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V 「PSC検査官ネットワーク」ブルネイ編
現地日程表
項目 場所
2007年1月21日(日) 移動(バンコク〜ブルネイ、バンダルスリブガワン)
2006年1月22日(月) ブルネイ海事局担当官とのミーティング(出席者名簿は別紙4) ブルネイ国海事局(在バンダルスリブガワン)
検査官との懇親会
2006年1月23日(火) 移動(バンダルスリブガワン〜マレーシア、シャーアラム)
 
(国内作業)
1. 名簿の作成
 各国のPSC検査官のデータベースを整備するために、まず、ブルネイPSC検査官で、過去東京エムオウユウのPSC検査官研修プログラムを受講したことのある者の名簿を作成し、完成名簿のひな型とした。
 
 同時に、事務局を提供している国として、日本の現PSC検査官の名簿も作成、提出した(巻末別表1参照)。
 
(海外作業)
2. ネットワーク構築調査
(1)ブルネイ訪問に至る経緯
 ブルネイは、1999年にオーストラリアのケアンズで開催されたPSC委員会の本会議で、東京エムオウユウのオブザーバーとして認められた。最初の数年は、東京エムオウユウの活動への参加に積極的姿勢を見せ、東京エムオウユウの初級PSC官研修に2000年、2001年及び2003年各1名ずつ参加した。
 
 しかし、PSC委員会への出席は2000年のシンガポールでの第8回会議を最後に滞り、2004年以降研修への参加への意欲も示さなくなった。
 
 このため、その後東京エムオウユウの活動への参加が途絶え、2005年11月のバンコクでのPSC委員会で、オブザーバーの資格を剥奪された。
 
 しかし、ブルネイは外国船の寄港もあり(1999年で250隻)1、また石油と天然ガス産出により経済水準も高く、内政が非常に安定しており、事務局としては同国が東京エムオウユウの一員としてPSCを行い得る能力があるとの認識を有している。このため、今回前述の計3名の東京エムオウユウの研修受講者の現在の状況、実質的な研修の成果、研修後の定着状況等の聴取とともに、東京エムオウユウへの参加等に関する意見を交換すべく、下記の日程で訪問した。
 
(2)日程
 平成19年1月22日(月)午前、ブルネイ海事局の副局長、Bolkini氏らとミーティングを行なった。その後、事務所の在る港を視察した。その夜、事務局が夕食会を催し、関係者との情報交換並びに懇親の場を持った。
 
(3)現地派遣者
寧 正  財団法人 東京エムオウユウ事務局 企画課長
秋元 文子  財団法人 東京エムオウユウ事務局 業務課長
小久保 佐恵喜 国土交通省 海事局 総務課 外国船舶監督業務調整室 専門官
 
.1 ネットワーク事業の趣旨説明等
.1.1 事務局より本事業の説明を行なったところ、ブルネイは既に東京エムオウユウを離脱しているが、ネットワーク設立の趣旨に賛同を示し、過去に東京エムオウユウの研修に自国検査官を送り出した国として、自国PSC関係者の名簿の作成に協力する旨の発言があった。
 
.1.2 続いて事務局業務課長が、2006年に改正された東京エムオウユウの研修プログラムの概要の説明を行なった。また企画課長は、最近の東京エムオウユウの活動の概要について説明した。
 
.2 ブルネイの現状報告等
.2.1 次に海事局副局長より、以下の現状報告があった。
.2.2.1 ブルネイではここ数年寄港する外国船の数が減っており、また同国寄港前にシンガポールかマレーシアで6ヶ月以内にPSCを受けている場合が多く、PSCをほとんど実施していない。
.2.2.2 前述のような状況から、2007年初めに海事局の組織改正があり、旗国籍船の検査等に専念するような体制が組まれた。東京エムオウユウの初級研修を受講した3名も、現在は旗国船検査の業務が中心である。
.2.2.3 現在船舶検査官は全部5-6名である。シンガポールが、積極的に検査官の研修を引き受けてくれている。
.2.2.4 東京エムオウユウに参加しなかった理由については、一人当りの国民総生産(GNP per capita)をパラメーターとした分担拠出金の算出方法に不満があったこと等である。
 
.3 事務局の説明
.3.1 分担供出金の算出方法については、2004年に変更があり、従来一人当りの国民総生産の数値はもはや用いられていないことを説明した。2
 
.3.2 また、現在では前回PSCより6ヶ月以内でも、検査の優先度を数値で示すターゲットファクターにより検査を行なうべきかどうかを決定していることを説明した。
 
.3.3 更に、オブザーバーへの復帰を働きかけた。
 
.4 ブルネイの反応
.4.1 .3の事務局の説明に対し、ブルネイ担当者は、東京エムオウユウへ再び参加する希望があることを示した。但し、向こう2-3年内には体制上無理であり、時間をかけて上層部を説得していきたいとの説明があった。
 
.4.2 いずれにせよ、今年の12月までには、今後の計画・意思を事務局に文書で表明したいとのことであった。また、事務局訪問に対する謝辞が述べられた。
 
3. とりまとめ作業
 国内作業1. を元に、2. の海外作業で得られた情報、意見を勘案して、具体的な成果として次のリストを作成した。
 
■ブルネイPSC関係者名簿(巻末別表5)
 
1 出典:Lloyd's Marine Intelligence Unit(LMIU)
2 ブルネイがオブザーバーになった当初、東京エムオウユウに加入した場合の拠出金を試算した際、一人当りの国民総生産が当時の東京エムオウユウのメンバー国の中でも高かったので、これを根拠に計算するとブルネイの分担金はシンガポールのそれを上回ることになるので、加入には難色を示していた。


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