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オランダ焼鉢(やきはち)(マリア受胎告知)
 
17世紀 オランダ デルフト焼
高 8.4cm 径 35.0cm 松浦史料博物館蔵
 
 オランダの陶業の中心地デルフトで焼かれたもの。特徴から17世紀初・中期の制作とされる。図柄が非常にめずらしく、キリストを身ごもったことを告げる大天使ガブリエルと、それを聞く聖母マリアが描かれている。当資料は江戸時代を通じて平戸藩松浦家に伝来したが、詳細は不明である。図柄から考えて、松浦家内部におけるキリスト教信仰に関するものかもしれない。
 
ジャガタラ文(ぶみ)
 
寛文5年(1665)4月13日
41.8cm×51.5cm 紙本墨書 個人蔵
 
 平戸には諸外国からの貿易船が来航したため、その船員等と平戸在住の女性達との間に混血児が多く誕生した。江戸時代にはいりオランダ・イギリス商館が開設されてからは、商館員との間にも子供が誕生した。その子供達は父親に連れられ日本を離れもしたが、江戸幕府の「鎖国」政策により国外に追放された子供とその母親がいた。本資料は、平戸から追放された谷村三蔵召使、六兵衛の妻、「ふく」の手紙である。手紙は、長崎出島にもたらされた手紙を検閲し、許可を行った長崎奉行所への「御慈悲」に感謝する書き出しとなっている。
 
外国人之図(がいこくじんのず)(明人部分)
 
江戸時代
27.8cm×823.2cm 紙本着色
 
 平戸藩松浦家に伝来し極彩色の絵巻でポルトガル人・オランダ人・イギリス人などのほか、アジア諸国の成人男女および子供達が総計43人描かれている。
 大航海時代には多くの諸外国の船乗り等と平戸の女性との間に子供が誕生した。その中でも、現在の中国・台湾において民族的英雄とされる鄭成功(ていせいこう)(1624-1662)は有名である。鄭成功は、鄭芝龍と平戸の女性田川マツとの間に誕生した。貿易船団を率いて対日貿易を支配し、明朝復興を目指し、清朝と戦った。
 
鄭氏糸印(ていしいといん)
 
17世紀 金属
高 4.4cm
 
 「鄭氏」と加工された金属製の糸印。糸印とは、中国から日本に輸入された生糸一斤ごとに押されたもの。鄭芝龍あるいは鄭成功に深く関係する遺品と考えられる。これは江戸時代に鄭芝龍が居宅を構えた平戸川内に伝来していたものである。


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