日本財団 図書館


〔付録〕
電波法関係規則(抜粋)
 GMDSS(海上における遭難及び安全に関する世界的な制度)の制定に当たっては、国際海事機関(IMO)とともに、国際電気通信連合(ITU)内の組織の一つである国際無線通信諮問委員会(CCIR)がその構成機器の性能要件についての研究を続けて多くの報告、勧告などをまとめている。1987年にはジュネーブにおいて移動業務に関する世界無線通信主管庁会議(WARC-MOB-87)が開催され、それらに基づいてGMDSSの実施に伴うものを含めて無線通信規則(RR)の改正が行われ、1989年10月と1991年7月の二段階に分けて実施されることになった。これらの勧告と改正の各条項は、IMOにおけるSOLAS条約の改正によるものとを合わせて、電波法とその関係省令と告示の改正に順次取入れられている。
 すなわち、GMDSSに関連する電波法の改正は平成元年11月7日に第一回の改正が、次いで平成3年5月2日に二回目の改正が行われ、これで電波法としてのGMDSSの実施に伴う改正は完了したことになる。
 一方、省令と告示の改正は、平成2年9月18日に電波法施行規則、無線局免許手続規則、無線設備規則、無線機器型式検定規則、無線局運用規則及び無線局定期検査規則の一部改正とそれらの条文に基づく告示の制定が行われた。第二回の法改正による省令改正も順次行われており、その後の変更も行われている。
 以下、現在までの改正を含めたこれらの関係法令の関係部分を抜粋して示す。
1 電波法
第一章 総則
(定義)
第二条(抄) この法律及びこの法律に基づく命令の規定の解釈に関しては、次の定義に従うものとする。
一 「電波」とは、300万MHz以下の周波数の電磁波をいう。
二〜四 略
五 「無線局」とは、無線設備及び無線設備の操作を行う者の総体をいう。但し、受信のみを目的とするものを含まない。
六 略
 
第二章 無線局の免許
(無線局の開設)
第四条(抄) 無線局を開設しようとする者は、総務大臣の免許を受けなければならない。(後略)
(点検事業者の登録)
第二十四条の二 無線設備等の点検の事業を行う者は、総務大臣の登録を受けることができる。
2 前項の登録を受けようとする者は、総務省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を提出しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
二 事業所の名称及び所在地
三 点検に用いる測定器その他の設備の概要
3 前項の申請書には、業務の実施の方法を定める書類その他総務省令で定める書類を添付しなければならない。
4 総務大臣は、第1項の登録を申請した者が次の各号のいずれにも適合しているときは、その登録をしなければならない。
一 別表第一に掲げる条件のいずれかに適合する知識経験を有する者が無線設備等の点検を行うものであること。
二 別表第二に掲げる測定器その他の設備であって、次のいずれかに掲げる較正(こうせい)又は校正(以下この号、第三十八条の三第1項第二号及び第三十八条の八第2項において「較正等」という。)を受けたもの(その較正等を受けた日の属する月の翌月の一日から起算して一年以内のものに限る。)を使用して無線設備の点検を行うものであること。
イ 独立行政法人情報通信研究機構(以下「機構」という。)又は第百二条の十八第一項の指定較正機関が行う較正
ロ 計量法(平成四年法律第五十一号)第百三十五条又は第百四十四条の規定に基づく校正
ハ 外国において行う較正であって、機構又は第百二条の十八第1項の指定較正機関が行う較正に相当するもの
ニ 別表第三の下欄に掲げる測定器その他の設備であって、イからハまでのいずれかに掲げる較正等を受けたものを用いて行う較正等
三 無線設備の点検を適正に行うのに必要な業務の実施の方法が定められているものであること。
5 次の各号のいずれかに該当する者は、第1項の登録を受けることができない。
一 この法律に規定する罪を犯して刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者であること。
二 第二十四条の十又は第二十四条の十三第3項の規定により登録を取り消され、その取消しの日から二年経過しない者であること。
三 法人であって、その役員のうちに前二号のいずれかに該当する者があること。
6 前各項に規定するもののほか、第1項の登録に関し必要な事項は、総務省令(*)で定める。
*登録点検事業者等規則第二条
 
第三章 無線設備
(電波の質)
第二十八条 送信設備に使用する電波の周波数の偏差及び幅、高調波の強度等電波の質は、総務省令(*)で定めるところに適合するものでなければならない。
*設備規則第五条−第七条
(安全施設)
第三十条 無線設備には、人体に危害を及ぼし、又は物件に損傷を与えることがないように、総務省令(*)で定める施設をしなければならない。
*施行規則第二十二条の二−第二十七条
(計器及び予備品の備えつけ)
第三十二条 船舶局の無線設備には、その操作のために必要な計器及び予備品であって、総務省令(*)で定めるものを備えつけなければならない。
*施行規則第三十条−第三十一条
 
(義務船舶局の無線設備の機器)
第三十三条 義務船舶局の無線設備には、総務省令で定める船舶及び航行区域の区分に応じて、送信設備及び受信設備の機器、遭難自動通報設備の機器、船舶の航行の安全に関する情報を受信するための機器その他の総務省令で定める機器を備えつけなければならない。
(義務船舶局等の無線設備の条件)
第三十四条 義務船舶局及び義務船舶局のある船舶に開設する総務省令で定める船舶地球局(以下「義務船舶局等」という。)の無線設備は、次の各号に掲げる要件に適合する場所に設けなければならない。ただし、総務省令で定める無線設備については、この限りではない。
一 当該無線設備の操作に際し、機械的原因、電気的原因その他の原因による妨害を受けることがない場所であること。
二 当該無線設備につきできるだけ安全を確保することができるように、その場所が当該船舶において可能な範囲で高い位置にあること。
三 当該無線設備の機能に障害を及ぼすおそれのある水、温度その他の環境の影響を受けない場所であること。
第三十五条 義務船舶局等の無線設備については、総務省令で定めるところにより、次に掲げる措置のうち一又は二の措置をとらなければならない。ただし、総務省令で定める無線設備についてはこの限りではない。
一 予備設備を備えること。
二 その船舶の入港中に定期に点検を行い、並びに停泊港に整備のために必要な計器及び予備品を備えること。
三 その船舶の航行中に行う整備のために必要な計器及び予備品を備え付けること。
 
(無線設備の機器の検定)
第三十七条(抄) 次に掲げる無線設備の機器は、その型式について、総務大臣の行う検定に合格したものでなければ、施設してはならない。ただし、総務大臣が行う検定に相当する型式検定に合格している機器その他の機器であって総務省令(*1)で定めるものを施設する場合は、この限りでない。
一 略
二 船舶安全法第二条(同法第二十九条ノ七の規定に基づく政令において準用する場合を含む。)の規定に基づく命令により船舶に備えなければならないレーダー
三 船舶に施設する救命用の無線設備の機器であって総務省令(*2)で定めるもの
四 第三十三条の規定により備えなければならない無線設備の機器(前号に掲げるものを除く。)
五 第三十四条本文に規定する船舶地球局の無線設備の機器
六 略
*1 施行規則第十一条の五
*2 施行規則第十一条の四第1項
 
第四章 無線従事者
(無線従事者の資格)
第四十条(抄) 無線従事者の資格は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に掲げる資格とする。
一 無線従事者(総合)次の資格
イ 第一級総合無線通信士
ロ 第二級総合無線通信士
ハ 第三級総合無線通信士
二 無線従事者(海上)次の資格
イ 第一級海上無線通信士
ロ 第二級海上無線通信士
ハ 第三級海上無線通信士
ニ 第四級海上無線通信士
ホ 政令(*1)で定める海上特殊無線技士
三〜四 略
*1 無線従事者の操作の範囲を定める政令第二条第一項
(遭難通信責任者の配置等)
第五十条(抄) 旅客船又は総トン数三百トン以上の船舶であって、国際航海に従事するものの義務船舶局には、遭難通信責任者(その船舶における第五十二条第一号から第三号までに掲げる通信に関する事項を統括管理する者をいう。)として、総務省令で定める無線従事者であって、船舶局無線従事者証明を受けているものを配置しなければならない。
2 略
 
第五章 運用
第一節 通則
(目的外使用の禁止等)
第五十二条(抄) 無線局は、免許状に記載された目的又は通信の相手方若しくは通信事項(放送する無線局については放送事項)の範囲を超えて運用してはならない。だたし、次に掲げる通信については、この限りではない。
一 遭難通信(船舶又は航空機が重大かつ急迫の危険に陥った場合に遭難信号を前置する方法その他総務省令(*1)で定める方法により行う無線通信をいう。以下同じ。)
二 緊急通信(船舶又は航空機が重大かつ急迫の危険に陥るおそれがある場合その他緊急の事態が発生した場合に緊急信号を前置する方法その他総務省令(*1)で定める方法により行う無線通信をいう。以下同じ。)
三 安全通信(船舶又は航空機の航行に対する重大な危険を予防するために安全信号を前置する方法その他総務省令(*1)で定める方法により行う無線通信をいう。以下同じ。)
四 非常通信(地震、台風、洪水、津波、雪害、火災、暴動その他非常の事態が発生し、又は発生するおそれがある場合において、有線通信を利用することができないか又はこれを利用することが著しく困難であるときに人命の救助、災害の救護、交通通信の確保又は秩序の維持のために行われる無線通信をいう。以下同じ。)
五〜六 略
*1 施行規則第三十六条の二
(擬似空中線回路の使用)
第五十七条(抄) 無線局は、左(下記)に掲げる場合には、なるべく擬似空中線回路を使用しなければならない。
一 無線設備の機器の試験又は調整を行うために運用する。
二 略
(秘密の保護)
第五十九条(抄) 何人も法律に別段の定めがある場合を除くほか、特定の相手方に対して行われる無線通信(略)を傍受してその存在若しくは内容を漏らし、又はこれを盗用してはならない。
(時計、業務書類等の備付け)
第六十条 無線局には、正確な時計及び無線検査簿、無線業務日誌その他総務省令(*1)で定める書類を備え付けておかなければならない。ただし、総務省令(*2)で定める無線局については、これらの全部又は一部の備付けを省略することができる。
*1 施行規則第三十八条第1項
*2 施行規則第三十八条の二、第三十八条の三







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION