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精神障害者の病態と最新の治療法
2006年6月16日(金)
桜ヶ丘記念病院 診療部
医長  中谷 真樹
 
君にぜひ知ってほしいのだが、
僕はほかに方法があれば、
何も真面目に狂気を選んだりはしなかっただろう
 
――ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ(1989)
 
A. 総論
精神医学の歴史
古代インド
・紀元前12世紀より前に古文書「カルカ・スミタ」に精神疾患を思わせる人の記述
古代ギリシャ
・Hippocrates(450〜355BC)
 精神病は身体の病気(てんかん、ヒステリー、メランコリー)
中世ヨーロッパ
・神より罰を与えられた罪人(魔女狩り)
1793年 鉄鎖からの解放
・Ph.ピネル(仏)精神病者は罪人ではなく「治療をけるべき病人」 ビセートル病院/サルペトリエール病院
19世紀
・精神病院での本格的治療が始まる
・「変質論」J.J.V.マニュアンから「精神病脳病説」W.グリージンガー
20世紀はじめ
・精神分析 心理現象を力動的に解釈 S.Freud
・疾病論 E.Krepelin 早発痴呆(緊張病+破瓜病)と循環病
・Schizophrenia提唱 E.Bleuler 「基本症状」
・「一級症状」 K.schneider
1952年
・クロルプロマジンの抗精神病薬の発見 J.Delay
 
精神障害
精神のアンバランスを示す広い概念
 
精神医学の治療法
・薬物療法
治療薬(向精神薬)を用いる。
・精神療法
薬物などの物理的手段を用いず、治療者が患者に言葉などで働きかける。
・心理社会療法
疾病教育とリハビリテーションにより各種生活能力を取り戻し、または身につけ、社会復帰を図る。
 
薬物療法 向精神薬
・抗精神病薬
従来型:セレネース、フルメジン、コントミン、レボトミン
非定型:リスパダール、ジプレキサ、セロクエル、ルーラン
・抗うつ薬
三環系・四環系:トリプタノール、トフラニール、ノリトレン、アモキサン、ルジオミール
SSRI: パキシル、ルポックス・デプロメール
SNRI: トレドミン
・気分安定薬
リーマス、テグレトール、デパケン
・抗不安薬
ベンゾジアゼピン系:セルシン・ホリゾン、メイラックス、デパス、ソラナックス
・睡眠薬
ベンゾジアゼピン系:ハルシオン、レンドルミン、ペンザリン・ネルボン、マイスリー
 
地域連携
 
診断基準
・DSM-IV
・ICD-10
・古典的診断基準
 
B. 各論
1. 統合失調症
・Schizophrenia 分裂+横隔膜(心)
・精神分裂病
・統合失調症
 
統合失調症とは
・100人に1人の割合で発症するといわれている
・脳の機能がうまく働いていないためにおこる、脳の機能障害である
・脳が活発な時に発症しやすいといわれている−10代後半から30代頃にも最も多い
 
発症にいたる一般的な経緯
 
脳の機能がうまくいっていない
・様々な刺激を伝え合う神経のネットワークにトラブルが生じている。
・情報処理能力
・感情
・意欲
・コミュニケーション能力
 
脳の横断画像(MRI)
 
神経伝達物質と精神症状
神経伝達物質 関連する精神症状
ドーパミン 幻覚、妄想、考路障害、常同行動
ノルアドレナリン 不安、焦燥、妄想気分、運動興奮
セロトニン 自閉、接触障害、感情・意欲鈍麻、抑うつ
 
ドーパミンと精神症状


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