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海事の国際的動向に関する調査研究事業報告書(海上安全)

 事業名 海事の国際的動向に関する調査研究
 団体名 日本海難防止協会 注目度注目度5


欧州海事政策現状
海上安全及び海洋環境保護政策
 
日本海難防止協会
ロンドン研究室
H19年1月
 
報告項目
1 欧州連合について
2 海上安全パッケージIII
3 海洋政策に係るグリーンペーパー
 
1. 欧州連合(European Union)について
(1)EUの拡大
■2004年5月、旧東中欧諸国等が加盟し、25加盟国
■2004年6月、クロアチアを加盟候補国として決定
■2005年12月、マケドニアを加盟候補国として決定
■2007年1月、ブルガリア、ルーマニアが加盟し、計27カ国
■トルコとは、現在、加盟交渉中(一部交渉凍結)
 
(2)EUの権力構造
■閣僚理事会(Council of the European Union)→立法機関
■欧州委員会(Commission)→行政機関(法案提出)
■欧州議会(European Parliament)→諮問機関
■上記3機関にて「The Triangle of Power」を構成
 
■欧州裁判所(European Court of Justice)→司法機関
 
(3)EUの3つの柱
第1の柱:欧州諸共同体(EC)
・主として経済分野における政府間協力を超えた超国家性を有する国家統合体
・加盟国から主権の一部を移譲
・現在では、人の移動(国境管理)、民事司法協力を含む
・前ページ(2)等の主要機関はECの機関
 
第2の柱:共通外交・安全保障政策
・政治協力の強化、共通政策による安全保障の強化等が目的
・政府間協力(決定・実施上の権限を有するのは加盟国)
 
第3の柱:司法・内務分野協力(警察・司法分野協力)
・テロリズム、麻薬の密輸対策等に係る政府間協力
 
注)政府間協力
 
・第1の柱においては、政府間協力を超えた国家共同体として、EUは存在する。このため、加盟国は、閣僚理事会等で多数決にて決定されるEUの法令に従う必要がある。
・第2の柱、第3の柱における政府間協力は、あくまで協力であるので、実施決定権は加盟国が有する。
・政府間協力は、閣僚理事会での全会一致により決定されるもの。この際、欧州委員会は事務局として機能するが、欧州議会は諮問を受けるのみである。
・政府間協力は、欧州司法裁判所等の審査範疇外となる。
 
(4)EUの法令
■「Regulation(規則)」:EUで採択されたRegulationが直接加盟国に適用され、加盟国の法令の規定状況如何にかかわらず、Regulationが優先適用
■「Directive(指令)」:Directiveの内容を、加盟国が国内法に取り込み、実効を担保
■「Decision(決定)」:特定の加盟国、企業等を対象とする行政執行法規で、強制力有
■「Recommendation(勧告)、Opinion(意見)」:単なる意見の表明であり、強制力なし
 
(5)提案文書
■「Green Paper」
■「White Paper」
■「Communication」
■欧州委員会からの提案文書の種類。後者になるほど、具体性・現実性が高い
 
2. 海上安全パッケージIII(Maritime Safety Package III)
 
(1)MSP IIIの提案内容
 
(1)海上交通管理及び情報システム指令の改正
(2)PSCに関する指令案の改正
(3)財政補償に関する指令案の提案
(4)旗国の最低基準に関する規則の提案
(5)海難事故調査に係る指令案の提案
(6)船舶検査機関(Classification Society)に関する指令の改正
(7)IMOアテナ条約のEU法令化に係る規則案の提案
 
(2)各提案の概要
 
(1)海上交通管理及び情報システム指令(VTM指令)
・船舶の監視機能の強化(AIS、LRIT等の活用)
・船舶の避難場所
 
(2)PSCに関する指令(PSC指令)
・高危険度の船舶のPSCの頻度を増加するための新検査システム
・水先人による欠陥事項の報告
・優良船舶への負担の軽減等のイニシアティブ導入
 
(3)財政補償に関する指令
・EU加盟国に対する1996年LLMC条約批准の強制化
・EU海域における財政責任の強化
 
(4)旗国の最低基準に関する指令
・IMOの任意の監査スキームをEU加盟国に対して強制化
 
(5)海難事故調査に係る指令
・独立した海難調査機関の設置をEU加盟国に対して強制化
 
(6)船舶検査機関(Classification Society)に関する指令
・承認機関(ROs)の承認システムの抜本的改正
・新たな法的責任、制裁措置の導入
・独立したROsのチェック機関の設置
 
(7)IMOアテナ条約のEU法令化に係る規則
・IMOアテナ条約を、適用範囲を国内航海従事船にも拡大してEU法令化
 
(3)各提案の進捗状況
 
(1)概況
・MSPIIIは、共同決定手続に従って審議
・閣僚理事会は、MSPIIIの7つの提案をパッケージとしては審議・採択せず
・一方、欧州議会は、7つの提案をパッケージとして審議
・閣僚理事会では、審議は部分的で、フィンランド議長国下では、12月末に初めて審議。PSC指令及びVTM指令について、概ね合意
・欧州議会では、ラポチャーの報告が終了し、修正案を審議中。第一読会採択は、今年4月末頃と予測
・欧州議会の第一読会採択後、今後の審議方法が調整される見込み
(2)各提案
a VTM指令
・閣僚理事会では、General Approachを採択。漁船へのAIS搭載及び船舶の避難場所に係る独立した権限ある当局が、これまでの主要論点
・現在、EU議長国、欧州委員会、欧州議会での非公式交渉を12月に実施。1月に追加修正案を審議予定であるが、ほぼ欧州委員会の提案に沿って、合意される見込み
b PSC指令
・欧州議会では、11月に欧州議会ラポチャーが報告。同報告は、閣僚理事会と調整済みのもの
・閣僚理事会では、12月にGeneral Approachを採択。ラポチャーの報告に加えて、グレイリストの追加等を提案
・水先人に対する欠陥事項の報告義務、PSC指令のパリMoUとの統合化、コミトロジー手続等の小さな論点が残っているものの、大筋で閣僚理事会と欧州議会は合意済み
c 財政補償指令案
・閣僚理事会では、現時点で審議予定なし
・欧州議会については、ラポチャーの報告は、財政責任の強化、財政責任証明書(COFER)の導入等、欧州委員会案をほぼ支持したもの。追加修正案を1月に審議
d 旗国の最低基準に関する指令案の提案
・閣僚理事会では、本提案は欧州委員会の権限を拡大するものとして、未審議(EUの権限、IMOのメンバーシップ)
・欧州議会では、ラポチャーが、欧州委員会の提案をほぼ支持、多数の議員もラポチャーを支持。1月中に追加修正案を審議
・EUの権限の問題等、閣僚理事会と欧州議会の対立点が大
e 海難事故調査指令
・閣僚理事会では、2007年上半期に審議
・欧州議会では、ラポチャーが欧州委員会案を支持。多数の議員もラポチャーを支持。一方、海難調査と司法手続の分離、EMSAの役割等、多少の論点が残存
f 船舶検査機関指令
・閣僚理事会では、本提案は未審議
・欧州議会では、ラポチャーが報告書を提出しているが、独立チェック機関とIMOの連携、制裁金額(10%→5%)、ROsの責任範囲等、欧州委員会の提案と反する部分も多数。1月に追加修正案を審議予定であるが、ラポチャーの報告より、欧州萎員会提案寄りになるものと予測
g アテナ条約の規則案
・12月の閣僚理事会にて、WGの検討内容を審議。内陸水路への適用、PIクラブによる前払い補償金の扱い等が論点となっておリ、今後、更なる審議を予定
・欧州議会では、11月にラポチャーの報告への追加修正案を審議。内陸水路への適用、経過措置、PIクラブの前払い補償金等について、議論の余地あり
 
3. 海洋政策に係るグリーンペーパー(MGP)
 
(1)経緯
・Barroso欧州委員会委員長の指示により、Borg漁業・海事担当委員を議長とした海事政策タスクフォースにて検討
・昨年6月、欧州委員会はMGPを公表
・現在は、公表されたMGPに基づくConsultation期間で、欧州委員会が各関係分野から意見等を聴取
・1年間のConsultation期間後、欧州委員会は、コミュニケーション等を公表すると予測
 
(2)主要論点
・競争力のあるEU海運業
・持続可能な海運政策(気候変動対策等、環境面を含む。)
・海事業界での知識・技術の維持(海技の伝承を含む。)
・労働条件、漁業規制等を含む海事業界に係る規制の在り方
・海域管理計画、欧州の共通海域
・UNCLOSの規定内容
・欧州コーストガード
・IMOメンバーシップ
・欧州船籍制度


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更新日: 2019年11月9日

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