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平成17年横審第36号
件名

練習船海王丸乗揚事件

事件区分
乗揚事件
言渡年月日
平成18年1月20日

審判庁区分
横浜地方海難審判庁(黒岩 貢,西田克史,岩渕三穂,磯崎一郎,小林弘明)

理事官
供田仁男

受審人
A 職名:海王丸船長 海技免許:一級海技士(航海)
B 職名:海王丸一等航海士 海技免許:一級海技士(航海
指定海難関係人
C所 業種名:船員教育機関
補佐人
a,b(いずれもA及びB両受審人並びに指定海難関係人C所選任)

損害
船底外板に多数の凹損及び破口を生じて浸水。
乗組員18人,実習生8人,海洋研修生4人がそれぞれ重軽傷

原因
海王丸・・・水路事情の把握不十分,風浪の影響に対する配慮不十分,避難措置不十分
C所・・・海王丸に対する支援態勢不十分

主文

 本件乗揚は,台風が接近する状況下,水路事情の把握が不十分であったばかりか,風浪の影響に対する配慮が不十分で,適切な避難措置をとらず,強い風浪の中で錨泊を続けて走錨し,陸岸に圧流されたことによって発生したものである。
 C所が,海王丸に対する支援体制が不十分であったことは,本件発生の原因となる。
 受審人Aの一級海技士(航海)の業務を2箇月停止する。
 
理由

(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
 平成16年10月20日22時47分
 富山県伏木富山港
 (北緯36度46.0分 東経137度13.9分)

2 船舶の要目等
(1)要目
船種船名 練習船海王丸
総トン数 2,556トン
全長 110.09メートル
機関の種類 ディーゼル機関
出力 2,206キロワット
(2)設備及び性能
 海王丸は,平成元年3月に進水し,同年9月に竣工した可変ピッチプロペラ付きの2機2軸及び1枚舵を備えた全通甲板型鋼製4マストバーク型練習帆船で,当初,その用途を練習船兼旅客船としていたが,平成13年9月練習船に変更した。最大搭載人員は,乗組員69人,その他の乗船者130人の計199人で,船首両舷に3.24トンの錨(AC14型)及び径58ミリメートル,1節の長さ27.5メートル,1メートルあたりの重量76.4キログラムの錨鎖10節を各々備えていた。
 4本のマストは,前方からフォア,メイン,ミズン,ジガーと呼ばれ,各マストの高さは甲板上それぞれ約42メートル,44.5メートル,44メートル,36メートルで,フォア,メイン,ミズン各マストには,横帆を張るための4本のヤードがマストと直角方向に備えられ,帆走以外の航海中,帆は各ヤードに丸めて固縛されていた。
 甲板下には,セカンドデッキ,サードデッキ,タンクトップの3層のデッキがあり,タンクトップ下は2重底となっていた。タンクトップ上には,主機関,清水タンク,燃料タンク,海水タンク等が,サードデッキ上には,セールストア,第2教室,空調機,飲料水タンク等が,セカンドデッキ上には,実習生居住区,乗組員食堂及び居住区等がそれぞれ配置されていた。
 上甲板上は,船首から順に乗組員居住区,第1教室,士官居住区,ギャレー,士官食堂,舵機室等が,その上部の暴露甲板上には,船首から順に揚錨機,フォアマスト,船橋楼,メインマスト,居住区出入口,ミズンマスト,無線室,ジガーマスト,帆走用操舵室がそれぞれ配置されていた。
 船橋楼1階は,演習室で,2階が操舵スタンド,海図室のほか,レーダー2基,GPSプロッター,電磁ログ,測深儀,コースレコーダー等の航海計器が備わった機走用船橋となっていた。
 当時,海王丸には,実習生85人が京浜港東京区から乗船して北海道室蘭港に向け出航する予定となっており,一般から公募した体験航海参加者(以下「海洋研修生」という。)と指導員計20人が室蘭港から次の寄港地である富山県伏木富山港まで乗船の予定となっていた。

3 関係人の略歴
(1)A受審人
 A受審人は,平成16年10月海王丸に船長として乗船した。
(2)B受審人
 B受審人は,平成16年10月海王丸に乗船したが,練習帆船の一等航海士は今回が初めてであった。
(3)指定海難関係人C所
 平成16年1月時点で陸上職員59人海上職員380人で,練習帆船であるD号,汽船であるE号,F号,G号,H号を所有して運航し,海王丸は,所有者のI会と貸借契約を交わし運航していたが,乗組員等全てC所の職員であり,その運航形態は他の練習船と全く変わりなかった。
 これら練習船の運航管理は,運航部海務課が担当し,課長以下,船体,機関,運航事務,無線,海務の各担当官が配置され,練習船の動静については,各船から寄せられた位置情報を海図上に示し,職員に周知することになっていた。
 ところで,練習船は,公用に供する船舶として船舶安全法施行規則第12条の2に基づく安全管理手引書の備え置き義務を免除されていたが,C所は,教育内容に同手引書を取り入れる必要があるとの判断の下,これに沿った安全管理システムを構築することとし,そのマニュアルを作成して平成16年6月より試行を開始していた。しかしながら,同マニュアルには,船舶の管理責任者が各船舶の運航の安全を監視するという,安全管理手引書の考え方は取り入れられず,練習船の安全運航は全て船長に委ねるという従来どおりの姿勢をとっていた。

4 発生地点付近の概況
(1)気象海象
 10月13日グアム島の北西海上で発生した台風23号は,発達しながらフィリピンの東海上を進み,16日に同海域で超大型の非常に強い勢力となった。台風23号は,19日12時には中心気圧950ヘクトパスカル(hPa)最大風速毎秒40メートル(m/s)の大型で強い勢力を維持しながら沖縄本島の南南西100キロメートル付近に達し,その後,北北東に毎時20キロメートルで奄美諸島沿いに進み,20日13時ごろ大型で強い勢力のまま高知県土佐清水市付近に上陸したのち,15時過ぎには室戸岬付近を通過し,18時前に大阪府南部に再上陸して徐々に衰えながら近畿,東海地方へ進んだ。
(2)富山湾の地形による水路事情
 富山湾は,三方を陸に囲まれ,袋状になっているので,年間を通して穏やかな日が多く,季節風が卓越する冬季といえども,他の日本海沿岸の波に比べれば波高は極めて低い。ところが北ないし北東方向から進入する波は,湾の奥でも相当高い波となって押し寄せ,船舶の遭難や海岸施設の損壊などを引き起こすことがある。湾の南方を東進する台風により長時間北東風が吹続する場合などがこれに該当し,停泊中の船舶は風だけでなく,波浪の影響を十分に考慮する必要があった。
 また,富山湾内は水深が深く,100メートル等深線は,沿岸の中部から西部にかけて海岸から2ないし5キロメートル沖合に,東部では海岸から約1.5キロメートル沖合にそれぞれあり,海岸線の形状は緩やかに湾曲して比較的平滑だが,海中には十数箇所の海底谷が存在し,海岸付近の等深線は海底の複雑な構造を示す。このため,湾内に進入した波浪は海岸近くまで深海波の性質を持って接近し,海岸から2ないし5キロメートルの沿岸域内で複雑な等深線による屈折を起こし,波エネルギーの収束する場所と発散する場所がそれぞれ海底谷付近で生じ,結果的に波高の局所的分布が複雑になるが,一般的に周囲より水深の浅い箇所は波が収束し,より高い波浪となる傾向があった。
(3)伏木富山港富山区錨地
 検疫錨地は,海岸から1,000メートル付近の水深は9ないし11メートルの箇所で,大型船が錨泊する場合,波浪による船体動揺で船底接触の危険性があるため,もっと沖合の港界付近にある水深20メートルの箇所が望まれているが,その海域は,西方に海底谷があって急激に深くなり,北方,東方も深くなっていることから,高い波浪の発生しやすい海域であった。
 また,錨地としては,風浪の遮蔽(しゃへい)ができず,湾口が外洋に開かれ,錨かきもあまり良くないため,荒天時の安全確保が極めて困難であった。

5 事実の経過
 海王丸は,A,B両受審人ほか61人が乗り組み,実習生85人を乗せ,訓練航海の目的で,平成16年10月2日14時00分京浜港東京区を発し,千葉県館山湾における登しょう訓練等を経て14日室蘭港に入港,海洋研修生等20人を乗せ,実習生1人が所用で下船したのち,18日14時00分船首6.16メートル船尾6.76メートルの喫水をもって同港を発航し,途中,帆走訓練を行いながら伏木富山港に向かった。
 これより先,A受審人は,館山湾において仮泊中の9日夕刻,台風22号が至近を通過し,その際,短時間ではあったものの,西風最大風速25m/s,瞬間最大風速37m/s,西方から波高約3メートルの波浪を受ける厳しい気象海象条件となったが,機関を用意しただけで使用せず,海岸から1,000メートルばかりの錨地で単錨泊のままこれを凌(しの)いだことから,振れ止め錨を投入して機関を使用すれば相当の強風にも耐えられると思うようになっていた。
 ところで,C所は,地方の水路事情の参考資料として海上保安庁刊行の水路誌を各練習船に配布していたが,各地の代理店等を通じてより詳細な水路事情を収集し,各練習船に提供するなどの活動を行っておらず,富山湾の地形による水路事情や,荒天時の安全確保が難しい伏木富山港の錨地の状況についてC所自体も把握していなかった。そのため,海王丸がこれらの水路事情を知るためには,自船から関係各所に連絡し,情報を収集する必要があったが,A受審人はこれを行っていなかった。
 また,帆船操典と呼ばれる操船参考資料には,船型の割に風圧面積が大きい練習帆船の守錨基準が示され,船体の受ける風圧面積抑制のためその振れ回りを抑えるのが最も重要であり,帆を各ヤード等に固縛収納したうえ,全てのヤードを使用錨側一杯に開くポイントヤードを基本とすること,風速25m/sで振れ止め錨を投入することに加え,機関を発動すべき時点の目安となる風速などが具体的に記載されており,例として海王丸が東京港外(水深12メートル底質泥)で錨泊する場合,風速25m/s以上で使用錨鎖9節,振れ止め錨3節を投入して機関,舵を用意すること等が示されていたが,波漂流力等の錨泊中の船舶に対する波浪の影響については記載されていなかった。そして,ミズンマストのヤードだけを反対舷に開くカウンターブレースについては,風圧を受けやすく,これを試みた例は少なかったが,ポイントヤードや振れ止め錨の措置をとっても船体の振れ回りを抑えきれない場合の対処方法として記載されていた。
 一方,C所が運航するもう一隻の練習帆船であるD号は,就航以来,2度の走錨を東京湾,大阪湾において経験しており,そのときのヤードの状態,風速,船首の振れ回りなどについて詳細なレポートが機関誌に掲載されていた。しかしながらC所は,ほとんどの職員が所属する同学会の機関誌であるから何も言わなくとも目を通すであろうと考え,その走錨事例について職員に周知して注意を喚起するなどしなかったため,A,B両受審人とも同レポートを読んでいなかった。
 A受審人は,当初,20日朝伏木富山港に到着して錨地で仮泊,21日に入港着岸し,一般公開等の催しを行う予定にしていたところ,室蘭港発航後入手した気象情報で,数日前に発生した台風23号が富山湾にも影響を及ぼす可能性のあることが分かり,一旦は陸奥湾に避難することも考えたが,海洋研修生を予定どおり下船させたいとの思いがあって伏木富山港への航行を継続することとした。
 そしてA受審人は,21日予定されていた伏木富山港における催しを延期する旨を関係各所に連絡するとともに,海洋研修生に下船が遅れることを伝え,その後テレビ,インターネット等により気象情報の収集に努め,19日夕方には,台風23号の中心が20日夜から21日早朝にかけて富山県に最も接近し,その影響を受けること,20日夕方から北東風が海上で非常に強くなり,25m/sの風が吹く可能性があること,海上の波は20日4メートル21日5メートルに達する可能性があるとの富山地方気象台発表の台風情報をインターネットにより入手した。
 A受審人は,富山湾が北または北東の風浪に対し遮蔽できないことに一抹の不安があったものの,同湾及び錨地の水路事情を十分に把握しておらず,また,波高4ないし5メートルの波浪の影響を具体的に示すものがなかったのでさほど心配せず,数日前の館山湾での避泊経験から,最強時には北東風となるが短時間のうちに風向が変わり能登半島の陰になる,台風の左半円に入るので風はそんなに強くならない,経験上,上陸した台風は速力が上がり勢力が衰えるなどと入手した台風情報より安易な方向に予想し,B受審人はじめ他の航海士に同情報や自らの考えを説明したうえ,予定どおり南下して伏木富山港港内で錨泊することにした。
 B受審人は,自らも台風情報を得て判断した結果,北東風が強吹しても短時間で風向が変わるとの考えなど,A受審人と同意見であり,富山湾及び錨地の水路事情も把握していなかったため,特に異議は申し出なかった。
 こうして20日07時15分海王丸は,伏木富山港港域の北東端付近となる富山東防波堤灯台(以下「東防波堤灯台」という。)から038度(真方位,以下同じ。)1,900メートルの,同港東端の船だまり北側の防波堤(以下「外防波堤」という。)から1,580メートルの地点に達したとき,ハンドレッドにより水深17メートル,底質砂を確認後,右舷錨7節を投じて錨泊し,ファックスによりC所運航部に投錨時刻,同地点等を報告した。
 C所は,台風23号が国内にいる練習船全てに影響を及ぼすもので,海王丸も伏木富山港に入港すると暴風圏の端にかかると予想していたが,船舶の安全運航は全て船長に委ねるとの考えから,前示情報を得ていつものように海図上に海王丸の位置を示しただけで,現地の気象情報を確認して富山湾に北東風が強吹した際の波浪状況に注意を向ける者もおらず,同湾及び錨地の水路事情を十分に把握していなかったため,特に錨泊地点に対し疑問を持ち,台風23号が接近した際の避泊方法を海王丸に確認するなどの措置をとらなかった。
 錨泊したころ台風23号は,鹿児島県種子島の東方60キロメートルを北東に毎時45キロメートルで進行しており,09時50分富山地方気象台から富山県東部に対し強風波浪注意報が発表され,20日宵のうちに暴風波浪警報に切り替わる可能性があること,20日昼過ぎから21日昼前にかけて最大風速海上で25m/s,波高5メートルとの予報が発表されていた。
 10時半ごろA受審人は,海王丸が錨泊中であることを知ったJ水先人会所属の水先人から「台風23号が接近する状況下,その錨地では危険だから七尾湾に避難するように。」との伝言を代理店を通じて受けたが,七尾湾内の状況を確認しないまま,すでに多数の船舶が避難していると予測し,また,数日前の館山湾での経験から当錨地での錨泊避泊が可能と判断したことなどから,水先人に連絡して助言の根拠を確認することもなく,錨地でとどまることとし,帆船操典の記述に従い,船体の振れ回りを抑える目的でヤードをカウンターブレースとした。
 12時00分A受審人は,台風23号の最接近を23時ごろと予測して守錨当直を甲板手1人体制から航海士1人を加えた2人体制としたところ,台風23号は,13時ごろには中心気圧955hPa最大風速40m/sの大型で強い勢力を保ったまま高知県土佐清水市付近に上陸し,錨地でも13時30分過ぎから風向が北東に変わり,急速に増勢していった。
 14時30分A受審人は,すでに風向が北東に変わり,風速も平均15ないし20m/sに達しており,当初の自らの予想と大きく異なる気象状況となったことを知った。
 A受審人は,23時ごろまで8時間余りにわたり沖合から強い北東風が吹き続けると予想したものの,富山湾及び錨地の水路事情の把握が不十分であったうえ,更に増勢する風とその吹続による高い波浪の影響を十分に配慮しなかったので,走錨,乗揚のおそれを懸念するまでに至らず,館山湾での避泊経験から振れ止め錨を投入し,機関を併用したなら耐えられるものと思い,さらにはちちゅうすると船体動揺により実習生や海洋研修生が怪我をする可能性もあるとの思いもあり,錨を揚げて沖合でちちゅうするなどの適切な避難措置をとることなく,右舷錨を9節まで延ばし,左舷錨3節を振れ止め錨として投入するにとどまった。
 錨鎖の延出作業に当たったB受審人は,A受審人の判断に異論はなく,風向が北東風に変わり増勢していることを特に気にせず,作業終了後,室内で入港後の催しの最終打ち合わせにかかったため,その後風勢が徐々に強まっていることに気付かなかった。
 15時20分富山地方気象台は,強風波浪注意報から暴風波浪注警報に切り替えるとともに,波高予報を6メートルとし,18時24分には富山地方の海上最大風速予報を28m/sに引き上げた。
 A受審人は,17時ごろから平均風速が25m/sを超えるようになったことから,17時30分機関用意として18時00分には昇橋し,B受審人を船首に赴かせて錨鎖の状態を報告させるなどしたが,19時ごろから同人を錨鎖監視のため船首配置に付け,錨鎖の緊張緩和のため,時折極微速力前進あるいは微速力前進として機関の使用を開始した。
 このころ海王丸は,船首が050度を中心に左右各10度ばかり振れ回り,平均風速25ないし30m/sの北北東風及び高さ4ないし5メートルとなった北北東からの波浪を左舷船首20ないし30度から受け,青波が船首に打ち込んでそこでの錨鎖監視も危険な状況となっていたが,やがて平均風速35m/sに達するようになり,風圧力,波漂流力が強大となったうえ,船首の激しい上下動も加わり,19時40分南南西方向に約0.3ノットの対地速力で走錨を開始した。
 19時52分A受審人は,当直航海士から船位が100メートル南にずれているとの報告を受けて初めて走錨状態にあることを知り,錨を揚げて沖合に避難することとし,直ちにB受審人に伝えるとともに甲板部員を招集し,20時ごろB受審人の指揮により左舷錨鎖から揚錨を開始したが,20時10分最初の1節目の錨鎖を巻き終えたとき,揚錨機が過負荷運転となって錨鎖の巻き揚げができなくなったため,錨鎖を現状のままとし,機関を使用しながら風浪を凌ぐこととした。
 このころ風速は,平均風速30m/sとやや衰え,20時30分には986hPaまで下がった気圧が上昇に転じ,風向もわずかに左に回ったが,21時ごろ波浪は高さ6メートルに達し,海王丸は,船首が060度を中心に左右各20度ばかり振れ回るようになり,船体が激しく動揺を繰り返す中,機関を全速力前進にかけても大きな波浪を船体に受けるたびに徐々に外防波堤に向け圧流されるようになった。
 22時25分海王丸は,東防波堤灯台から063度550メートルの地点に達したとき,激しい船体動揺により060度を向首した状態で底触し,その直後から船首を徐々に左方に振り始め,22時30分には,推進器翼の海底への接触により機関が自停するとともに,機関室船底に生じた破口から浸水が始まった。
 A受審人は,乗揚が避けられないと判断し,乗組員,実習生,海洋研修生の全員にライフジャケットを着けて第1教室に集合するよう船内放送し,VHFにより新潟海上保安部に事態を報告のうえ,救助を要請した。
 その後海王丸は,北西方を向首し,風浪を右舷側から受けるようになって更に風下に落とされ,22時47分東防波堤灯台から075度400メートルの地点において,外防波堤基部の消波ブロックに286度を向首して乗り揚げた。
 当時,天候は雨で風力12の北風が吹き,潮候は上げ潮の中央期で,北北東方からの高さ約6メートルの波浪があった。
 この結果,海王丸は,船底外板に多数の凹損及び破口を生じて浸水し,上甲板まで海水に浸かって着底した。その後も引き続き長大な波浪を右舷側に受け続け,左舷側船底を中心に壊滅的な損傷を生じたが,船体は,その後サルベージ会社により引き下ろされ,近郊の造船所で仮修理後,京浜港横浜区に回航して本修理が行われた。

6 救助状況
 海王丸からの救助要請により,海上保安庁の航空機,巡視船,特殊救難隊,地元消防署のレスキュー隊等が出動し,甲板を洗う高波が打ち寄せる中,21日早朝から救出活動が始まり,15時21分全員が救助された。そして,A受審人が,1箇月の加療を要する腹部外傷,頭部打撲等を負ったほか,乗組員17人,実習生8人,海洋研修生4人がそれぞれ重軽傷を負った。

7 C所が本件後に採った事故防止対策
 C所では,事故後,直ちに海王丸事故原因究明・再発防止委員会を発足させ,次のような対策を打ち出し,安全管理システムへ導入することとした。
(1)練習船と陸上部門との船陸情報通信ネットワークの活用による各船動静の把握など,陸上からの支援体制の強化
(2)海上保安部などの関係機関からの積極的な情報収集など,現地情報収集の多元化
(3)船員に対する研修の充実・強化など,乗り組みチームとしての機能強化
(4)これまでの運航及び研究実績を踏まえた守錨基準の見直し
(5)荒天準備作業の再点検と併せ,自力対応の限界の判断及び限界となった場合の緊急対応に関する演習の充実・強化

(本件発生に至る事由)
1 海王丸
(1)錨地が台風の避難地として適切でなく,外防波堤に近かったこと
(2)館山湾において台風22号を機関を使用せず単錨泊だけで凌げたことで,機関及び振れ止め錨を併用すれば相当な強風でも錨泊して凌げると思ったこと
(3)海洋研修生を予定どおり下船させてやりたい気持ちがあって台風23号の影響を受ける富山湾に向け南下したこと
(4)台風の左半円に入ることでそれほど強い風は吹かず,北東風が吹いても短時間で風向が変わり,また,台風23号は上陸すれば勢力が衰えると思って伏木富山港で錨泊したこと
(5)富山湾及び錨地の水路事情を十分把握していなかったこと
(6)J区水先人の助言を再度検討しなかったこと
(7)ヤードをカウンターブレースとしたこと
(8)予想より早めに北東風が増勢し始め,長時間沖合からの強風に曝(さら)されることが分かった際,風浪の影響を十分に配慮せず,揚錨して沖合へ避難しなかったこと
(9)沖合でちちゅうすると船体動揺により船に慣れない実習生や海洋研修生が怪我をする可能性があるとの思いもあって錨泊を続けたこと
(10)海上保安部への救助要請が遅れたこと

2 C所
(1)富山湾及び錨地の水路事情などについての情報を収集しておらず,地方の詳細な水路事情を各練習船に提供しなかったこと
(2)守錨基準に波漂流力等の波浪の影響を示すデータを示していなかったこと
(3)D号の走錨事例を十分に周知せず,乗組員がレポートを読んでいなかったこと
(4)荒天時のヤードの取扱いについて,帆船操典の記載が徹底していなかったこと
(5)海王丸の台風避泊方法を確認せず,同船に対し適切な助言を与えなかったこと

3 その他
(1)大型で強い台風23号が,本州中央部を通過し,富山湾に向け長時間,強い北東風が吹続し,波高6メートルを超える波浪が生じたこと

(原因の考察)
1 海難原因の考察
 本件は,台風が接近する状況下,強風と高波が押し寄せる伏木富山港の錨地で錨泊を続け,走錨して外防波堤に乗り揚げたもので,その原因について考察する。
 A受審人が,富山湾及び錨地の水路事情を十分に把握したなら,伏木富山港の錨地が荒天時の安全確保が極めて難しいことが分かり,同錨地には錨泊せず,本件は発生していなかったものと認められる。
 また,A受審人が,予想より早めに北東風が強吹し始め,長時間沖合からの強風に曝されることが分かった時点で,更に増勢する北東風と,その吹続による高い波浪の影響に対し十分に配慮し,揚錨して沖合でちちゅうするなどの適切な避難措置をとっていたなら,本件は発生していなかったものと認められる。
 従って,A受審人が,富山湾及び錨地の水路事情を十分に把握していなかったこと,増勢する北東風と,その吹続による高い波浪の影響を十分に配慮しなかったこと,振れ止め錨を投入して機関を使用すれば相当の強風でも錨泊して凌げると思い,揚錨して沖合でちちゅうするなどの適切な避難措置をとらなかったことは,いずれも本件発生の原因となる。
 避難時期としては,錨鎖巻き揚げに要する時間,佐渡島の陰などの安全な海域まで航行できる時間的余裕を考慮すると,それはA受審人の予想より早く北東風が強吹し始め,長時間沖合からの強風に曝されることが分かった14時30分の時点と思われる。
 C所が,地方の詳細な水路事情を海王丸に提供し,D号の走錨事例を周知し,また,台風避泊方法を確認して適切な助言をしていたなら,本件は発生していなかったと認められる。
 従って,C所が,地方の詳細な水路事情を提供しなかったこと,D号の走錨事例を周知していなかったこと,台風避泊方法の確認をして適切な助言をしなかったことなど,海王丸に対する支援体制が不十分であったことは,本件発生の原因となる。
 A受審人が,台風の左半円に入ることでそれほど強い風は吹かず,北東風が吹いても短時間で風向が変わり,上陸した台風は勢力が衰えると思い,台風の影響が予想される富山湾に向け航行を続け,錨泊をしたことは,本件発生に至る過程で関与した事実であるが,予想より早く北東風が強吹し始めた時点で沖合への避難が実施されていれば本件は発生しなかったことから,本件と相当な因果関係があるとは認められない。しかしながら,のちに述べるように台風の左半円といえども暴風圏であり,海難防止の観点から是正すべき事項である。
 A受審人が,J区水先人の助言を再検討しなかったことは,本件発生に至る過程で関与した事実であるが,予想より早く北東風が強吹し始めた時点で沖合への避難が実施されていれば本件は発生しなかったことから,本件と相当な因果関係があるとは認められない。しかしながら,同水先人の意見を聞くことにより,富山湾及び錨地の水路事情を知って沖合に避難することもでき,海難防止の観点から是正すべき事項である。
 海王丸の錨地が台風の避難地として適切でなく,外防波堤に近かったことは,本件発生に至る過程で関与した事実であるが,周辺の定置網設置状況,水深等を考慮すると,おのずと当錨地に限定されてしまうこと,予想より早く北東風が強吹し始めた時点で沖合への避難が実施されていれば本件は発生しなかったことから,本件と相当な因果関係があるとは認められない。しかしながら,気象情報で台風の暴風圏に入ることが予想されていたのであるから,富山湾及び錨地の水路事情を知らなくとも,錨地が北東方に大きく開いている点だけでも安全な錨地とはいえず,海難防止の観点からは是正すべき事項である。
 A受審人がヤードをカウンターブレースとしたこと,C所が荒天時のヤードの取扱いについて帆船操典の記載が徹底していなかったことは,本件発生に至る過程で関与した事実であるが,今回の走錨は波浪による波漂流力によるところが大きく,ポイントヤードとして風圧力をある程度凌げても走錨を防止できるほどのものではないと考えられ,本件と相当な因果関係があるとは認められない。しかしながら,練習帆船の荒天避泊ではポイントヤードとするとの明確な記載を帆船操典に示すなど,ヤードの取扱い方法の徹底を図るべきであり,海難防止の観点から是正すべき事項である。
 C所が,守錨基準に波漂流力等の波浪の影響について記載していなかったことは,本件発生に至る過程で関与した事実であるが,A受審人が波浪の影響に十分に配慮していたなら,守錨基準にそれらが示されてなくとも適切な避難措置をとっていたものと思われ,本件と相当な因果関係があるとは認められない。しかしながら,守錨基準に記載することにより,多くの乗組員が波浪の影響について認識し,適切な避難措置に繋(つな)がった可能性もあり,海難防止の観点から是正すべき事項である。
 海王丸の救助要請が遅れたことは,本件発生に至る過程で関与した事実であるが,走錨するかなり以前からタグボート等の活動がすでに不可能であったことを考慮すると,本件発生の原因とならない。
 海洋研修生を予定どおり下船させてやりたいと思ったこと,沖合でちちゅうをすると船体動揺で実習生や海洋研修生が怪我をする可能性があるとの思いもあって錨泊を続けたことは,実習生等を預かる船長としては無理からぬことであるが,A受審人が富山湾及び錨地の水路事情を把握し,風浪の影響を十分に配慮して走錨,乗揚のおそれがあることを認識していれば,これら同人の思いが,沖合への避難の妨げになったとは考えられず,本件発生の原因とはならない。
 富山湾に向け長時間,強い北東風が吹き続け,6メートルを超える波浪が生じたことは,船舶にとって特別な状況とはいえず,本件発生の原因とはならない。
 ところで,C所は,事故後,直ちに海王丸事故原因究明・再発防止等委員会を立ち上げ,事故の再発防止に向け取り組んでいる姿勢が認められる一方で,本件前,館山湾における厳しい気象,海象条件下,海王丸が,陸岸の近くで単錨泊していた点に対し,当廷において,船長の判断であり,問題はなかったと述べるにとどまり,また,今後の事故防止対策として,各練習船の建造時のデータから限界性能の数値を検討するという,専門家の指導が必要な分析作業を各練習船に任せようとする姿勢など,練習船に対する支援体制が未だに不十分ではないかと思われる点も窺(うかが)える。今後,海王丸事故原因についての詳細な分析結果をもとに,安全管理システムの再構築を図るということであるから,支援体制についても十分検討を加え,更なる安全を目指すことを願うものである。

2 台風の左半円
 一般に左半円は可航半円,右半円は危険半円と言われているが,これは気圧場の構造が単純な海域で成り立つことであって,中緯度の複雑な気圧配置の場に進入した台風の場合,そこでの気圧配置や温度場の影響を受けて左半円でも強風が卓越することがある。台風23号では,樺太付近を通過した気圧の谷の移動とともに,その西方にあった高気圧が沿海州方面から南に張り出し,これに押されるように20日12時ごろからその針路を次第に北東から東北東に変え,その後,東に進んでいるが,同高気圧の南縁で吹き出す北東風が,台風23号の左半円の北東風に重なって,富山湾一帯で北東風が一層強まったものである。富山地方気象台では20日19時22分最大風速北東22.9m/sを記録し,これは昭和42年10月28日に記録した北北東23.7m/s以来37年ぶりの強風であったが,19日の同気象台予報で海上25m/s陸上20m/sとのこれに近い予報をすでに出していることも見逃してはならない。

3 波外力の影響
 補佐人が示す波外力を推定したケントの式は,船首の大きな上下動を伴わない場合の経験式であり,今回の状況においては,下記の規則波中の波漂流力を示す式を適用するほうが,妥当,かつ正確と考えられる。


 上図のように平面上にx,y軸座標をとり,入射波がy軸の負の方向とθの角度をなし,波漂流力FDがθの角度の方向に働く場合を考えると,FDは次の関数で表される。

η=FD/1/2ρw・g・ζA2・L・cos(θ)
η:船の幅B=13.8(m),入射波長λ(m)によって変化する値
ρw:海水の密度(104.6kgf・sec2/m4
g:重力加速度(9.8m/sec2
ζA:入射波振幅(m)
L:船の長さ(86m)
θ:船首尾線に直角の軸と入射波とのなす角(ラジアン)

 ここで,19日夕刻の台風情報どおりの風浪を受けた場合の外力を推定し,錨鎖の把駐力と比較する。
 19日夕刻のインターネットによる富山地方気象台発表の台風情報は,最大風速海上で毎秒25メートル,波高4ないし5メートルに達する可能性があるというもので,波高4メートルまたは5メートルの波及び風を左舷船首10度または20度から受けるものとして推定する。
 富山地区波浪観測資料によると,波高4メートルのとき周期6.1秒であるから,水深15メートルとするとλ=55メートル,同様に波高5メートルでは周期6.7秒で,λ=63メートルとなり,ηはそれぞれ0.7,0.8となる。(K会会報「規則波中の2次元浮体に働く漂流力に関する研究」より)
 上記式より,波漂流力は,波高4メートルの波浪を左舷船首10度から受けると21トン,20度で42トン,波高5メートルでは,それぞれ38トン,75トンとなる。
 次に,ヤードがポイントヤードの状態にあったとして,A受審人が予想した瞬間最大風速毎秒35メートルの風を左舷側10度または20度から受けるとすると,航海学会報告書記載の相対風向角と風圧力のグラフから,その風圧力はそれぞれ17トン,24トンとなる。
 また,振れ止め錨は,船体の振れ回りを抑えるためのもので,本来,把駐力としては役に立つものではないが,仮に右舷錨鎖が一杯に張って左舷錨も把駐力を持ったものとし,錨把駐係数7.0,錨鎖把駐係数0.75,右舷錨鎖9節のうちカテナリー長5節とすると,全把駐力は,右舷錨及び錨鎖による把駐力約29トン,左舷錨による把駐力約23トンの合計約52トンとなる。
 これらを検討すると,波高5メートルでも風向及び入射波と船首尾線のなす角度が10度以内であれば,機関推力により何とか凌ぐことが可能であるが,同角度が10度を超える可能性を考えると,機関推力最大25.8トンをもってしても,とても安全の範疇(はんちゅう)に入るものではない。また,海王丸報告書の中でも述べられているように,波高3ないし4メートルとなると,船首の上下動が錨鎖に影響し,走錨の危険が高まるのも事実である。
 従って,A受審人は,19日夕刻の台風情報を知った段階で,富山湾での錨泊が決して安全ではないことを認識することができ,20日14時30分自らの予想に反し早めに北東風が強吹し始め,長時間沖合からの強風に曝されることが分かったとき,直ちに揚錨し,沖合に避難すべきであったと推察される。
 なお,近年,波漂流力に関し,規則波中のみでなく,不規則波による影響をも考慮する傾向にある。これは,不規則波による波漂流力が,同波中の長波の周期と係留系の固有振動数とが同調することにより,規則波中以上の大きな漂流力を生じるためであり,本件の状況もこれに該当すると考えられる。不規則波中の波漂流力の推定は,規則波におけるような簡便な方法はないが,規則波で推定された上記の数値は,不規則波中においても,当然,発生が予測されるものである。
 
(主張に対する判断)
 B受審人が,A受審人を十分に補佐しなかったことも,本件乗揚の一因であるとの意見があるので,これについて検討する。
 C所乗組員服務規則第6章職務分掌によると,一等航海士の職務は,甲板部を所掌し,指揮監督すること,行事,日課の遂行を図り,船内秩序を維持すること,航海訓練課程の教務を担当すること等であるが,航海中,停泊中を問わず船長を補佐することも最も重要な業務のひとつであることはいうまでもない。
 B受審人は,室蘭港から伏木富山港に向けて南下する際,台風情報を得て自分なりにその影響について考えた結果,北東風が強吹しても短時間で風向が変わるとの考えなど,A受審人と同じ予想をし,同人から予定どおり同港で錨泊するとの考えを示されたとき,当錨地での錨泊が安全ではない旨の助言ができず,また,錨泊中,予想より早めに北東風が強吹し始めたとき,錨泊を続けるというA受審人の判断に何らの疑いもなく,揚錨して沖合に避難するよう助言できなかった。しかしながら,水路事情,帆船操典の記述など,与えられた情報がA受審人と同じであり,同人の判断を覆すだけの材料を探すのは難しかったばかりか,自分より数年間長い海上経験と,3年間の船長経験を有するA受審人の判断であったこともあり,同人に従ったのは無理からぬことと推察でき,B受審人の所為を原因とするまでもないとの判断が相当である。

(海難の原因)
 本件乗揚は,台風が接近する状況下,水路事情の把握が不十分であったばかりか,北東方に大きく開いた富山県伏木富山港内の錨地に錨泊中,予想より早めに北東風が強吹し始め,長時間沖合からの強風に曝されることとなった際,風浪の影響に対する配慮が不十分で,適切な避難措置をとらず,強い風浪の中で錨泊を続けて走錨し,陸岸に向け圧流されたことによって発生したものである。
 C所が,海王丸に対する支援体制が不十分であったことは,本件発生の原因となる。

(受審人等の所為)
 A受審人は,台風23号が接近する状況下,北東方に大きく開いた富山県伏木富山港内の錨地に錨泊中,自らの予想よりも早めに北東風が強吹し始め,長時間沖合からの強風に曝されることとなった場合,更に増勢する北東風とその吹続による高い波浪により走錨のおそれがあったから,風浪の影響を十分に配慮し,揚錨して沖合でちちゅうするなどの適切な避難措置をとるべき注意義務があった。しかるに,同人は,千葉県館山湾での避泊経験から振れ止め錨を投入し,機関を使用すれば台風23号を凌げると思い,適切な避難措置をとらなかった職務上の過失により,強い風浪の中で錨泊を続けて走錨し,陸岸に圧流されて外防波堤基部への乗揚を招き,船底外板に多数の凹損及び破口を生じさせ,浸水させたほか,多くの乗組員,実習生,海洋研修生に重軽傷を負わせ,自身も1箇月の加療を要する腹部外傷,頭部打撲等を負うに至った。
 以上のA受審人の所為に対しては,海難審判法第4条第2項の規定により,同法第5条第1項第2号を適用して同人の一級海技士(航海)の業務を2箇月停止する。
 B受審人の所為は,本件発生の原因とならない。
 C所が,地方の詳細な水路事情を提供しなかったこと,D号の走錨事例について周知していなかったこと,台風避泊方法の確認をして適切な助言をしなかったことなど,海王丸に対する支援体制が不十分であったことは,本件発生の原因となる。
 C所に対しては,事故後,練習船に対する支援体制の強化など,事故の再発防止に向け真摯に取り組んでいることに徴し,勧告しない。

 よって主文のとおり裁決する。





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