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1.3.4.3 揚子江及び珠江水系における内陸河川港の物流状況
●揚子江水系内陸河川港及び貨物取扱量
 2004年末時点、揚子江水系には22の主要港があり、うち対外開放港が19ある。主要港には1,014基のバースがあり、うち1万DWT以上のバースが157基ある。
 2004年、揚子江水系主要港の貨物取扱量は前年比53.1%増の4.70億トンに達し、中国内陸河主要港の総取扱量55.7%、うち石炭及びその製品の取扱量は9,179.1万トンで、金属鉱石は9,676.9万トン、石油天然ガス及び製品は7,973万トンである。一方、2004年の揚子江幹線主要港の旅客取扱量は引き続き下降した。
 
表16  2004年の中国における揚子江幹線主要港の貨物・旅客取扱量
項目 2003年 2004年 増加率(%)
(1)貨物取扱量(億トン) 3.07 4.70 53.1↑
うち外国貿易貨物取扱量(億トン) 0.43 0.60 39.5↑
コンテナ取扱量(万TEU) 142.4 196.6 38.1↑
(2)旅客取扱量(万人回) 900.5 851.5 -5.4↓
出典:中国港口年鑑2004年、2005年
 
 揚子江航務管理局の専門家の予測によると、2010年及び2020年には揚子江幹線(河・海直達を含む)貨物運送量はそれぞれ5.8億トンと8億トン、コンテナ運送量はそれぞれ360万TEUと800万TEUに達すると予測される。
 
●珠江水系内陸河川港及び取扱量
 2004年末まで、珠江水系は南寧港、貴港港、梧州港、肇慶港、佛山港を主要港として、その他の中小港と協力し合い、共同発展の港体系が構築されている。珠江水系には2,484基のバースがある。珠江水系の各港は主に西江航運幹線、珠江デルタ航路ネットワーク、東江、北江及び西南水運出海通路などの主要通航航路に分けられる。2004年、珠江水系主要港の貨物取扱量は前年比20.1%増の17,244万トンに達し、うち外国貿易取扱量は前年比4%増の4,056万トンで、コンテナ取扱量は前年比12%増の443.3万TEUに達した。
 
表17  2004年の中国における珠江水系主要港の貨物・旅客取扱量
指標名称 2003年 2004年 増加率(%)
(1)貨物取扱量(億トン) 1.44 1.72 20.1↑
うち対外貿易貨物取扱量(億トン) 0.39 0.40 4↑
コンテナ取扱量(万TEU) 395.8 443.3 12↑
(2)旅客取扱量(万人回) 976 1,210 24↑
出典:2004年、2005年中国港口年艦
 
表18  2004年の中国における珠江水系内陸河川港の貨物取扱量ランキングトップ5位
順位 貨物取扱量
合計(百万トン) うち(1)対外貿易(万トン) (2)コンテナ(万TEU)
1 貴港港 13.6 22.6 0.8
2 沙田港 9.5 415.8 8.3
3 新塘港 8.3 309.7 30.92
4 麻涌港 7.4 45.8 2.6
5 五和港 6.2 68.4 6.0
出典:2005年中国港口年鑑
 
●揚子江水系と珠江水系のコンテナ運送状況
 中国内航コンテナ運送は主に揚子江と珠江中流・下流地域に集中している。揚子江コンテナ運送は主に内貿航路であるが、珠江コンテナ運送は主に内陸地から香港への対外貿易支線である。経営主体を見ると、揚子江水系におけるコンテナ運送を行なっている運送会社は主に大手航運企業であり、例えば長航集団、中遠(COSCO)、中海、中外運などであるが、珠江水系におけるコンテナ運送を行なっている運送会社は主に私営企業である。船型の構造から見ると、中国内航コンテナ運送船舶は主に自航小船とはしけであり、うち珠江水系のコンテナ船舶の90%以上はクレーンを持つ自航小船である。この船型は香港船との河での貨物引渡し作業に用いられる。
 2004年、揚子江水系における主要内陸河川港のコンテナ取扱量は196.6万TEUであり、中国全国内陸河川港のコンテナ総取扱量の39.5%を占めている。2004年、珠江水系における主要内陸河川港のコンテナ取扱量は165.3万TEUであり、中国全国内陸河川港のコンテナ総取扱量の33.2%を占めている。揚子江水系と珠江水系における主要内陸河川港のコンテナ取扱量は中国全国内陸河川港のコンテナ総取扱量の72.7%を占めている。
 2004年末時点で、揚子江内支線でコンテナ運送業務を行う船社は36社あり、280隻余りの船舶を擁し、計16万DWT、約2.5万TEUである。
 
表19  中国における揚子江流域の主要コンテナ船会社の市場シェア及びその航路
地域 船会社 コンテナ船型(TEU) 地域市場シェア(%) 航路
上流地域
(川江)
民生輪船公司 96〜144 65 重慶-上海
重慶太平洋国際貨物運送代理公司 84〜174 30
長航重慶輪船公司 70〜96 5 重慶、瀘州-上海
中流地域
(宜昌-岳陽)
湖南遠洋運送公司 60〜128 湘江市場の50%〜60%シェア 長沙-上海、株洲-湘潭-長沙-上海
長沙港務局貨物運送公司 36〜124 湘江市場の20%〜30%シェア 長沙-上海
中下流地域
(武漢-蕪湖)
中国遠洋運送集団公司 98〜124 30 武漢-上海
中国対外貿易運送集団 24〜124 22
武漢長偉国際航運実業公司 50〜230 18
上海市集海航運有限公司 96〜144 14
上海市浦海航運有限公司 100 13
東方海外貨航運公司 32 2
下流地域
(南京以下)
南京通海水運公司 100〜168 33 南京-上海
上海市集海航運有限公司 100〜120 30
出典:MIRU資料収集
 
1.3.4.4 中国内陸河主要港の発展動向
 2004年、揚子江幹線の運送貨物は多く、幹線にある港のほとんど積卸バースは飽和状態にあり、一部の港では荷物量が取扱能力を越える状態もあった。揚子江幹線港は貨物の取扱能力を高めるため、港のインフラ整備とバース改造などを行なった。
・2004年3月28日、中国内陸河最大のコンテナターミナルである南京港龍潭ターミナルが正式に運営し始めた。龍潭ターミナル一期工事の総投資額は10.89億元で敷地面積は93万m2あり、コンテナ専用バースは2.5万トン級が3基及び1,000トン級が2基ある。年間設計取扱能力は52万TEUである。
・2004年、張家港港は5万トン級のバースを1基建設し、4,010万元を投資して積卸機械、牽引車、大型クレーン、フォークリフトなど設備を増設し、港の取扱能力を高めた。
・2004年2月、武漢陽邏新港は5,000トン級のコンテナ高杭梁板式バース1基の建設工事が竣工し、コンテナ一時保管能力は3,750TEUに、年間設計処理能力は10万TEUに達している。
・南通港狼山港は第三期工事のバラ積み貨物用バースの水域工事が竣工した。これは揚子江において初の10万トン級のバラ積み貨物用バースである。完成後、貨物取扱能力は1,500万トン増加し、長期的には4,000万トン増加すると期待されている。
・江陰港は5万トン級バース2基の改造工事を行ない、港の取扱能力を115万トン増やす計画を立てている。
・蕪湖港は上場企業から資金を募集し、裕溪口の300万トン石炭中継配送センター、朱家橋の10万TEUコンテナバース、RO/RO船バース及び蕪湖現代物流センターを建設する計画を立てている。
・貴港市政府は貴港港に対し「港富市」戦略を打ち出し、港の運送経済ベルト、臨港工業園区の建設を計画している。2004年、貴港市平南魚峰水泥公司のバース建設工事が竣工して運営し始め、年間取扱能力は265万トンで、総投資額は2,567万元である。そのほかに、貴港港の二期工事が全面的にスタートし、投資額は2.42億元である。
・2004年、重慶港九龍坡のコンテナバース取扱能力の拡大工事が竣工した。コンテナ堆場面積を5万平米拡大し、コンテナ取扱能力を10万TEUから20万TEUまでアップした。
 
 一方、揚子江上流港も港施設の建設と改善を加速している。例えば重慶港は年間取扱量70万TEUの寸コンテナバースの建設工事がスタートし、それと同時に、九龍坡コンテナバースの拡大工事及び藍家沱港の改造工事も開始した。陵港と万州港はバース施設の増設工事のほか、専門バース8基の建設工事をスタートした。
 
表20 中国における内航主要コンテナ港の取扱能力の計画
(単位:万TEU)
港名称 2004年 2010年 計画内容
南京港 44 200 2010年までに、38億元を投資し、沿海地域において新規バースを40基建設する計画を立てている。
南通港 28.7 100 2010年までに、1億トン級の大型港を建設する計画であるが、2007年にこの目標を実現することを図っている。
重慶港 14.8 120 2010年までに、147億元を投資し、揚子江上流航路運送センターを建設する計画を立てている。
2020年までに、32.1億元を再投資する計画がある。
武漢港 14.0 30 2010年までに、武漢揚子江中流航路運送センターの港取扱量は5,000万トンに達し、コンテナ取扱量は30万TEUに達することができる。
2015年までに、港取扱量は8,000万トンに達し、コンテナ取扱量は100万TEUに達することができる。
出典:2005年中国港口年鑑


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