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1.3.3.3 コンテナの運送現状
●コンテナ取扱量
 中国におけるコンテナ運送業務は主に沿海港に集中している。2004年の中国全国港湾コンテナ取扱量は6,160万TEUで、前年に比べ26.6%増加した。うち沿海港はコンテナ取扱量が前年比27.1%増の5,662万TEUに達し、中国全国港湾コンテナ取扱量に占める割合は91.9%と非常に高い。2004年度の中国におけるコンテナ港取扱量ランキングを見ると、寧波港が天津港を抜いて第4位となった他は、上位の港のランキングに変動はない。
 
表9 2004年度の中国における港コンテナ取扱量トップ10位
順位 取扱量(万TEU) 増加率(%)
1 上海港 1,455.4 29.0
2 1,365.9 28.2
3 青島港 514.0 21.3
4 寧波港 400.6 44.5
5 天津港 381.6 26.5
6 広州港 330.4 19.5
7 アモイ港 287.2 23.2
8 大連港 221.2 32.4
9 中山港 93 22.1
10 福州港 70.8 18.6
出典:2004年中国航運発展報告書
 
●二大コンテナ港グループ
 近年、中国では二大コンテナ港グループが構成され、すなわち、上海港、寧波港を主とする揚子江デルタコンテナ港グループと深港、広州港、中山港を主とする珠江デルタコンテナ港グループである。2002年から2004年までの3年間で、この二大コンテナ港グループに属する主要港のコンテナ取扱量は、中国全国港湾コンテナ取扱量において55%〜60%ほどのウエイトを占めており、数年上昇傾向にある。環渤海地域における主要港コンテナ取扱量も急速に伸びてはいるものの、全体的なウエイトはまだ小さい。
 
表10  中国における二大コンテナ港グループのコンテナ取扱量及び予測
(単位:百万TEU)
コンテナ港 2002年 2003年 2004年 2005年 2009年
上海港 8.6 11.3 14.6 18.2 28.7
寧波港 1.9 2.8 4.0 4.8 6.8
揚子江デルタコンテナ港グループ 10.5 14.1 18.6 23.0 35.5
中国全国コンテナ港に占める割合(%) 28.4 29.7 30.1 31.5 34.5
7.6 10.6 13.7 16.7 24.9
広州港 2.1 2.8 3.3 4.0 5.9
中山港 0.6 0.8 0.9 1.0 1.3
珠江デルタコンテナ港グループ 10.2 14.2 17.9 21.7 32.1
中国全国コンテナ港に占める割合(%) 27.6 30.0 29.1 29.7 31.2
出典:中国港統計年鑑、Mongan Stanley 2005年研究報告、2004年中国航運発展報告
注:2005年と2009年の予測値はMorgan Stanley 2005年研究報告
 
●コンテナ港の発展動向
 「2004年中国航運発展報告書」によると、中国における沿海主要コンテナ港の取扱能力計画及び発展動向は次の表11のように総括される。
 
表11  中国における沿海主要コンテナ港の取扱能力計画及び発展動向
2004年
(万TEU)
2010年
(万TEU)
発展動向
上海港 1,455.4 2,500
・2004年、外高橋プロジェクト第五期のコンテナバースの主体工事が竣工し運営し始め、そのほかに、洋山港一期工事も加速された。
・洋山港の計画によると、大、小洋山南北の島グループを二つの大型港を建設し、真ん中には潮の流れと一致した港区内の水域通路を建設する。北港区では2020年まで四期工事に分けて実施し、最終的にコンテナバース30基、コンテナ取扱能力1,470万TEUの規模を建設する。南港区は将来のための予備港区である。
・上海市国際航運中心洋山深水港一期工事が2002年6月からスタートし、2005年12月に竣工した。
・2010年の洋山深水港区を含む上海港のコンテナ取扱量は2,500万TEUに達すると予測される。
・2020年の上海港はコンテナ取扱量を2,600〜3,000万TEUにする計画である。
1,365.9 2,500
・2004年は、コンテナ取扱能力を120万TEU、コンテナターミナル面積を47万平米、コンテナ壁岸用クレーンを15台、ガントリークレーンを45台増加した。
・深湾港投資発展有限公司と香港現代貨碼頭公司は共同で70.73億元を投資し、大湾港区コンテナバースを建設し、うち一期工事ではバース5基(10万DWTコンテナ3基、7万DWTコンテナバース2基)を建設する計画で、2010年までの貨物取扱量は2億トンに達する計画である。
青島港 514.0 1,200
・2004年末には、前湾三期工事の5〜10万DWTのコンテナバース3基を竣工し運営し始めた。2005年には8,000〜10,000TEUの大型コンテナ船バースの建設計画を立てている。
・2010年までに、160億元を投資して、貨物取扱量を2億トン以上、コンテナ取扱量を1,000万TEUに達し、コンテナ取扱能力を1,200万TEUにする計画である。
寧波港 400.6 1,000
・2004年、国際深水中枢港とコンテナ遠洋幹線港の建設が加速され、2,838メートルコンテナバースの前部分の自然水深は13.5〜17メートルで、積卸橋30台が整備されている。
・2010年までに、総投資額を100億元、コンテナ取扱量を800万TEU、コンテナ取扱能力を1,000TEUにする計画である。
天津港 381.6 1,200
・2001年から2004年末までに、すでに60億元を投資して深水航路と大型専門化バースの建設に用いる。うちコンテナ取扱能力を245万TEU増加し、第六世代以上のコンテナ船を取扱うことができる。
・「第11次5ヵ年計画」期間中に300億元を投資し、北部国際航運センターと物流センターを作り上げ、北疆港区と東港区には大型コンテナバース16基を建設して取扱能力を820万TEU増加し、2010年までに貨物取扱量を3億トン、コンテナ取扱能力を1,200TEUにする計画である。
広州港 330.4 1,000
・2004年9月南沙港区一期工事が竣工し運営し始めた。わずか3カ月でコンテナの取扱量は16.5万TEUに達した。
・2010年までに、シンガポール港務集団と合弁して広州港新沙二期工事のコンテナバース3基を建設する計画がある。
アモイ港 287.2 1,000
・現在、海天、海滄、象嶼、東渡四つのコンテナバースを擁する。今後、嵩嶼港区において大型コンテナバース7基(うち南岸に10万DWT4基、東岸にDWT2基、3万DWT1基)を建設する計画がある。
大連港 221.2 1,000
・大連港集団は「第11次5ヵ年計画」期間中に、270億元を投資し、大孤山半島、大湾、鮎魚湾、大連湾の「一島三湾」地域の建設を推進する計画である。2010年までに、コンテナ取扱能力を1,000万TEU、2020年までに1,500万TEUに引き上げる計画である。
福州港 70.8 250
・江陰、羅源湾、松下の三つの外海深水港区を建設し、2010年までに、貨物取扱量を1億トンに達し、コンテナ取扱量を200万TEUに達することを図っている。
出典:2004年中国航運発展報告書


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