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事務局長開会の辞
 
1.4 参加者に歓迎の意を表し、事務局長は、IMO本部ビルの外部で、当委員会の今会期を開催することは挑戦であり、同氏は、1946年に国連の設立総会が開催された、メソジストセントラルホール(Methodist Central Hall)における今会合が成功し愉快なものであることを心から望んだ。
 
1.5 事務局長は続いて、最近のレバノンでの武力衝突の間に発生し、レバノン及びシリア沿岸150km以上に渡り影響を及ぼしている、約15,000トンの海洋環境への油流出の結果となった、地中海で今までに経験した最悪の油流出の報告に当委員会の注意を促した。重大な環境危機を考慮し、人間の健康及び生活に関する流出の影響を軽減することの必要性を意識して、IMOは即座に、UNCLOS及びOPRC及びバルセロナ条約の骨子の範囲内で、数件の行動に着手し、地中海地域海洋汚染緊急対応センター(REMPEC)を動員した。加えて、レバノン政府の援助要請に応じ、IMOは、UNEP及び他の機関と共に、緊急時対応計画及び、−UNEP/OCHA共同環境ユニット、欧州委員会、石油業界及び他の協力者と協力して−REMPECが先頭に立ち、技術的研究を実施し、対応活動を開始するための特別任務を作成した。
 
1.6 さらに、事務局長及びUNEPの同等の役職である、事務長(Executive Director)Mr. Achim Steinerの共同議長により、2006年8月17日に、ピレウスで高レベル協力会議が開催された。同会議には、影響を受けた2ヶ国(レバノン及びシリア)、危険の可能性のある3ヶ国(キプロス、トルコ及びギリシャ)、欧州委員会及び国際機関から大臣及び上級代表が参加した。同会議は、;清掃を最優先とすることに合意し;協力体制の再確認及び合意し;並びに資材流通の可能性を明示したレバノン海洋及び沿岸油濁国際支援行動計画を承認した。事務局長は、ギリシャ政府の会議を開催した迅速な対応並びに優れた設備及び提供した厚遇に評価を表明した。
 
1.7 IMOは、後にレバノンに、スウェーデンで開催された特別寄贈者会議により贈与された−早期の回復過程及び長期の影響を受けた生活基盤の再建を支援するため−5000万米ドルの油流出清掃計画の作成を支援した。IMO事務局は、その後、対応努力への支援、特に油流出対応の全体の調整及び管理においてレバノン環境省を支援するためのIMO/REMPEC調整アドバイザーのレバノンへの配置を、継続し、そしてそれは、現在、合意された行動計画の実施に必要とされる経済的及び物的資源の動員を集中させている。事務局長は、IMOを通じて又は2国間での(カナダ、キプロス、フランス、フィンランド、ドイツ、イタリア、日本、クウェート、ノルウェー、スペイン、スウェーデン、グリーンピース及びIUCN)、支援を行った又は行う予定である各国及び団体に感謝し;同様の行為が可能である、他のすべての国及び団体に、この目的のためにIMOが設立した海洋汚染対応基金に大いに貢献することを訴えた。
 
1.8 事務局長は、レバノンの油流出が海運関連ではないにもかかわらず、IMOが、機関の海洋環境全般への感受性及びその熱心さ及び対応準備を証明するために、海運活動からの流出以外を原因とする損害も軽減するための取組において、いかなる可能な、清掃作業及び関連業務の作成及び実施に指導的役割を果たすと決定したことを銘記した。
 
1.9 同氏は、レバノンの油流出及び、フィリピン沿岸における、小型タンカー、SOLARIによる油流出が、1990年OPRC条約に記されている、準備、対応及び協力の重要さを鮮明に例証していることを銘記した。沿岸国が、隣接国と協力して、いかなる原因であっても、重大な油流出の潜在的な災害の結果を軽減する可能性があるのは、国家緊急時計画の定期的な試行及び試験及び準備の整った専門家の適切な訓練と共に、十分な準備によることのみである。
 
1.10 当委員会の議題に話を移し、事務局長は、船舶からの油、ケミカル、汚水及び廃棄物による汚染防止のためのIMOの伝統的な取り組みに加え、海洋環境を保護し保つための現在の作業が主として、大気、人間の健康並びに沿岸及び海洋環境の損害を最小化する目的で、船舶リサイクリング、船舶からの大気汚染の防止及びバラスト水管理に集中していると述べた。
 
1.11 船舶リサイクリングに関して、事務局長は、当委員会が時として政府間の取組の先頭に立ち、世界の海上輸送の特徴のみではなく運航上の生命を終了した船舶を関連した健康及び安全;関連した船舶の安全;及びリサイクリング活動を実施する国々の環境;を最大限考慮してのリサイクリング実施を確実にするための、将来の安全かつ環境上適正な船舶リサイクリングに関する国際条約を作成していることを銘記した。
 
1.12 同氏は、これらの作成をIMOにおいて継続している一方、船主及びリサイクリングヤードを不確実な状況にしている、リサイクリングを運命付けられた船舶が困難に直面している数件の事例のあることを銘記した。事務局長は、その様な事実、及び不確実性を取り除くことの全体的な必要性が、条約案作成の重要性及び緊急性を明白にしていることも銘記し、全加盟国及び団体の協力で、当委員会が、総会に要求された、2008年〜2009年の2年間の間に採択する新しい文書のための作業を遅れずに進捗することの確信を表明した。終わりに、すべての関連機関の利害を共同努力の目的とするばかりではなく、3機関間の二度手間並びに責任及び能力の重複を避けるため、IMOは、ILO及びバーゼル条約の適切な組織との協力を継続する。
 
1.13 大気汚染の問題及び温室効果ガス排出の緊急の問題に関し、事務局長は、最近の調査活動が、以前より長距離を航海するため、相当の割合の船舶からの排出が海岸線に沿って発生していることを示し、このことで海事社会からの即座の反応を起こさせるべきであると述べた。同氏は、当委員会が、国際的に寄港国が対応した危機を受け入れることを可能とするために、船舶の排気ガススクラバーからの洗浄水の基準を審議し、可能であれば、最終化及び承認する見込みであることを銘記した。これに関連して、同氏は、船舶からの温室効果ガス排出に関連したIMOの政策及び実行に関する、決議A.963(23)が当委員会にその様な排出の制限又は削減のためのメカニズムの明示及び作成を促していることを想起し、当委員会が、今、人間及び環境の健康へのその様な作業の利益は計り知れない価値のあることを心に留めて、MEPC 54で作成した関連した作業計画案を最終化及び承認することの期待を表明した。
 
1.14 事務局長は、−船舶リサイクル、温室効果ガスの排出及び沈船除去の様な−新しい基準及び規則へ向けた新しいイニシアチブが進行する一方、既存の条約の批准のペースが遅いことを懸念した。そして、それらは、船舶の防汚システム、バンカー並びにバラスト水及び沈殿物の管理の様な等しく重要な問題を規定している。それゆえ、同氏は、代表団にさらなる遅延なくすべての採択されたIMOの環境に関連した文書を所有するために可能ないかなる影響力も行使することを招請した。これに関連して、事務局長の懸念は、以下の3要素からなる:
 
- 関連文書が発効に至っていないことにより、それらの実施が遅れ、それによって与えることを意図している当該文書のサービスを環境から奪った;
 
- 当該文書に規定された問題の取組みへのさらなる遅れは、その様な措置に伴うすべての負の影響と共に、単独又は地域的措置へ動く国又は国家グループが現れる可能性を生じさせる;及び
 
- いかなる状況の延長も、結局は、船員及び産業界に敵対する、曖昧さという結果になる可能性がある;
 
1.15 これら及び他の理由のため、海事社会が、その維持は、次世代の利益のため、すべての否定できない責任である、この美しい惑星へ向けた義務を怠ることで告訴されないために、早期の批准の行動を促した。
 
1.16 残念ながらMEPC 54以来新しい批准を受領していない、2004年バラスト水管理条約に話を移し、事務局長は、BLG及びFSI小委員会からの支援と共に、当委員会が包括的関連技術ガイドラインをすでに採択し、今会期で6件の新規ガイドラインの採択が予想されることを銘記した。同氏はさらに、GESAMP-バラスト水作業部会が今年第二回会合を開催し、活性物質に関する追加技術を審査し、情報収集及び作業管理の方法の作成を継続したことを銘記した。事務局長は、この重要事項を前進させた大変な取組に感謝し、同部会の報告書がこれら技術の基本承認に関連する重要な決定をするため当委員会を支援することを希望した。
 
1.17 同氏は、バラスト水見直し部会が船上試験を行っている種々のシステムがバラスト水条約で要求された基準に適合する可能性がある及びバラスト水処理技術が2008年末までに入手可能であると予想することが妥当であると結論づけたことを想起した。バラスト水処理技術に関する最新の情報を評価するため今会期で再招集された、同見直し部会は、当委員会に同条約に含まれた関連要件の早期かつ効果的な実施へ向けた適切な戦略の作成を可能とする。
 
1.18 事務局長は、今会期において、当委員会が、世界中の、港湾受入れ施設の不十分さに取り組む行動計画に合意する機会のあることを想起した。同氏は、地域配置提案に関する当委員会の作業の結果と共に行動計画が、実施された際、状況を改善する手段となり、それによってMARPOL条約の効果的な実施に貢献すること並びに主管庁及び海運間の品質及び環境意識を促進することを望んだ。
 
1.19 続いて同氏は、その活動がまだ安全及び環境の見地から適切に規則が定められていない、貨物としてバイオ燃料及びバイオ燃料混合物の海上輸送の増加に当委員会の注意を促した。当委員会のこの問題への取組の成功は、BLG小委員会からの適切な助言と共に、いずれMARPOL附属書を改正すること及び関連するガイドラインを作成することの決定を可能とする。
 
1.20 事務局長は、船舶で輸送される有害物質の危険評価に関するGESAMP作業部会の長期の資金の解決策を見つける認知された必要性に言及した。そしてそれは、同部会の作業から利益を受けるより特定された製品の製造者である、貨物の利害関係者に関係する可能性がある。同氏は、同部会の価値ある作業を継続することができるよう満足な解決策を見つけることを望んだ。
 
1.21 事務局長は、改正MARPOL附属書IIが、結果として起こるIBCコードの改正と共に、2007年1月1日に発効すること及びこれらの措置が船舶を原因とする汚染をなくす海洋環境の究極の目標を達成するため重要な貢献をすることを想起した。同コードの新しい改正を今会期で審議することを銘記して、同氏は、再度、この希望の事前対策となる本質により促された。そしてこの本質は、新しい化学製品を修正コードに従わせることを可能とし、世界的に、安全かつ環境上適正な方法で輸送することを可能とする。
 
1.22 同氏は、南アフリカ南部海域を特別海域として指定するための、MARPOL附属書Iの改正の今会期での採択は船舶が集中的に使用する生態学的に重要な地域での野生生物及び海洋環境を保護するための歓迎される措置を提供する見込みであることも述べた。同氏は、当委員会が、新しい改正文書を現在の附属書と完全に置き換えることを伴い、IMDGコードとの必要な関連を確保している、容器に収納された状態で海上において輸送される有害物質による汚染を防止するための規則に関する、MARPOL附属書IIIの改正の採択を招請されていることも銘記した。
 
1.23 技術協力の問題に話を移し、事務局長は、今年のWorld Maritime Dayのテーマが「技術協力−2005年世界サミットのIMOの対応」であること並びにこのことをロンドンとシンガポールで並行して首尾良く祝賀したことを想起した。同氏は、海洋環境保護に関してIMO計画よりもたらされた望ましい進捗を銘記した。そして、それは準備及び対応;国家、準地域及び地域の協力システムの作成及び最新化;緊急時計画及び関連合意の作成を支援した。他の活動は、MARPOL条約及び関連コードばかりでなくロンドン条約及び議定書並びにAFS及びBWM条約の幅広い実施及び強制の促進に向けられた。加えて、事務局は、REMPEC及びカリブ海REMPEITCの活動の支援及びバックネット並びに海上電子ハイウェイ、SAFEMED、PEMSEA、ギニア海流海洋生態系計画(Guinea Current Large Marine Ecosystem Project)及び地球バラスト管理共同計画(Globallast Partnerships Programme)の様な主要な計画の作成及び実施の役割を続けた。
 
1.24 続いて事務局長は、改装期間にIMO会議の開催を予定している様々な会場を考慮して、回章文No.2692に記載されていてかつ決して自己満足又は妥協ではない、IMO会議の現在の安全規則を遵守することの重要性を強調した。
 
1.25 同氏はまた、IMO加盟国任意監査スキームについて、IMOシステムへの導入成功を確保するという世界中で認知された必要性を強調した。実行によりもたらされた進捗を当委員会に通知し、事務局長は、幅広くかつ効果的な実施のためすべての支援及び協力を求め、監査チームを選ぶためのより多くの監査官の詳細と一緒に、各国政府からより多くの監査の準備の通知を受け取ることを期待した。
 
1.26 事務局長は、通常の協力の精神を持って、当委員会が海洋環境保護の目的と世界中の海運の利益にかなった満足な結果を出すであろうと述べて開会の辞を終了した。
 
議長の辞
 
1.27 返答して、議長は、事務局長の開会の辞及び助言に感謝しそれらすべてを当委員会の作業で審議すると述べた。
 
議題の採択
 
1.28 当委員会は議題(MEPC 55/1)及び本会期中のガイドラインの暫定計画表(MEPC 55/1/1、附属2、改正)を採択した。各議題項目の下で審議される文書一覧と共に採択された議題は文書MEPC 55/INF.13に記載された。
 
信任状
 
1.29 当委員会は、各代表団の信任状が正当かつ適切なものであったという事務局長報告を銘記した。


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