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競艇沿革史

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


一 横溝事件
 昭和二十八年十二月八日優勝レースの出来事である。横溝選手は万能選手として自他共にゆるすベテランとして知られていた。
 従って本命として頭に舟券は売られスタートした。第一コーナーにさしかかった際、横溝艇は大きく弧を画き対岸に向って突っ走った。ボートのフインの脱落である。勿論五位となった。ファンは八百長レースだと騒ぎ投石放火等事態は悪化し、遂に警察機動隊の出動を要請し事態を収拾したのである。
 その後同選手は十二月二十四日唐津競艇場における衝突事故により死亡した。その亡霊が翌年一月十五日鳴門競艇場に現われたというのである。それは第一レースの判定写真の上に横溝選手の亡霊艇がはっきりと浮彫りされたのである。マスコミは連日『横溝選手の執念現わる』の見出しで、インコースの鬼とまでいわれた同選手がアウトに回って起したトラブルに対するファンヘの責任感の現われだと、当時大きな反響を呼んだものである。
 
一 ピストル射殺事件
 昭和二十九年七月八日午後四時頃である。本事業開始と同時に施行者は警備体制の万全を期するため地元有力団体荒川組(中村専助組長)に場内取締を一任した。中村組長が射殺された経緯はさておき、この事件によって自主防衛、警備の強化が真剣に取り上げられたのである。
 競走会としてもその対策については、施行者とともに苦慮し善後策を建言し又具体案を示したのであった。例えば、会員の市会議員からは本会議に於て此の際警察警備に一本化すべきであると緊急質問を行なわれ市長の決断を促した。その間いろいろな迫害が発言者に及び殴打事件迄引起したのであった。
 その後中村組長後継者として池田孝司氏が中村組二代目を襲名せられて以来同氏の信条として自治警察の弱体によるわれわれの協力も、国警への移行となり治安の強化された今日われわれの協力も却って市民から誤解を受けると判断し、施行者並に警察当局へ職場放棄を申出られたのである。その間池田孝司氏に対して他の色々な有力団体から防害教唆等があったが同氏は初心を貫いたのである。
 かくして昭和三十二年五月五日鳴門市長(近藤尚之氏)議会議長永楽亀太郎氏(会員)鳴門警察署長兼市茂夫氏、組代表池田孝司氏及び世話人として亀井知一氏(現県議)等諸氏のトップ会談によって円満に解決を見、全国初めての民間団体の警備を払拭したのである。
 なお本競走会の目的外とはいえ公益法人的性格を持つ当会は、社会公共事業に大いに理解を示し裨益するところ自他ともに認めるところであろう。
 左に掲げる個々についての内容は、紙数が許さないので二、三にとどめることとする。
一、競艇用モーターボートによる鳴門海峡横断試験を強行。昭和三十年七月三十一日全国モーターボート競走会連合会、鳴門市、徳島県競走会、三者の共催(徳島新聞ほか三大新聞後援外徳島大学応援参加)により鳴門の一大潮流に挑む我が国初めての海峡の潮流調査、水難救助訓練、ボートの耐久性実験等が競艇用ボートによって行なわれたのである。当日は笹川連合会長が総指揮者となり、陸海空一体となっての立体的総合試験は正に空前絶後といっても過言でなく、しかも世界三大潮流の一つである鳴門海峡の潮流に対する科学的基礎資料を提供し、大成功裡に世論の喝采を博したことが、昨日の如く筆硯に彷彿(ほうふつ)とする。
二、海の記念日事業としては
 昭和三十一年七月二十二日、丸亀市、鳴門市及び両競走会共催により、丸亀、鳴門間(一〇〇キロ)の長距離レースを実施し多大な関心をあつめ成功した。
 又水上スキー教室を開設し初代校長には会員山田国一氏が就任し、青少年の体育に又海洋教育に貢献し現在に至っている。
 なお、幼年向きゴムボート試乗大会を毎年海の記念日行事に組入れ、年を経るに従い試乗者が殺到し盛況を極め喜ばれている。
 特に精薄児、施設の子ら等に対しては、別に日を選び海に親しませる目的で小松島海上保安部のご協力を得て同部所属船で一日楽しく実習させ関係者から非常に喜ばれている。
 その他下記に示す諸団体への建設費、施設拡充費、賛助金、助成金等の内容は省略し、団体名を列記する。
 徳島県社会福祉協議会。徳島県心体障害者福祉問題総合研究所。徳島県聾唖学校。徳島県附属養護学校。徳島県立鳥居記念館。日本海事振興協会。鳴門市福祉協議会。鳴門身体障害者後援会。徳島及び鳴門養老院。徳島県遺族連合会。鳴門市児童福祉協議会。鳴門草の実学園。鳴門市老人ホーム。交通安全協会。小松島海上保安協会。徳島県スポーツ振興会。徳島水難救援奉仕会。徳島県防犯協会。鳴門観光協会。鳴門・小松島・阿南スポーツ振興会。日本船舶造機技術協会。日本海交クラブ。日本海事広報協会。船舶職員養成施設賛助会。徳島県青少年非行防止協会。徳島県育英奨学基金協会。
 上に掲げた各種団体への協力は定期的或は自発的に本会創立以来協力し、関係者から感謝されている。
 次に施行者(議会を含む)と競走会との関係について若干触れてみたい。
 初開催以来五年にして漸く業界に(公営競走事業)批判の嵐が吹き初め三十四年末衆院商工委員会において競輪廃止の論議が集中した。時の池田通産大臣は開催日を削減する旨の答弁を行ない、その波及は我がモーターボート競走の上にも、当然起る萌しが見られるに至った。この時に当り、我が鳴門競艇場は市民の憩いの場であり、健全なレクリエーションの場であり、しかも市の財政に又国家に寄与してゐる鳴門競艇をファンとともに育てたい、というキャッチフレーズを谷光次市長は高々と掲げ批判の世論を押え競走会においても最大な協力者となり、レース開催中は毎日朝礼には公正なレースによってのみ選手諸君の生活は保障され、なお本事業安定への道へつながるものであると選手の自覚を促したのである。
 下降線をたどっていた売上高も、谷市長の振る旗の下、節毎に上昇して今日の隆盛を見るに至ったのである。
 時限立法から恒久立法へ移行した時点において、我々は立法精神を咀嚼(そしゃく)し、又笹川先生の信条である『備えあれば憂なし』の心を忖度(そんたく)しつつ現執行者も本会の発展を期していることが窺われる(うかがわれる)。
 施行者と競走会との関係は、丁度、一箪食(たんし)一瓢飲(ひょうのいん)の如く円満な業務運営が行なわれており、誠に喜ばしいことである。
 さて結論に入る前に本競走会の現在の財産(不動産)を公開し、参考に供して置こう。
一、ボート会館
位置 鳴門市撫養町南浜
建物 鉄筋コンクリート三階建(一部四階)
建坪 選手宿舎及び事務所 三〇二坪
着工年月日 昭和三七・六・八
竣工年月日 昭和三八・四・二一
総工費 弐千五拾万円
請負者 江戸組
 次に大毛島土地の購入内容は次の通りである。
一、大毛島土地
位置 鳴門市鳴門町土佐泊浦一一八番地
面積 三、六四二平方米
購入先 鳴門市、開発公社
購入額 一、六五〇万円
 時代の変遷もさることながら、わが競走会においても色色な試練に堪え今日の隆盛を見たのであるが、本会の発足当時の会員数は一一一名で現在(昭和四十二年八月末)八八名となり、初代会長上崎龍次郎氏外二四名は、既に鬼籍に入られ、その故人の功績に対して謹んで敬意を表すとともに哀惜の情禁じ得ないものがある。
 又会員外の谷崎善次氏はじめ当時市の理事者であった方方に対しても深謝する次第である。
 大宅壮一氏が本栖湖におけるセミナーにおいて『ギャンブルというものは有史以来人類が生存するようになって絶えることなく、その歴史は人類の歴史とともにある』と。
 我がモーターボート競走が今日あるのは大宅先生の言葉にもある如く、時代とともに変遷する高度な科学的要素を的確に把握するとともに、それぞれのデーターから抽き出されたものを判断し、その最大公約数値を求めるところに近代人の希求する何ものかがあると信ずるものである。より高次な文化を追究し享楽することを人生とするならば本競艇事業をますます健康に栄えせしめることはまた当然といわなければなるまい。
 本事業を今日あらしめた笹川良一先生のご努力、ご卓見に対して心から感佩し、先生の長寿を祈るや切である。
 
会長を囲んで・・・
前右から、常務石井峯男、会長桜井忠顕、副会長山本利明。中右から、専務岸清光、常務山本陸。後、筆者一顧問田中要
 
稿を終わるに当り
洗ひたる硯に対す朝かな
匆忙の筆とるひまも火蛾舞へり
稿了る秋の蚊のとぶいづくとも
脱稿す秋の雲見る肘をつき
(故二十五人の会員を偲びて)
草創の人らに高し盆の月
花大根
 
ボート会館全景(昭和38.4.21完成)


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