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競艇沿革史

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


唐津市
一 唐津の今昔
 玄海国定公園の中心に位置する唐津湾に、県下最長の松浦川が注いでいる。その河口がモーターボート競走場である。この河口一帯は唐津東港といわれ郷土の女傑奥村五百子等の奔走により、明治二十二年、九州では門司、博多についで特別輸出港の指定を受け、当時出炭量「日本第三位」の唐津炭田の石炭積出しを大宗とする港として殷賑(いんしん)を極めたものであるが、この大陸向けの石炭輸送が我が国最初の石炭海外貿易となり、続いて明治三十七年に唐津・釜山航路が日本と朝鮮との間に初めて開かれた定期航路として生まれ、今の競艇場一帯がその時代の港として脚光を浴びていたものである。
 しかし、陸上輸送路の整備、船舶の大型化等、世の進展につれて河幅六百メートルの港では、将来発展性なしとして、唐津西港が築港整備されるに及んで衰微の一路をたどり、今は往時を偲ぶよすがもないが、ここに競艇場が誕生したのである。
 わが唐津は、陸よりも海に経済上の比重が大きく昭和七年一月一日市制を布き観光港湾都市として発展してきたものであるが、その特色は大陸との結びつきにあり、その昔中国の史書「魏志倭人伝(ぎしのわじんでん)」(紀元前三世紀頃)に、「・・・又一海を渡る千余里、末盧国(まつら国)に至る。四千余戸有り山海にそうている。草木茂り、行くに前人を見ず、好んで魚鰒(ぎょふく)を捕え・・・」とあるが、この末盧国が唐津(唐に通ずる津)であり、縄文、弥生文化時代や無土器文化時代の遺物が唐津一帯に今日、なお続々と発掘されて中国古代文化との結びつきが紹介されているが、豊臣秀吉が対鮮政策の陣地をこの地方に選んだ地理的位置とともに古代松浦地方に浮ぶ美しい景観は神功皇后、松浦佐用姫などの古代伝説の温床ともなったと考えられる。自然が生んだ唐津地方の位置は原始から古代を経て中世、近世をたどり、対外貿易や海上関係の史実と結びつきつつ近代へ流れてきたが、このように水と史蹟観光にゆかり豊かな地にモーターボートレース場が生まれたことも、昔を偲び感無量のものがある。
 
二 競艇設立の胎動
 唐津競艇が昭和二十八年八月七日に初開催を迎えるまでには、もとより関係者の多大な労苦と、紆余曲折が伴ったものである。唐津は市制施行以来都市的施設の整備のため年々多額の市債を起こしてきたが、未だ見るべき施設もなく、市財政は、昭和二十四年の国の地方税制改革を契機に他の地方都市同様窮迫の一途をたどり、加えて昭和二十六年十月九州を襲った戦後最大のルース台風による被害は、二億五千八百万円にのぼり、さなきだに乏しい財政の中から多額の災害復旧を行なうこととなり(後に昭和二十八年六月二十四、二十五日の大水害と合せて)、市財政は悪化の速度が早められた。
 この地方財政救済策として論ぜられたのが、競艇競輪公営競技の開設であるが、本市は、誘致をめざして始動した。市議会内にも競艇組と競輪組とで、その実現が競われ、競輪組は、対抗馬の鳥栖町と最終的に協定し、競艇組は、伊万里町としのぎを削って実現に奔走し、この間、競艇組、競輪組それぞれに用地視察の日々を繰り返したのであるが市職員も競艇組、競輪組に別れ議員の現地視察に同伴するなどのうちに、慎重に用地の選定にあたり、競艇場が現在地に決まるまでには次の経緯があったのである。
 競艇場用地候補地を最終的に唐津港東側と松浦川河口の二ヵ所にしぼったのであるが、松浦川河口については、浚渫を要するだけでなく、市街地に近いため騒音による被害が多いことや、また土砂の流入が多いこと等のため、これをあきらめ、唐津港東側水面を有力候補地としていたものであるが、これに前後して、大村競艇場をしばしば視察していたところ、大した風波でもない時にレースが中止されてしまった。玄海の荒波を見なれた者には、大した風波でもないのに、レースを中止しなければならない現実を目のあたりに見て、唐津港東側水面の波浪状況を検討後、冬期は開催不能であると断定して、松浦川河口の現在地に競走水面を決定したのである。
 これに先だち、昭和自動車株式会社社長金子道雄氏(当時の県会議員、後の唐津市長)の手許では、佐賀県モーターボート競走会の設立準備事務が進められ、昭和二十六年八月七日第一回競走会設立準備委員会を開催、ついで八月二十九日第二回競走会設立準備委員会を開催し、昭和二十六年九月二十日には社団法人佐賀県モーターボート競走会設立許可申請書が提出されたのである。その後、十一月七日第三回の設立準備委員会が開催されて間もない十一月十四日に運輸大臣から競走会設立の許可がなされ、初代会長に金子道雄氏が就任されたのである。
 これを契機として、競艇誘致の望みが濃くなるに及んで市、競走会の態勢が固まり、総力を挙げて誘致の態勢にはいったのである。
昭和二十六年十二月二十日
モーターボート競走場事前審査申請書を
昭和二十六年十二月二十五日
モーターボート競走場指定申請書を
提出し、正式に書類による手続きを終わった次第である。翌二十七年一月十日に唐津競艇場指定促進協議会が開催され、競艇場指定について、九州海運局にその促進方を陳情することになった。当日の出席者は次のとおりである。
市側 清水市長、渕上助役、池田庶務課長
競走会側 久保理事長、中島専務理事
九州海運局唐津支局 奥浜支局長
 この頃、唐津市と伊万里町は互いにしのぎを削って競走場の誘致工作を続ける壮烈な争奪戦を演じていたが、本市は、競走場を松浦川河口に内定させて、指定申請書の提出も終わり、また関係者代表が九州海運局に指定促進を陳情する等、関係者の熱意が功を奏し、伊万里町側をリードしてきた模様であった。
 昭和二十七年一月二十四日、九州海運局春山監理課長一行が競走場に内定している松浦川河口一帯の現地調査を行なった。
 この調査には渕上助役、議会側から宮崎市議会議長をはじめ、各市議および久保県モーターボート競走会理事長等が立会い、およそ二時間にわたり市側計画書と対照し、河口一帯におけるコース施設の適否について詳細な検分が行なわれたが、その結果について春山課長は、次のとおり語った。
 「正式にモーターボート競走場施工申請があっているのは今のところ唐津市だけで、現地の資料調査をした結果、規定の水深までに浚渫さえすれば、コースは充分にとれると思う。また、唐津は交通的にも施設の立地条件にかなうものと思う。
 下調査の結果は、運輸省に報告するが、検討されたうえ認可については、全国モーターボート競走会連合会運営委員会が最終的な決定をする。」
 この下調査の結果は、唐津に有利な印象を与え、一方、上京中の清水市長、殿川副議長らは中央要路に対し、誘致工作を続けていたが、「今のところ唐津への比重が、大きくなってきておる。」旨の連絡があったので関係者一同は非常に意を強くしたものであった。
 昭和二十七年二月六日、全国モーターボート競走会連合会矢次運営委員長一行が来唐し、松浦川河口の競走水面予定地を調査され、市側の清水市長、金子競走会会長らから施工についての説明を聴取した後、
「唐津は、場所としては結構だと思う。しかし、施工については、運輸省から指示されている種々の条件があるので県当局の意向も聞き、これを勘案して、二十日頃運営委員会を開き審議する。伊万里は七日に視察するが、施行者の準備もあることだろうから、二月末までに決定する。どちらに決まっても、仲良くやってもらいたい。」
ということであった。
 当時、佐賀県は、唐津、伊万里の双方に対して、この事業実施については幾分抑制的な態度をとっていたようであった。だが、何といってもこの事業の核心となるものは、まず資金の問題で、施工費約五千万円を調達することが第一の難関であり、つぎに事業運営の結果に対する見透しが第二の関心事であって、市執行部の頭の痛いところであった。
 佐賀県下におけるモーターボート競走場の指定については前述のとおり唐津市か、伊万里町かと、互いに鍔(つば)ぜり合いをしていて、その決定が待たれていたのであるが、昭和二十七年五月十二日、全国モーターボート競走会連合会会長の足立氏から「佐賀県下におけるモーターボート競走場施行者に唐津市が決定したため、この旨運輸省に手続きをとる予定である。」との公報が唐津市長、佐賀県モーターボート競走会会長あて届いた。この知らせは、関係者の労苦が一時に報われた気がして、一同大いに喜んだものであった。
 次いで、六月二日、待望の運輸省の正式認可をみるに及んで、唐津市にモーターボート競走場が誕生することとなったわけである。


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