは、ガラスを通してやさしく部屋いっぱいに入り込みます。落ち着かせてくれる雰囲気とうっとりさせる本のにおいが空気の中に漂っています。私はそのような光景に浸りながら、本を選び始めます。私が一番好きな本は、地理についての本です。日本は自然に恵まれ、すごく美しい国です。この目で見ることはできませんが、代わりに本が私を案内し、日本のところどころの景色、風俗を紹介してくれます。それから、私は文字の説明に自分の想像を加えます。そうすることで見るだけよりいっそう美妙な感じを受けることができます。ほかにも、文学や言語分野の本も有難い仲間だと思います。その重要な理由のひとつは、日本の文化や言葉の素晴らしさはもちろん、テストの答えまでみんなこれらの本からもらうことができるということです。
 この前、「なぜ、日本語書庫が好きなのですか。中国語版の本を読めば、十分じゃないですか。」と聞かれました。中国語の本なら、誰かが訳したものか、中国人の考えによるものです。ですから、何らかの隔たりがあって完全には日本という国を体験することはできません。日本語を学習するからには、「“日本人の目から見た日本とはどういう国なのか。”“正真正銘の日本の風景とはどういうものか。”ということをどうしても知りたい。」という気持ちを持つべきだと思います。日本語書庫は、ちょうどその道を開いてくれました。
 「書籍は、人間の魂なり。」という説があります。そう考えると、日本語書庫は精神の楽園だと言えるでしょう。
 
心を支える「日本語書庫」
寧波大学 外国語学院 日本語科 3年 馬芳芳
 
 人間というのは、水や空気のような物質だけで生きているのではなく、心を支える精神的なものも必要だと思います。この精神の世界を造るのが本であろうと、私は考えるのです。
 私は文学関係が好きで、それまでは文学の本を探しにいつも図書館に行っていました。始めはもちろん中国語の小説などでしたが、日本語を勉強し始めてから、「なんとしても絶対に本場の日本語版の小説を読もう。」という気持ちが出てきました。しかし、いくら「読みたい。読みたい。」と言っても、結局、自分のまわりではそんな本を手に入れる機会はなかなかありませんでした。そんな時ちょうど、日本の皆さまのおかげで、日本語書庫と出会うことができたのです。そこには、文学、言語、歴史、経済、医学、政治などさまざまの分野にわたる2万冊あまりの本がありました。私にとっては、本当に助かりました。
 それからは、授業が終わるとすぐ書庫へ行くようになりました。「これを読みたい、あれを知りたい。」、こんな気持ちを抱いて好きな本を選んで、入念に読んでいました。いつの間にか時間を忘れてしまうこともよくありました。お腹は苦しかったけど、心は嬉しかったのです。いつも喜んで入り、充実した思いを感じながら出てきます。また、中国語に訳されたものと日本語で書いてある原作を比べて読みながら、両国の共通点や違いを見つけます。そうすると、原作への理解がもっと深くなるのです。また、勉強のほか、疲れたら気分転換として、料理や旅行などの雑誌にも目を通します。そうするとストレスも取れるし、異文化体験もできると思います。日本にはいないけど、日本の文化や知識などが分かるようになるのです。
 最近はちょうど卒業論文の準備しているところです。資料を集めるためにはどうすればいいのかを、先輩たちに聞きました。やはり、日本にいる友達に頼まなければならないと言われました。しかし、この書庫で案外いろいろな資料を手に入れられることに気付きました。「楽だなあ。」と自分の心が言いました。
 最後ながらもう一度日本の皆さまに感謝いたします。これからも相変わらず書庫へ本を読みに行きます。
 
「日本語書庫」は世界に通じる窓
寧波大学 外国語学院 日本語科 3年 劉琳
 
 今、大学の図書館は、私の一番好きな場所の一つになっています。それまで、私は、別に本を読むことが好きではありませんでした。本を読むことより、テレビやネットなどでインフォメーションを得る方が楽だと思っていました。ところが、大学の図書館に、日本の皆さまから寄贈された図書で日本語書庫が設立されてから、私の学校生活はすっかり一変しました。図書館は、私のよく行く場所になってきました。
 日本語を専攻している私は、日本人によって書かれた日本語の本をとても読みたいと思っていました。日本人の考え方や日常生活を知りたいからです。私はそう思っていましたが、普通の図書館にはそういう本がとても少なく、その夢をあきらめたこともありました。でも、日本の皆さまのおかげで、今はもう夢ではありません。明るくて静かな図書館で自分が特に読みたい本を読み、幸せという実感がわきます。
 始めは、日本語を勉強するため日本語書庫に行ったのに、案外、いろいろな新しい発見が出来ました。ここには日本語学習用の本だけでなく、政治、経済、医学、教育、娯楽など各分野にわたる本が二万冊もあります。それに、世界を紹介する本もあります。英語を教える本を見た時、「へー、これも日本語で?面白い。」という思いが頭の中に湧き起こりました。私は、新大陸を見つけたように喜んでいました。その後、暇があるかぎり、日本語書庫に行くことにしています。たくさんの本からなる海の中で、私は魚のように自由に泳いで、知識を吸収し、たいへん楽しんでいます。そのすべてが日本語書庫のおかげです。こんなに沢山の本を寄贈してくれた日本の皆さまの寛大さに心から感謝しています。
 大学の図書館の日本語書庫で勉強することを通して、私が強く感じたことは、日本語書庫は「窓」のようなものではないかということです。私は、日本語書庫という「窓」を通して、今まで知らなかった世界、特に日本人の世界を見ることができました。心から感謝している気持ちを十分に表す言葉がなかなか見つかりませんが、今後も大切な本を活かして勉強に専念するのみです。
 
何より欲しいのは日本語言語学に関する本
広西師範大学 外国語学院 大学院 謝芳
 
 日本から各分野の本をいただき、誠にありがとうございます。私は今、卒論をまとめていますので、よく図書館で資料を集めています。図書館から卒論に役立つ資料をたくさん見つけました。皆様のおかげで、卒論の準備が順調に進んでいます。本当にありがとうございます。でも、私の専門は言語学ですので、もし、言語学に関する本がもっと多ければ何より嬉しいことと思っています。


前ページ 目次へ 次ページ





日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION