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競艇沿革史

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


廃止論の台頭、ならびに三市の中止
 二十七年度の収支決算は一般会計より五、三八四万円の繰入れとなり、廃止論議が盛んとなってきた。
 昭和二十八年度当初予算審議において廃止してはどうかという質問が多かったが、服部知事は半歳ぐらいの経験によってその事業が不振の理由によって廃止する考えはない旨の答弁で施行を強行せられた。
 しかしながら、大津、彦根、長浜の三市は二十八年五月までにそれぞれ二開催(一開催六日間)づつ開催したが、のおの約五〇〇万円の欠損を生じ、やむなく中止した。
 
台風十三号被災ならびに復旧
 二十八年九月二十五日、台風十三号は三重県南東岸より伊勢湾に入り、渥美半島方面に向ったが、滋賀県においては午後七時頃より同八時頃までが最も影響が強く、瞬間風速は三四メートルに達する猛烈な暴風雨となり、死者二四名、行方不明四一名、負傷者三八七名、大小河川の氾濫、堤防決壊個所は枚挙にいとまなく、人家の全半壊続出したが、競艇場においても投票所が全壊、桟橋が流失した。
 巷間においては「これで県も良い廃止の口実ができた。」と専らの評判であり、また当然のことと思われた。がしかし知事は再開を厳命せられ、九月三十日の議会に復旧費として二九八万円を議第八四号をもって提案した。
 議会においては、三市も赤字で開催を断念した矢先のことでもあり、復旧については多数が批判的であった。
 「次に、またおしかりを受けるかも知れませんが、モーターボート競走の問題であります。これは予算を更正されまして着々と成績をお挙げになっておるかのように承っておるわけでありますけれども、しかしながら、この災害を受けたこの機会に、施設に損害を受けたからたちまち復旧を要するという費用を御提案になっておるようでありますが、罹災者の気持になってみたならばどんなものであろうかということを一応考えてみる必要があるのではないか、なお、このモーターボートが相当の黒字を出して、この黒字によって災害をたとえ一部でもお助けでき得るという状態にあるものならば、これまた考えものでありますけれども、これ自体が最盛期の最も盛んなときにトントンであるその他は赤字であるということでは、人をお助けするだけの力はまずないかのように私は考えるわけであります。
 この際一考をしていただく必要があるのではないか、私どもはこれに対して同意しかねる点があるわけであります。
 知事答弁「モーターボートの問題でありますが、お説のとおりにいろいろ議会の皆さん方からの御意見もありましたので、県といたしましては、なるべく経費を節約して赤字を出さないように、しかもこれが発展するように努力いたしてきておるのであります。
 ちょうど折悪く今回の災害によりまして投票場が倒壊いたしましたが、事業そのものは、私はこれは、継続していくべきものである、またこれを振興さすことに努力いたしていくべきである。
 今回御審議を願うために提案いたしましたのは、災害によりまして倒壊したのでありますから、これをたとえ十分とはいかなくても一部を復興いたしまして、この事業の振興と将来これから得るところの収益というものを目しておるのでありまして、決して赤字を目的としておるのでなくこれによって相当の利益を生むように努力して県の財政の一部にでもなるようにというのが念願であります。この点御了承下さいまして御協力下さることを特にこの際お願申上げておく次第であります。」
 本案については、総務部常任委員会に付託せられ、慎重な審議が重ねられ、十月二日可決せられた。
 建築課においては直ちにこれが復旧に着手し、株式会社伊藤組が二、七二二、四二〇円で落札、昼夜兼行の工事が続けられ、十月二十七日からレースは再開された。
 二十八年度決算は一般会計から八、九九七、六〇〇円の繰入れとなった。
 
低迷状態
 昭和二十九年度の当初予算は、従来競輪事業、競艇事業と別々の予算であったものを一本にまとめ、公営競技事業経営資金として、競艇の欠損をカバーして運営することにしたが、売上げは依然として上昇せず、議会開会の度ごとに論議せられた。
 九月二十四日本会議における質問要旨「競艇は県民の質実な気風の養成にマイナスである。にもかかわらずあえてやるのは県の苦しい台所をなんとかしたいという知事の熱意の現われであったと了承して、その実施を拝見してきたが、昨年度は十分な成績をあげることができなかった。
 ところが四月、五月、六月と続いて赤字を出し、七月、八月がようやく黒字を出したが、九月に入るとまた百万近い赤字を出している。それも県の職員の人件費を別にしてのことで、数多い県の職員をこの事業に従事させ、職員のエネルギーも無駄にできない。再考慮して然るべきである。」
 知事答弁「収益が償われないからといってこれを直ちに廃止する考えはない。なお最善の努力を払って当分継続してゆきたい。」
 
新知事森氏存続を表明
 二十九年十二月七日、知事選挙の結果、森幸太郎氏が知事に当選せられた。
 十二月定例議会が二十日から開会せられたが、二十二日新知事に対し競艇について質問がされた。「私共が服部県政時代に常々反対をいたして参りましたモーターボート競走のことでございますが、当初このモーターボート競走の実施せられる時に、森知事もこの競走場の設置に対しましては競願せられておったということをきいておるのでございますが、今後のこのモーターボート競走事業について抱負をお持ちでございましょうか。
 このモーターボート競走事業は、現在まさに危機にひんしていると思うのでございますが、今後モーターボート競走事業に対しましては、森知事はいかなる御方針でお臨みになるか、お伺いいたしたいと思うのでございます。」
 知事答弁「モーターボート競走の問題でございますが、お話の通りであります。
 これは現在自治体の財政を救うためにおいて競輪、競艇ということが認められているのでありますが、本来ならばかような投機的な仕事をやることは、私は決して賛成するところではございません。しかし、こういう事業が国家の方針として許されているのでありますからして、せっかく出来ましたものは、利益のあがるように考えていかなければならぬと考えております。
 今お話のありましたモーターボート競走会でありますが日本一の優秀なる地盤を持ちながら毎回毎回赤字を出すということにつきましては、何かそこに原因があるのではないか、私は専門的な立場の人から十分さらに検討を加えてもらいまして、どうしてもこれが利益があがらない、県のマイナスになるという場合においては、断固これは廃止したいと考えております。」以上のように、新知事も存続の決意を示された。
 
ファン誘致に積極策
 初開催当時より京都周辺における公営競技は、京都淀競馬、宝池、向日町、奈良、びわこの競輪、京都長岡競馬が開催し、互にファンを争奪して鎬を削っている状態であった。
 二十九年度よりファンに無料バスを提供することが最も効果があるとし、京都京阪三条四条大宮、国鉄大津駅から運行してPRに努めた。
 また県内選手も積極的に応援態勢を固め、非出場選手が交代にトラックに乗り、出場のユニフォームを着用し、艇二隻、エンジン二基を登載、県広報軍を先頭に京都市内を主に街頭宣伝し、京都疏水の動物園前から平安神宮前、伏見、中書島、嵐山、宇治中之島、観月橋、八幡その他時には奈良猿沢池等人出の多い所を選び二艇による模擬レースを実施、群衆の集った頃に宣伝ビラ、招待券、マッチ等を配布する等、あの手この手の方法により懸命の宣伝につとめた。
 また、来場したファンに対しては、先着入場者をスピード籤による、タオル、ハンカチ等の贈呈、廃券による模擬レースの適中者に賞金の交付、県下菊花コンクール、菊人形展等、自しゅく通達の出るまで毎開催何かの催しをするのが通例であった。
 
売上げ上昇の気運
 三十年度決算の結果は三、一八七、〇〇〇円一般会計への繰出しが計上された。
 開催経費のうち備品、消耗品等が大幅に競輪事業によりカバーされたとはいえ、関係者をしてやや、愁眉を開かしめた。
 三十一年度、三十二年度、三十三年度の売上げは一日平均四百万円台の上昇に止まったが、選手の技倆も向上し、スタート事故も急減、競輪に比べ好配当がファンの人気の因となり、また、永年不振に喘いでいた長岡競馬の廃止、京都宝池競輪の廃止等も重なり、三十四年度には、一日平均五百万円台に乗り、ようやく前途に曙光を見出すに至った。
 
大津、彦根、長浜三市競艇事務の受託
 開催当初の二十七、二十八年に大津、彦根、長浜の三市は二開催ずつ開催したが売上げ不振のため休止した。
 しかし、大津市四三、五七一、四〇〇円、彦根市四八、七三七、四〇〇円、長浜市三八、一四一、九〇〇円の売上げに対する三パーセントの国庫納付金大津市一、三〇七、一四二円、彦根市一、一六二、一二二円、長浜市一、一四四、二五七円、は未納となっており、三市ともこれが納付に腐心していたが、法施行規則第三条の規定を適用し、二日間を三市分として開催し、県がこれを受託してこの収益を国に納付することとなった。
 地方自治法第二五二条の一四の規定に基づき、大津市においては三十五年十月十三日、彦根市は十月二十九日、県に事務委託をすることについて市議会に協議する議案を提案、即日可決、長浜市においては十二月十七日提案、二十一日可決、それぞれ県に対し申請があった。
 県においては大津市、彦根市との事務委託に関する規約を十二月議会に、長浜市分については三十六年三月議会に提案、議決が得られたので、それぞれ次のとおり告示された。
 
告示
 
滋賀県告示第八号
 県は、大津市のモーターボート競走法(昭和二十六年法律第二四二号)の規定に基づく国庫未納金の納付にあてるため、同法第二条の規定によるモーターボート競走に関する事務を次の規約により受託したので、地方自治法(昭和二十二年法律第六七号)第二五二条の一四第三項において準用する同法第二五二条の二第二項の規定により、告示する。
昭和三十六年一月十三日
滋賀県知事 谷口久次郎
大津市と滋賀県との間のモーターボート競走に関する事務の事務委託に関する規約
(委託事務の範囲)
第一条 大津市(以下「甲」という。)は、モーターボート競走法(昭和二十六年法律第二一二号)第二条の規定に基づくモーターボート競走に関する事務(以下「委託事務」という。)の管理および執行を滋賀県(以下「乙」という。)に委託する。
(管理および執行の方法)
第二条 前条に掲げる事務の管理および執行については、乙の条例および規則その他の関係規程(以下「条例等」という。)の定めるところによるものとする。
(経費の負担および予算の執行)
第三条 委託事務の管理および執行に要する経費は乙が支弁する。ただし、その費用は甲の負担とする。
2 前項の経費の額は乙が甲と協議して定める。この場合において、乙は予め委託事務の管理および執行に要する経費の見積りに関する書類を甲に送付しなければならない。
第四条 乙は委託を受けた事務の管理および執行にかかる収入および支出については乙の歳入歳出予算において計上するものとする。
第五条 乙は各年度においてその委託事務の執行にかかる予算に残額がある場合においては、これを翌年度における委託事務の管理および執行に要する経費として繰り越して使用するものとする。
 この場合において、乙は繰越金の生じた理由を付記した計算書を当該年度の出納閉鎖後速やかに甲に提出しなければならない。
(決算の場合の措置)
第六条 乙は地方自治法(昭和二十二年法律第六七号)第二四二条第四項の規定により決算の要領を告示したときは、同時に当該決算の委託事務に関する部分を甲に通知するものとする。
(連絡会議)
第七条 甲および乙は委託事務の管理および執行について連絡調整を図るため年二回定期に連絡会議を開くものとする。
 ただし、甲の申し出がある場合においては、臨時に連絡会議を開くことができる。
(条例等改正の場合の措置)
第八条 委託事務の管理および執行について適用される乙の条例等の全部または一部を変更しようとする場合においては、乙は予め甲に通知しなければならない。
第九条 委託事務に適用される乙の条例等の全部または一部が改正された場合においては、乙は直ちに当該条例等を甲に通知しなければならない。
2 前項の規定による通知があったときは、甲は直ちに当該条例等を公表しなければならない。
付則
1 この規約は昭和三十六年一月一日から施行する。
2 甲は、この規約の告示の際併せて委託事務に関する乙の条例が甲に適用される旨公表するものとする。
3 委託事務の全部または一部を廃止する場合においては当該委託事務の管理および執行にかかる収支は廃止の日をもって打ち切り、乙が決算する。
(同日付彦根市第九号、長浜市三月十八日付第六九号)
 開催は三十六年一月から三十七年三月まで施行し、三市合計三、六一三、五二一円を近畿海運局に納付した。
 
昭和四十二年度の現状
 三十六年頃より売上げは急上昇し、収益も増え、三十年度より四十二年までの一般会計への繰出金合計は二、七二〇、九四六、〇〇〇円となった。
 四十二年度の売上げは六、二〇二、七一九、五〇〇円、一日平均四三、〇七四、四〇〇円を記録、一般会計への繰出金は八億八百万円となり一般会計の歳入合計三百六十三億七千二百余万円の内県税の八十億四千百万円に比べ約一割に当り県の財政に少なからぬ寄与をしている。
 
現在のびわこ競走場


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