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2. 分析欄の記載例
人件費
 
・職員数や手当の水準が類似団体と比較して高いために、経常収支比率の人件費分が高くなっており、集中改革プランに掲げた取組の実施により、改善を図っていく。具体的には、○○手当の廃止や特殊勤務手当の見直しなどの給与制度についての是正や新規採用の抑制(○年間は新規採用を実施しない)による職員数の減(○人)など行財政改革への取組を通じて人件費の削減に努める。
 
・人件費に係るものは、平成17年度において35.0%と類似団体平均と比べて高い水準にある。これはごみ収集業務や保育所・市民ホールなどの施設運営を直営で行っているために、職員数が類似団体平均と比較して多いことが主な要因であり、行政サービスの提供方法の差異によるものと言える。ただし、民間でも実施可能な部分については、指定管理者制度の導入などにより委託化を進めているところであり、平成18年度以降はコスト削減の効果が現れてくる見込みである。
 
・類似団体平均と比較すると、人件費に係る経常収支比率は低くなっているが、要因としてゴミ処理業務や消防業務を一部事務組合で行っていることがある。一部事務組合の人件費分に充てる負担金や観光施設事業などの公営企業会計の人件費に充てる繰出金といった人件費に準ずる費用を合計した場合の人口1人当たりの歳出決算額は類似団体平均を上回っており、今後はこれらも含めた人件費関係経費全体について、抑制していく必要がある。
 
物件費
 
・物件費に係る経常収支比率が高くなっているのは、○○市行財政健全化計画に基づき、業務の民間委託化を推進し、職員人件費等から委託料(物件費)へのシフトが起きているためである。このことは、物件費が上昇しているのに対し、人件費が低下傾向にあるという比率の推移にも現れている。具体的には公園や公営住宅、市民会館、公民館、スポーツ施設などの管理についてであり、現在も順次民間委託化を進めているところである。
 
・物件費が類似団体平均に比べ高止まりしているのは、施設の維持管理業務の大部分を市の出資する法人へ委託しているためである。現在、市の出資する法人が○団体あるが、廃止・統合により、平成○○年度を目途に○団体まで減らすこととしており、これに伴い経費の削減を図る。また、指定管理者制度を導入することで、委託先の対象を民間企業へも広げているところであり、今後は競争に伴うコスト削減効果が出てくることが見込まれる。
 
扶助費
 
・扶助費に係る経常収支比率が類似団体平均を上回り、かつ上昇傾向にある要因として、生活保護費の額が急激に膨らんでいることなどが挙げられる。資格審査等の適正化や各種手当への特別加算等の見直しを進めていくことで、財政を圧迫する上昇傾向に歯止めをかけるよう努める。
 
繰出金
 
・繰出金に係る経常収支比率が類似団体平均を上回っているのは、直営で行っている交通事業の運営経費やこれまでに整備してきた下水道施設の維持管理経費として、公営企業会計への繰出金が必要となっているためである。また、国民健康保険事業会計の財政状態の悪化に伴い、赤字補てん的な繰出金が多額になっていることも要因として挙げられる。今後、財政健全化の見込めない交通事業については民営化の検討、下水道事業については経費を節減するとともに、独立採算の原則に立ち返った料金の値上げによる健全化、国民健康保険事業会計においても国民健康保険料の適正化を図ることなどにより、税収を主な財源とする普通会計の負担額を減らしていくよう努める。
 
補助費等その他
 
・補助費等その他に係る経常収支比率が類似団体平均を上回っているのは、市の出資する法人等各種の団体への補助金が多額になっているためである。今後は、補助金を交付するのが適当な事業を行っているのかなどについて明確な基準を設けて、不適当な補助金は見直しや廃止を行う方針である。
 
公債費
 
・近年大型の整備事業が集中したことに加え、合併町村の地方債を引き継いだことにより地方債現在高が増加した影響で、地方債の元利償還金が膨らんでおり、公債費に係る経常収支比率は類似団体平均を○○%上回っている。さらに下水道事業などの公営企業債の元利償還金に係るものなど公債費に類似の経費を合わせると、人口1人当たりの決算額は類似団体平均を○○%上回っており、公債費の負担は非常に重たいものになっている。公債費のピークは平成○○年度となると見込まれ、それまでは非常に厳しい財政運営となることが予想される。そのため、○○市行財政健全化計画では、地方債現在高が○○年度の水準を超えないように、予定していた○○会館建設を取り止めるなど、地方債の新規発行を伴う普通建設事業を抑制することとしている。
 
・公営企業債の元利償還金に対する繰出金などの準元利償還金を含めたベースでは、人口1人当たり決算額が類似団体平均を○○%上回っているが、これは工業団地の造成の際に発行した企業債の償還が始まったことによるものである。近年この工業団地への企業進出が相次いだこともあり、償還額の増加に合わせて法人税収も増加している。
 
普通建設事業費
 
・普通建設事業費の人口1人当たり決算額は類似団体平均を大幅に上回っているが、これは市域が広く重点的な施設整備が難しいことによるものである。普通建設事業費の推移をみると、決算額の対前年度比の減少率では、類似団体平均を概ね上回っており、歳出削減への取組においては結果を出している。今後も税収の大幅な増加が見込めない状況であり、プライマリーバランスの黒字を維持することを目標に、引き続き普通建設事業費の抑制に努める。
 
・近年の類似団体平均の減少率に比べると、○○市の減少率は小さくなっているが、これは人口の増加に対応した生活基盤整備によるものである。ただし、市の財政状態は非常に厳しいものになっており、起債制限比率が上昇傾向にあり、実質公債費比率も20%と許可団体となる基準を超えており、今後は今まで以上に普通建設事業費を抑制していく必要がある。
 
・普通建設事業費の人口1人当たり決算額が平成○○年度に大幅に増加したのは、老朽化した小学校舎の改築を行ったためである。これは、従来の維持補修では対応できない危険箇所が増加してきたことにより、改築したものである。本事業の終了に伴い、来年度以降の普通建設事業費は減少する見込みである。


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