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3.1.3 地方性
3.1.3.1 「広東省内陸河川航運発展計画」
 2004年10月、広東省発展改革委員会、広東省交通庁、広東省財政庁などの部門は共同で「広東省内陸河川航運の発展計画」を制定して公布した。「計画」によると、2004年から2010年までに、広東省航路建設では約50億元を投資する計画をしており、うち「第10次5ヵ年計画」期間後期の2年間に約14億元を投資し、「第11次5ヵ年計画」期間に約36億元を投資して広東省航運業の発展に全力を挙げる。広東省は西江水運主要通路及び珠江デルタ「三縦三横」を主要航路としての珠江デルタ現代化航路ネットワークを構築、当該ネットワークを中心として北江、東江など航路の幹線・支線と接続し、河川・海域直航航路、船舶などを一体的に発展させ、珠江水系内陸河川水上運送システムを整備する。
 
●2010年までの広東省内陸河川航運のインフラ施設の建設目標
内陸河川航路
 2,000トン級の内陸河川航路236キロメートル、1,000トン級の内陸河川航路約230キロメートル、500トン級の内陸河川航路100キロメートルを整備する目標があり、2010年までに広東省1,000トン以上の内陸河川航路は1,080キロメートルに達し、広東省内陸河川航路全体の9%を占めることとなる。
運送船舶
 船舶運送力の構造を調整・完備する。2008年までに基本的にコンクリート船と船外機船を淘汰する。2010年までに、珠江デルタの標準化された船舶を60%以上にし、船舶の平均DWTを400DWT以上にし、基本的に珠江デルタ水系地域の専門化運送システムを構築する。
 
●広東省内陸河川運送量の予測
 
表35 2005から2010年までの広東省内陸河川運送量の予測
運送量 2005年 2010年
(1)内陸河川貨物運送量(億トン) 1.43 1.83
うち:コンテナ(万TEU) 720 1,250
(2)内陸河川客運送量(万人) 623 480
出典:広東省内河航運の発展計画、MIRU調べ
 
3.1.3.2 「上海市における内陸河川航運の発展計画」(編修報告書)
 2005年、上海市港管理局は「上海市における内陸河川航運の発展計画」を実施し始めた。「計画」によると、上海市は揚子江デルタ地域に繋がる内陸河川コンテナ集散運送体系の構築を加速し、上海市国際航運センターの建設のために安定した便利な水路運送環境を提供し、1,000DWT船舶の通航ができる三級航路を水路建設計画に入れ、2010年までに三級航路を主として、四級航路を補助とする「一環十射」7幹線航路の高等級内陸河川航路ネットワークを整備する。
 「上海市内陸河川航運の発展計画」の主要内容については以下の4つにまとめる。
 
(1)内陸河川航路の整備計画
 「一環十射」高等級内陸河川航路ネットワークの整備計画のもとで、まず、江蘇省、浙江省と上海市の中枢港とつながるコンテナ運送の主要通路を整備し、外高橋と洋山港のコンテナ取扱量の増加に適応する。2010年万博会黄浦江水上観光機能の開発を保障するため、黄浦江両橋間の水域の貨物船の通過を制限し、黄浦江内陸河川の貨物船を分流させて客船と貨物船の分流を実施する。つぎは、外高橋港とつながる趙家溝航路及び芦潮港と洋山港をつなげる大芦線航路及び趙家溝と大芦線をつなげる大浦線航路の等級を元の四級から三級にアップし、内陸河川航路の浦東環線を形成する。
 
(2)内陸河川港の整備計画
 内陸河川港の近代化は機械化、大型化と多機能化などがある。現在、内陸河川港においては機械化レベルが低く、規模が小さいなど問題を抱えていることから、その近代化は実用技術と設備のレベルアップを突破口として、港作業の機械化をはかり、港の規模効果を求め、一部の港を地域物流センターへと発展させる。
 上海市の内陸河川港は上海市深水港と接続し、上海市の産業配置に対応する形で、既存バースを調整、集約化・専門化した内陸河川港群を形成し、GIS(地理情報システム)化を全面的に実施する。
 
(3)船型の発展計画
 内陸河川運送船舶の近代化は船舶標準化と大型化がある。既存の運送船舶の構成は多岐にわたっているが、コンクリート船、船外機船を早期に淘汰し、内陸河川船舶の標準化の推進を加速する。航路条件の改善に伴い、内陸河川運送船舶の大型化をはかり、主力船型の積載量を1,000DWT以上にする。
 
(4)情報化の推進計画
 水上安全監督管理を中心とし、海事情報化の整備を加速する。需要をもって方向を誘導し、応用をもって発展を促進し、情報技術の推進と応用を通じて、海事業務の科学性を高め、ルールの明確化、情報化をもって海事管理の近代化を進め、水上安全監督管理のレベル及び海事行政上の法律執行能力を全面的に高め、海事管理の高速な発展をはかる。
 
7「一環十射」の中に、「一環」というのは「黄浦江−大治河−浦東運河−趙家講−藻浜−油港−黄浦江」環状航路であり、「十射」というのは太浦河、杭申線、蘇申外港線、蘇申内港線、金匯港、平申線、羅蘊河、川楊河、龍泉港、大芦線など10本の航路である。
 
3.1.3.3 「江蘇省における幹線航路ネットワークの構築計画」
 2005年9月、江蘇省政府と交通部が共同で「江蘇省における幹線航路ネットワークの構築計画」を公布し、2006年から2020年までに期間ごとで実施する予定である。「計画」によると、全力を挙げて「江蘇省幹線航路ネットワーク」を構築し、江蘇省内陸河川航路のレベルをアップする。うち、江蘇省幹線航路ネットワークは三級以上航路を主体とし、四級航路をサブとし、「二縦四横」8の約3,455キロメートル高等級航路を含む。
 2010年までに、コンテナ運送航路と運送需要の盛んな幹線航路を重点的に整備し、円滑に航行できるようにする。
 2020年までに、一体的、かつ高効率の運行ができる幹線航路ネットワークを形成し、計画目標を達成する。
 
3.1.3.4 「浙江省における内陸河川の「四自」航路管理の暫定方法」
 2004年11月、浙江省政府が「浙江省における内陸河川の「四自」航路管理の暫定方法」を公布、実施した。「四自」航路管理方式というのは「自ら貸し付けをし、自ら航路を建設し、自ら費用を徴収し、自ら貸し付けを返却する」とのことであり、この「四自」を通じて、航路の建設と改造を行ない、民間資本の参入を許可し、水運の基盤建設資金の調達ルートを拡大する。浙江北部9本の幹線航路の全長は785キロメートルで、「四自」航路工程の杭甬運河など5条の内陸河川航路を入れて、浙江省の「四自」航路工程に取り入れた航路は14本に達し、全長は1,100キロメートル以上あり、浙江省航路の全長の10%を占めている。
 「四自」航路は浙江省航路保全計画に入れ、統一的な管理を行ない、航路の費用徴収については、通航費、船水門費、停泊費などを徴収することとする。規定によると、費用徴収航路1本ごとに費用徴収期限は30年までとする。
 
8「二縦四横」の中に「二縦」というのは京杭運河と連串線であり、「四横」というのは淮河出海航路、通楊線、揚子江幹線と蕪申線である。


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