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気象海象のはなし

 事業名 小型船舶の安全確保
 団体名 関東小型船安全協会 注目度注目度5


3-2 雲の種類とことわざ・言い伝え(参考文献9)
 前項の「山の景色が天気の予報」で述べたように、観天望気は雲からであり、天気を理解するには雲を知ることが非常に大切であることから、雲の種類別に、ことわざ・言い伝え、を加えて説明する。
 雲は天を仰いで見ていると色々な形に見え、その種類は千差万別あるものとに思われるが、基本的には「絹雲」、「層雲」、「積雲」の3つの型どれかに該当し、さらに、上層、中層、下層、垂直に発達する雲に分け、10種類雲形として整理されている。
 
雲の分類(十種雲形)
◎上層雲(高度6,000m以上 温度-25度以下)
【巻(絹)雲(すじ雲 Ci: Cirrus)】
 
 
 低気圧や前線の前触れとして出てくる白い雲で陰影がなく、温暖前線にそって一番先に現れる。
 この雲は昔から荒天の前ぶれとして注意されており、見掛け上放射状に見えるすじ雲の収束している点が北西や南西にあれば時化の前ぶれで、北西の時は雨も伴うことが多いとされてる。鈎状や釣針のような形をした巻雲は天気の崩れる前兆で、巻雲は大体西から来るが、たまに東から来ると晴れる。ハケ状の厚い巻雲が西から東に速く動くと天気が崩れる。また、巻雲が消えていけば好天、下層の雲に変わっていけば天気が崩れる前兆。
*白い細長い雲は天気変わりなし。(静岡・御前崎地方)
 巻雲が現れると天気は崩れるといわれているが、白い細長い雲(かぎ状の巻雲)は上層気団が安定していることを示す。
 
【巻(絹)積雲(うろこ雲、まだら雲、鰯雲 Cc: Cirrocumulus)】
 
 
 巻雲や巻層雲の変化する過程にある雲で氷晶ででき濃淡も少ない高層の雲で、うろこ状の白片が細かく縮緬状になっている巻積雲の上層には不連続面がある証拠で低気圧の接近前によく現れ、ほぼ12時間以内に雨となる。
 巻積雲の雲量が減少していけば好天。雲量が変わらずに雲形が変化するようであれば天気は悪い方に向う。
*鯖(さば)雲が出れば時化。(一般)
*鯖雲は雨。(一般)
 さば雲はうろこ雲、いわし雲とも呼ばれ、性質の異なる二つの空気が接触し合っている前線面があるときにできる雲で、西の方から低気圧が近付いていることを示し、二・三日後に雨となることが多い。
*うろこ雲が出たら二日のうちに雨か風。(一般)
*うろこ雲と厚化粧の女は長続きしない。(一般)
 うろこ雲は見た目には綺麗だが、天気の崩れる前兆。厚化粧の女は、一見綺麗に見えるが化粧を落としたら二目と見られない。
 
【巻(絹)層雲(うす雲 Cs: Cirrostratus)】
 
 
 無数の氷晶(氷の粒)が集まってできている雲で、この雲は温暖前線の先駆として現れ、低気圧の接近とともに次第に厚さを増して中下層の雲に変化し地雨性のシトシト雨が降りやすくなる。日の暈、月の暈は巻層雲の特長とされ、暈が出た時の雨となる確率は60%くらいとされている。
*太陽や月に傘がかかると天気は悪くなる。(一般)
 傘は太陽や月の周りにできる白色の光の輪で、巻層雲(すじ雲、しらす雲ともいう)がかかっていることを示す。前線や低気圧が近付いており、天気がくずれる前兆。
*朝小日は西風強い兆し。(静岡・浜名湖地方)
 小日(こび)とは、太陽のどちらかの側にできるボヤケタ太陽のような雲のことで、おそらく日暈(ひがさ、暈とは太陽や月の周囲を取り巻くうすい光りの輪)のことを指していると思われ、朝方に日暈を見れば西風が強くなる兆し。
*月傘ナライの日傘雨。(静岡・田子の浦地方)
 月暈(月の周囲を取り巻くうすい光りの輪)があるとき、東風(ナライ)で日暈があるときは雨になる。
*春、太陽に輪が付くと天気は下り坂。(静岡・熱海、初島地方)
*太陽が腰をとると時化になる。(茨城・銚子地方)
 腰をとるとは、太陽に日傘(日暈)ができること。
*こびをとると明日は時化る。(茨城・那珂湊地方)
 こびは小日で、太陽の日傘(日暈)のことをさす。
*月が赤いと天気が変わる。(一般)
 低気圧が近付き、空気中の水蒸気が多くなったために月の色が赤く見えるので、天気は下り坂となる。
 
◎中層雲(高度2,000〜6,000m 温度0〜-25度)
【高積雲(羊ぐも Ac: Altocumulus)】
 
 
 高積雲は一般に晴れの前兆とされているが、空一面のくもり空から高積雲に変わると好天となるが、この雲が波状になって空一面に広がると60%くらいの確率で雨となる。(普通温度や湿度の連なった大気の不連続面があると雲は波状となる)。また、高積雲の変種にレンズ雲が有り、これは層積雲等他の雲の変種としても現れる。
 レンズ雲の一種に、つるし雲と言って山に当たった風の乱気流でできるあまり移動しない雲や2重3重にくっついた提灯のような雲が現れると数時間後に強風となることが多い。
*レンズ雲が見えたら風が強くなる。(一般)
 レンズ雲は高積雲に属し凸レンズのような形をした白い雲で、上空の風が強いときに現れる。秋から冬あるいは早春に、比較的高い山の上空でしばしば見られる。
*二重三重に雲がでて「たこのくそ」といわれる乱れ雲が飛ぶと風の吹く雨となる。(静岡・御前崎地方)
 発達した低気圧が近づくときには、雲は上層雲から下層雲へと次々に変化するので、「たこのくそ」のような乱れ雲は動きが急となり、これは時化の前兆。
*大瀬埼に蝶々雲が出れば雨。(静岡・静浦地方)
 大瀬崎に蝶々が飛んでいるようなちぎれ雲(高層雲・乱層雲・積雲・積乱雲に付随して現れる雲)が出ると天気は下り坂
*筑波の方から(山から)蝶々が飛んでくると、ならい(まかた)が強くなる。(茨城・那珂湊地方)
 筑波山の方からちぎれ雲が流れてくると北北西(まかた)の風が強くなる。
 
【高層雲(おぼろ雲、花ぐもり As: Altostratus)】
 
 
 温暖前線の緩かな地表に対する勾配を大気がゆっくりと這上り全天にベール状に拡がったもので、太陽や月の輪(暈)は無く、太陽や月はボヤけて見える。この雲の下に黒い引き千切れたような雲(コゴリ雲)がでてくると殆ど雨となり、また、帯の様な高層雲が現れると、天気は不安定で付近に発達した前線などがある証拠で、大雨となるおそれがある。
*いぬい藤が出ると雨になる。(静岡・御前崎地方)
 いぬいは「乾」で北西。北西方向から藤の花のような白い長い雲(高層雲)が出ると雨になるということで、北西方向に発達した低気圧があることを示しており、天気は下り坂となる。
 
◎下層雲(高度2,000m以下 温度-5度以上)
【層積雲(うね雲 くもり雲 Sc: Stratocumulus)】
 
 
 空一面に広がった、きり雲と垂直に発達するわた雲を合わせて2で割った様な下層に出来る雲で、畑のうねの様な波状になったり積雲を偏平にした形をして空に浮かんでいる。この雲は晴天時にも、天気が悪い時にも現れ、積雲が偏平状に薄くなって層積雲に変化して来たり、うね状の雲の隙間から青空が覗くようなら晴の層積雲で、輪郭がぼやけたり乱れて次第に厚く暗色になる層積雲は雨の兆しとなる。
 層積雲の変種として山の頂上付近にかかる笠雲やレンズ雲の一種のつるし雲などがあり昔から「山が笠を被れば風や雨」などと言って天気の予知によく利用されている。
*南西または南東に鳥鳥雲がでると強風。(神奈川・三崎地方)
 鳥鳥雲は小さなちぎれ雲のこと。蝶々雲と同義。
*鳥鳥雲が次々飛べば荒天の兆し。(千葉・大海地方)
 
【層雲(きり雲 St: Stratus)】
 
 
 雲の中で一番低い所にでる雲で山の中腹などにたなびいて見られる。薄い雲で雲の切れ目に青空が見えればやがて晴れ上がる。逆に段々雲が厚くなるのは、この雲の上に乱層雲などがある為で天気は悪くなる。層雲自体は霧雨を伴うことがよくあるが雨量は多くない。
*波勝埼にツウジ雲高いほどニヤの風が吹く。(静岡・由比、蒲原地方)
 伊豆半島の西端、波勝埼にかかるツウジ雲(低い層雲?)の底辺が水平線から離れて高くなるほど西風(ニヤの風)が強くなる・・・低い層雲が西風で吹き飛ばされるからと思われる。
 
【乱層雲(あま雲 Ns: Nimbostratus)】
 
 
 雲の上の丸みも積雲のようにはっきりしておらず、ぼやけて雲低も乱れ不定形をした雲で、暗灰色やねずみ色をしていて雨量の多い地雨性(シトシト雨)の雨や雪を降らせ、乱層雲の下に片乱雲(ちぎれぐも)が飛ぶような時や雲低から地表に達しない尾流雲が出ている時、また乱層雲の雲底に層雲があるような場合は天気は益々悪くなる。
*観音崎の雲が筋雲(ちぎれ雲)になれば南の風が吹き出す。(東京湾)
*冬富士山くっきり頂上付近にちぎれ雲、まもなく西〜北西の吹き出し。(東京湾)
*いなさの入れ雲は、大時化の兆し。(千葉・那珂湊地方)
 南東の風で、黒い雲が海から陸に飛んでいくときは大時化になる。
*東風(いなさ)の雲が早く流れるときは突風を伴う雨が降る前触れ。(神奈川・葉山地方)
 低気圧あるいは前線の前面(東側)の雲は、東または南東から動き出す。この雲が早く西に流れるときは強い低気圧や前線が接近していることを示す。
 
◎対流雲(高度600m〜12,000m 温度-50(雲頂))
【積雲(わた雲 Cu: Cumulus)】
 
 
 この雲は垂直に発達して行く雲の一種で、
(1)地面が暖められて軽くなって上昇した大気に含まれる水蒸気が凝結して出来る。
(2)大気が低気圧の前線面に沿って上昇する。
(3)上空に寒気があって地表の大気と激しい対流を起こした時に形成され、雄大積雲は夏の日差しがきつい時、寒冷前線の激しい上昇気流の有る所で上へ上へと立ち上がっている雲。
 積雲は晴れた日によく見られる雲であるが、片積雲(千ぎれた積雲)が飛んでいるように見える時は風が強い。また、昼間出ていた積雲が夕方になって小さくなれば翌日は好天、積雲の頭部の丸みが無くなって暗灰色じみた積雲は雨の兆し。
*「帯をしめる(横に雲ができる)」「雲の頭が平らになる」「水平線より浮き上がる」ときは上げ雨(にわか雨)がくる。(静岡・御前崎地方)
 積雲(あるいは積乱雲)の形が、「帯をしめるように横に拡がる」「雲の頭が平らになる」「水平線より浮き上がる」ように変化するときは、積雲(あるいは積乱雲)が活発であることを意味し、にわか雨、突風などの影響が出てくる。
*入道雲が水平線にビッタリ付いているときは照り続き。(静岡・御前埼地方)
 入道雲(積雲または積乱雲)は遥か遠い洋上にあり、しかもそれが動かぬことは、御前崎付近は安定した高気圧に覆われていて上天気であることを示している。
*御前崎沖に立ち雲かおる場合天気が下り坂。(静岡・坂井、平田地方)
 立ち雲とは積雲(または積乱雲)のこと。
*丹沢の大山に立雲あれば夏の雷立ち(カンダチ)。(静岡・熱海、初島地方)
 丹沢の大山(1,246m)に立雲(積雲または積乱雲)が出ると雷雨になるという。大山は雨降山ともいわれ、大山・阿夫利神社の名はそこからでたともいわれている。
*タツカの立ったときは時化の前触れ。(神奈川・大磯地方・茅ケ崎地方)
 タツカとは入道雲・立ち雲(積雲または積乱雲)のこと。
*東沖に立ち雲出ればうねり来る。(神奈川・腰越地方)
*白浜の南東に立雲出ると天気くずれる。(千葉・白浜地方)
*朝雷立ちは時化のもと。(神奈川・腰越地方)
 朝の雷立ち(雷雨)は時化の前兆。積雲あるいは積乱雲が発生したことを示している。
*宵に雷鳴れば明日は凪。(神奈川・長井地方)
*大山の雷立ちと隣のボタ餅は必ず来る。(神奈川・腰越地方)
 
【積乱雲(入道雲 立ち雲 雷雲 Cb)】
 
 
 積雲と同じ発達過程を経て垂直に発達し、成層圏付近の圏界高度まで達した雲で、この辺の上空になると偏西風により積雲の頭部は吹き乱されて“かなとこ状”になる。冬や春の比較的暖かい日の西空にこの雲が現われると間もなく俄雨(驟雨性の雨)、雷鳴、突風となる。積乱雲は寒冷前線の上昇気流によって発達する場合が多く、突風の目的とも言える雲であり、寒冷前線の通過は、今まで南よりの風が急に北よりに変わったことで知ることが出来る。
*かなとこ雲は暴風雨の先触れ。(一般)
 積乱雲の上部がかなとこ状になったもので、この雲ができるときは積乱雲の活動が強いことを意味し、雷、雹、突風を伴ってやってくることが多い。
 
[豆知識] 温帯低気圧と雲の形成
 図の上部は温帯低気圧の地上天気図、下部はそれに対する断面図を示す。
 図に示すとおり、低気圧の中心から約1000km東側には巻雲が現れている。
 この雲が次第に増え、層雲が現れるようであれば、低気圧が接近し天気は悪化、薄れていくようであれば、低気圧はそれ、天気は崩れない。
 
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更新日: 2019年7月13日

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