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精神障害者の薬物療法
2006年6月17(土)
医療法人社団翠会 成増高等看護学校
専任教員  辻脇 邦彦
 
(拡大画面:138KB)
 
平成18年度 日本財団助成事業
領域別修了認定証発行・訪問看護基本療養費II算定要件取得 研修
平成18年度 精神障害者の在宅看護セミナー 前期
精神障害者の薬物療法
(1)在宅における最新医療管理・処置
(2)在宅における服薬管理と副作用
2006年06月17日(土) 09:30〜12:30
 
医療法人社団翠会 成増高等看護学校
辻脇 邦彦
(1)在宅における最新医療管理・処置
−非定型抗精神病薬を中心に−
□多剤併用大量投与(処方)の問題
□定型抗精神病薬と非定型抗精神病薬
□急性期治療と非定型抗精神病薬
□慢性期治療と非定型抗精神病薬へのスイッチング
 
多剤併用大量投与(処方)の問題
日本臨床精神薬理学会
(地域フォーラムH16.4)
■多剤大量投与の現状
〜日本の常識は世界の非常識〜
■大量投与から至的用量へ
■多剤から単剤へ
■従来薬から新規抗精神病薬へ
 
抗精神病薬併用の問題点
1. どの薬剤が有効であり、どの薬剤が無効であるのかが確定できず、至適用量を決めがたい
2. 副作用が出現したときもとの薬物が原困か不明
3. 向精神薬を少量づつ多剤併用すると、どの薬物も治療有効レベルまで達しない可能性
4. 併用する薬物によっては向精神作用が減弱する
5. 抗コリン作用が強い薬物(低力価抗精神病薬、三環系抗うつ薬、抗パーキンソン薬など)の併用は重度の便秘やイレウスの原因となるなど薬物相互作用に基づく有害作用出現のおそれがある
6. 調剤ミスの誘発
7. 服薬コンプライアンスの低下
精神科治療体系第5巻−向精神薬の副作用とその対策
 
定型抗精神病薬と非定型抗精神病薬
主な抗精神病薬
定型抗精神病薬
(従来型のもの)
・ハロペリドール
(セレネース・リントン・ハロステン)
・クロルプロマジン
(ウインタミン・コントミン)
・レボメプロマジン
(ヒルナミン)
・ブロンペリドール
(インブロメン)
・チミペロン
(トロペロン)
非定型抗精神病薬
(新規のもの)
・リスペリドン
(リスパダール)
・クエチアピン
(セロクエル)
・ペロスピロン
(ルーラン)
・オランザピン
(ジプレキサ)
 
ドーパミン部分作動薬
・アリピプラゾール
(エビリファイ)
 
統合失調症のドーパミン過剰仮説
(1)抗精神病薬の臨床容量とドーパミン2(D2)受容体との親和性に相関関係があること。
(2)統合失調症患者の一部に脳内D2受容体密度が増加していること。
(3)神経終末からドーパミン放出を促進するメタアンフェタミン(覚せい剤)の連用により、幻覚や妄想などの統合失調症様の症状が誘発される。
 
定型(従来型)抗精神病薬
 
 
従来型抗精神病薬の作用機序仮説
 
抗精神病薬の臨床効果
 抗精神病薬は眠らせることなく周囲の刺激に無関心とさせる基本的な作用を共通して有し、臨床的には次のような作用を示します。
(1)抗幻覚妄想作用
精神疾患患者の行動を左右し混乱させている幻覚や妄想を抑える作用
(2)鎮静作用(非特異的)
精神病性の不安興奮を抑える作用
(3)抗自閉・賦活(ふかつ)作用(非定型抗精神病薬)
慢性患者の意欲自発性の低下を改善する作用
 
新規抗精神病薬の開発の流れ


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