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マ・シ海峡の航行安全対策等の費用対効果と費用負担に関する調査 会議等の開催について
1. 「マ・シ海峡セミナー」事前会合
日時 平成19年1月15日(月) 09時00分〜18時00分
場所 Maritime Institute of Malaysia(マレーシア海事研究所<クアラルンプール>)
出席者
<インドネシア> Hasjim Djalal東南アジア研究所所長 他1名
<シンガポール> Robert Beckman、Dr Bateman、Joshua Ho、Kwa防衛戦略研究所
<マレーシア> Dato'Cheahマレーシア海事研究所所長、Cheah Kong Wai 他6名
<日本> 羽生 次郎 (財)運輸政策研究機構国際問題研究所所長、伊崎、市岡、喜志多(社)日本海難防止協会シンガポール事務所
計18名
 
議題 「マ・シ海峡セミナー(仮称)」(3/13-14於クアラルンプール)について
(1)セミナー名称について
・「セミナー」というのは少人数のイメージがあり200人規模を想定しているなら相応しくない、という意見があり、協議の結果、「シンポジウム」とすることとした。なお、インドネシアからは、「非政府会合」「非公式会合」であることを名称中に明記すべき、との意見もあったが採用せず、少なくとも主催4団体側としては「公式」の行事であることを確認した。
(2)セミナー議事日程について
・平成13年3月13日〜3月14日(於:日航クアラルンプール)で決定。
(3)セミナーのランチョン開催方法について
・「Opening Ceremony」について、MIMAからは、「ナジブ副首相には声をかけておらず、運輸大臣を想定している」と説明があった。また、IMO事務局長については「そもそもOpeningが相応しいのか、例えば昼食時の基調スピーチがいいのではないか」との意見が出されたため、改めて日本から意向を確認することとなった。←準備会合後、IMO事務局(関水氏)に確認したところ、冒頭での挨拶を希望とのことで当初案どおりでいくこととする。
・General Remarkについては、主催4機関からのプレゼンを踏まえてからのほうがいいとのことで、順序を初日最後に移動した。
(配布する議題には記載しないものの)2日目冒頭の「合意事項の検討」の前に、主催者側のみで議論する時間を用意しておく必要があるとして、2日目の開始を10時とし、その前に、必要に応じて4機関で集まることとした。
(4)セミナー会議費等について
・基本的に日本側が負担する。
・MIMAも予算の範囲内で協力する。
(5)セミナー招待状について
・署名は、電子データで持ち寄ることとした。
・招待状発送については、日本以外はMIMAのレターヘッドを用いてMIMAから発送することとした。このため、早急に発送先リストをMIMAに集約することとした。
・プレス関係者にも招待状を発送することとし、他の参加者と同様に事前登録して参加できる旨、確認した。
・招待状本文は簡潔にすべきとして、原案中のパラ1〜3を補足説明として別紙とし、パラ4〜5を本文に残すこととした。
・シンガポールから、組織変更により名称が変更になったとの話があった。
(変更後の名称:S. Rajaratnam School of International Studies)
(6)セミナー役割担当について
・出席者登録受付は、MIMAが担当。日本からも可能であればスタッフを出す。
(7)各研究所からの進捗状況
・日本からは、費用便益調査の手法、対象となるプロジェクトについての説明を行った。
・日本以外からは、口頭での簡単な報告のみであった。このため、3月1日までに、メールでプレゼン案を交換することとした。
 
2. 第1回 ワーキンググループ
日時:平成19年2月7日(水) 15:00〜17:00
場所:(財)運輸政策研究機構 2階会議室
出席者:小谷哲男(海洋政策研究財団)、山越國利((財)マラッカ海峡協議会)、河野優((社)日本海難防止協会)、古屋隆行((社)日本船長協会)、高野昌浩(海事局外航課)、伊崎朋康((財)運輸政策研究機構)、生田陽一((株)エム・オー・マリンコンサルティング)
 
議事:
(1)「マ・シ海峡セミナー」準備会合(1月15日)の結果について
○資料を基に、準備会合での議論・確認・合意事項について説明。(伊崎)
・「セミナー」の名称ではなく「シンポジウム」として開催 等
○3月13日〜14日に開催されるシンポジウムの招待状、参加登録様式等について説明、各関係者の出席者等の意向確認。(伊崎)
(2)MOMC調査の進捗状況について
○作業進捗状況について説明。(生田)
・将来交通量の推計結果について
・安全性評価に係る交通流シミュレーションの実施方法について 等
●交通流シミュレーションでは船舶の操船性能も考慮されているか?(古屋)
→考慮されている。別添資料を基に説明。(生田)
●沿岸国を受益者とした便益まで出すことは可能か?(伊崎)
→沿岸国での荷揚・荷卸の状況、背後地域への荷動きの状況を調査すれば可能。(生田)
●過去に公表されている実態調査結果と将来推計の数値との整合性については、内部で検討したい。(高野)
●沈船除去に係る費用実績、航路標識の整備・運用費用については、マ協からデータをいただきたい。(伊崎)
 
(3)その他
○次回は2月7日(月)に開催とした。
 
3. 第2回 ワーキンググループ
日時:平成19年2月19日(月) 15:00〜17:00
場所:(財)運輸政策研究機構 2階第2会議室
出席者:海野光行(日本財団)小谷哲男(海洋政策研究財団)、山越國利((財)マラッカ海峡協議会)、河野優((社)日本海難防止協会)、古屋隆行((社)日本船長協会)高野昌浩(海事局外航課)、羽生次郎((財)運輸政策研究機構)、伊崎朋康((財)運輸政策研究機構)、生田陽一((株)エム・オー・マリンコンサルティング)
 
議事:
(1)「マラッカ・シンガポール海峡の航行安全と環境保全の向上のためのシンポジウム」に関する進捗状況について
○現在の合意事項について説明。(伊崎)
・3月1日までに各発表者のドラフトを送付する。
・3月12日に準備会合がある。 等
○シンポジウム出席者の確認。(伊崎)
(2)MOMC「マ・シ海峡の航行安全対策等の費用対効果と費用負担」に関する分析結果について
○作業進捗状況について説明。(生田)
・将来交通量の推計結果について
・安全性評価に係る交通流シミュレーションの実施結果について
・費用便益の推計結果について 等
●費用便益の推計項目の中で、「流出油による損失の回避額」がマニュアルどおりの推計方法だと極めて低い数値となる。実態に即した考え方の見直しが必要。(伊崎)
●検討プロジェクトのうち、「津波により損害を受けた航路標識の復旧」については、効果が見えにくいため検討から除外すべき。(山越)
●DWとSWの入れ替えについては、船舶の整流効果が最も多く出ると想定される事業であるが、思ったほどの効果が出ていない。精査を願う。(古屋)
○各推計値については、精査を行った後メンバーに送付し確認願う。(伊崎)
 
(3)その他
○3月1日の資料送付に向けて、意見を事前に事務局まで送ることとした。
 
4. 稲村教授ヒアリング
日時:平成9年3月2日(月) 12:30〜15:30
場所:霞山会館「きく」の間
出席者:稲村肇(東北大学大学院教授)、伊崎朋康((財)運輸政策研究機構)、生田陽一((株)エム・オー・マリンコンサルティング)
 
議事:
(1)「マラッ力・シンガポール海峡の航行安全と環境保全の向上のためのシンポジウム」について
○目的、参加者、議題等について説明。(伊崎)
 
(2)日本からのプレゼンテーション資料について
○資料に基づき、内容説明。(伊崎)
○海外におけるプロジェクトの投資効果をみる場合、内価・外価分析が重要。(稲村)
○船社を受益者とした場合、細かく言えば保険料、マ・シ海峡通航船のサーチャージを分析しておく必要がある。保険料の料率がわかれば、便益の一部として組み込むべき。(稲村)
○流出油量の推計値については、大規模海難の発生確率分布をガンベル分布で求めておき、それに流出油量を当てはめるという方法もある。(稲村)
○フィリピンで発生した“Solar I”の海難に関するプレゼンテーション資料が流出油の事例として参考になる。(稲村)
○流出油が発生すると、沿岸国としては作業量が増えるという便益もある。(稲村)
○過去に発生した海難箇所とシミュレーションから得られた危険箇所との伽リブレーションは行ったか。(稲村)
→行った。(生田)
○航路標識の効果については、標識の整備間隔に応じて、船舶の針路のずれる率を与えることで効果が出せるのではないか。(稲村)
○マニュアルで示されている社会的割引率4%は、海外プロジェクトの評価においては適切でない。(稲村)
○B/Cの数値よりもEIRRの数値が重要。(稲村)
○全体的には、どのような値が出たかが重要ではなく、トレーサビリティーが確保されていることが重要。(稲村)
 
5. 「マラッカ・シンガポール海峡の航行安全と環境保全の向上に関するシンポジウム」
日時 平成19年3月13日 09時00分〜17時30分
平成19年3月14日 10時00分〜12時00分
場所 日航ホテルクアラルンプール
出席者 日本財団とマ・シ海峡沿岸国3つの研究機関との共催で開催。
参加者合計 194名:沿岸国非政府研究機関の代表、各国の船会社、荷主等、マ・シ海峡の安全確保及び環境保全に興味を持つ民間人を中心とする。
<日本>
日本財団 笹川陽平会長
運輸政策研究機構国際問題研究所 羽生次郎所長
<マレーシア>
マレーシア運輸大臣、マレーシア海事研究所 Ramli会長、マレーシア海事研究所 Cheah Kong Wai所長
<インドネシア>
東南アジア研究所 Hasjim Djalal所長
<シンガポール>
S・ラジャラトナム国際問題研究大学院 Robert Beckman教授
Joshua Ho主任研究員 等
議題 マ・シ海峡の管理に係る費用を沿岸国及び利用国、利用者で分担する仕組みの構築を目指した提言を行った。
<1. 各研究機関からの発表>
<日本>運輸政策研究機構国際問題研究所 伊崎 朋康主任調査役
「マ・シ海峡船舶通航量の将来予測に関する報告及びコスト・ベネフィット手法等を用いた今後取るべき航行安全対策・環境保全対策に関する提言」
<マレーシア>マレーシア海事研究所 Mohd Nizam Basiron研究員
「マ・シ海峡の航行安全対策・環境保全対策に必要な費用の分担に関する基本的な考え方」
<インドネシア>東南アジア研究所 Hasjim Djalal所長
「マ・シ海峡の航行安全対策・環境保全対策に関する国連海洋法条約の定める海峡利用国の役割」
<シンガポール>S・ラジャラトナム国際問題研究大学院 Robert Beckman客員主任研究員
「マ・シ海峡利用者による費用分担の必要性(企業に課せられる社会責任の観点から)」
<2. 海運関係者等からのコメント>
 (社)日本船主協会から、今後も任意の協力を継続したいとの発言があった。またICS(International Chamber of Shipping)、BIMCO、INTERTANKOからは、任意の協力について関係者と協議を行う用意があるとの発言があった。
<3. 提言とりまとめ>
 主催4団体が発表した研究成果、関係者からの発言をとりまとめ、シンポジウムの合意文書(Consensus Document)として主に次の点について合意した。
(1)マ・シ海峡の航行安全・環境保全対策に対して、利用者は「企業の社会的責任」の観点から、任意の協力をすべきであること。
(2)上記協力による基金を「マラッカ海峡基金」と提唱すること。
(3)マレーシア海事研究所は、主催者を代表して、本合意文書をIMO国際海事機関シンガポール会議で報告すること。
(4)主催4団体は、IMOシンガポール会議に向けて、基金の具体策についてのフォローアップ研究を進めていくこととする。


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