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2. 中国における内航運送業の発展動向
2.1 内航物流の概況
 2004年、中国における水路全体の貨物運送量は前年比18.4%増の18.7億トンに達し、トンキロベースでは前年比44.3%増の4.14万億トンキロメートルに達し、水路の旅客運送量は前年比12.0%増の1.90億人回、人キロベースでは前年比5.2%増の66.3億人キロメートルとなった。
 
表21 最近5ヵ年の中国における水運の運送量
年度 貨物運送量
(億トン)
貨物運送量
(万億トンキロメートル)
旅客運送量
(億人回)
旅客運送量
(億人キロメートル)
2000 12.24 2.37 1.94 100.5
2001 13.27 2.60 1.86 89.9
2002 14.18 2.75 1.90 81.8
2003 15.80 2.87 1.70 63.0
2004 18.70 4.14 1.90 66.3
出典:2004年中国航運発展報告
 
 中国における内陸河川貨物運送においては、2004年の中国全国内陸河川の貨物運送量は9.16億トン、トンキロベースでは2,184億トンキロメートルに達し、それぞれ中国水路運送全体の49.0%と5.3%を占めている。内陸河川の旅客運送においては、旅客運送量は約1.2億人回に達し、中国旅客運送全体の63.2%を占めている。
 
表22 2004年の中国内陸河川における航路別の貨物運送状況
主要内陸河川 貨物運送量
(億トン)
貨物運送量
(億トンキロメートル)
備考
揚子江水系 3.57 1,200.4 2004年、自動車輸送、液体化学品運送、ばら積みセメント運送の需要が大きかった。
珠江水系 1.4 224.8 2004年、珠江水系にある貴港港の貨物取扱量は1,358万トンに達し、前年比で30.6%増と大幅に伸び、西南部の重要港となった。
黒龍江水系 0.11 9.68
京杭運河 2.11 455.3 石炭、建築材料の運送需要が増えたため、航路通過能力の改善は必要となった。
合計 7.19 1,890.2
内陸河川貨物運送量全体に占める割合(%) 78.5 86.5
出典:2004年中国航運発展報告
 
 2004年、揚子江水系における貨物運送量はトンベース、トンキロベースでそれぞれ中国全国内陸河川貨物運送量全体の39.0%と55.0%を占め、トップとなっている。つぎは京杭運河でトンベース、トンキロベースでそれぞれ中国全国内陸河川貨物運送量全体の23.0%と21.0%を占めている。珠江水系における貨物運送量が揚子江水系と京杭運河に次ぎ、第3番目となっている。
 
2.2 中国における内陸河川航路
2.2.1 中国における内陸河川航路の概況
 2002年8月の「第二回全国内陸河川航路の一般調査」によると、中国における主要内陸河川航路には四大水系があり、航路の長さは11.19万キロメートルで、中国内陸河川航路全体の82.77%を占めている(以下表23を参照)。地域的には、中国内陸河川航路は主に江蘇省、広東省、湖南省、四川省などに集中している。
 
表23 中国における内陸河川四大水系航路の長さ
四大水系 航路通航距離
(万キロメートル)
全国内陸河川航路里に占める割合
(%)
揚子江水系 6.64 49.13
珠江水系 1.82 13.89
黒龍江水系 0.85 13.49
淮河水系 1.88 6.26
合計 11.19 82.77
出典:第二回全国内陸河川航路の一般調査、MIRUの資料収集
 
2.2.2 航路の発展動向
 中国交通部の「重点を突出し、収益を重視する」という原則に基づいて、できるだけ2020年までに18,500キロメートルの国家高等級航路ネットワークを構築し、基本的に内陸河川船舶の標準化及び安全監督・管理のインテリジェント化を実現するように努める。
 
中国内陸河川航路建設の四つの重要点
(1)揚子江幹線航路システムの整備及び主要支流航路の開発を加速し、揚子江流域の内陸河川航路の発展を促進し、十分に揚子江「黄金水路」の役割を発揮する。
(2)揚子江デルタ高等級航路ネットワークの建設を加速し、基本的に船型標準化を実現する。現在、交通部は以下のような三つの工事を実施している。(1)京杭運河航路の渋滞問題を解決するため、渋滞開通工事を行なっている。(2)高等級航路ネットワークを構築するため、大規模な航路整備工事を行っている。(3)船型標準化の改造プロジェクトを実施している。
(3)珠江デルタ高等級航路ネットワークの構築を加速し、早期の現代化を実現するためにサポートと保障を提供する。5年から8年までの期間において、珠江デルタの「三横三縦」の高等級内陸河川航路ネットワークを構築する。
(4)西江幹線航路の建設及び主要支流航路段階の開発を加速する。西江航運幹線の能力拡大工事の実施を加速し、長洲中枢二線の水門を建設し、通航能力を高める。右江全流域の開発、百色水門及び魚梁、老口航電中枢の建設を加速する。紅水河運送の回復事業を加速し、広西省の中国と東盟自由貿易区及び環珠江デルタ経済区における戦略地位と重要な役割を果たす。
 
 2004年、中国内陸河川の建設重点は揚子江深水航路の二期整備、山峡ダム水運水没施設の復帰建設及び揚子江幹線航路の建設である。中国交通部の統計によると、2004年の中国内陸河川航路インフラ施設建設の総投資額は71.4億元で、2003年に比べ32.7%と大幅に増加した。内陸河川航路472キロメートルの新規建設及び改造を行ない、内陸河川の港のバースを179基増設し、取扱能力は1,332万トン増加した。
 
表24 2004年の中国における内陸河川航路の建設投資の概況
航路 投資額
東流水路航路の整備工事(新規工事としてスタートした) 1.8億元(計画)
陸溪口水路航路整備工事(新規工事としてスタートした) 9,000万元(計画)
揚子江航路積泥取り応急工事、碾子湾航路整備工事、張家洲南港航路整備工事など(竣工・検査の段階に入った) 1.23億元
湖南省洞庭湖区の航運工事 1.8億元
2004年12月1日、株洲中枢二期のせき止め工事が竣工し、水門が2004年末に通航した 5億元
黒龍江大頂山中枢の建設工事がスタートし、一期のせき止めを成功し、2006年内に閘門を開いて貯水する予定である 29億元
出典:2004年中国航運発展報告
 
2.3 中国における内陸河川船舶の使用状況
 2004年末まで、中国は内陸河川運送船舶が約20万隻、3,814.5万DWTを有し、それぞれ2003年より3.1%と25.7%増加した。うちコンテナ船舶の発展は最も速く、2002年の1.01万TEUから2004年の3.3万TEUへと急激に成長した。また、以下の表25の船舶平均のDWTは2002年の124.9DWTから2003年の156.4DWT、2004年の190.8DWTへと年々大型化してきており、中国内陸河川船舶の急速な伸びと大型化傾向がうかがえる。
 
表25 最近3ヵ年の中国における内陸河川運送船舶の統計データ
内容 2002年 2003年 2004年 増加率(%)
船舶数(万隻) 19.3 19.4 20.0 3.1↑
DWT(万トン) 2,411.5 3,034.8 3,814.5 25.7↑
平均DWT(トン/隻) 124.9 156.4 190.8 2.1↑
旅客積載量(万人) 83.6 86.3 84.8 -1.7↓
コンテナ(万TEU) 1.01 2.8 3.3 17.9↑
出典:2003、2004年中国航運発展報告


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