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刊行によせて
 当工業会では、我が国の造船関係事業の振興に資するために、競艇公益資金による日本財団の助成を受けて、「造船関連海外情報収集及び海外業務協力事業」を実施しております。その一環としてジェトロ船舶関係海外事務所を拠点として海外の海事関係の情報収集を実施し、収集した情報の有効活用を図るため各種調査報告書を作成しております。
 
 本書は、当工業会が日本貿易振興機構と共同で運営しているジャパン・シップ・センター舶用機械部にて実施した「EU拡大に伴う欧州造船・舶用機器市場に与える影響等に関する調査」をとりまとめたものです。
 関係各位に有効にご活用いただければ幸いです。
 
2006年3月
社団法人 日本舶用工業会
 
はじめに
 欧州連合(EU)は半世紀以上にわたって欧州地域の安定、平和及び経済的繁栄を遂げ、大規模な域内市場を創出し、通貨同盟及びユーロを発足させるなど、域内のみならず世界の各種産業分野において強い影響力を及ぼしてきました。また、EUの策定する単一の行政ルールや行政手続き等は非EU加盟国である我が国海事産業の市場活動にも深く大きく影響を与える存在となっています。
 
 2004年5月1日、これまで15カ国の加盟国で構成されてきたEUに、東欧を中心とする10カ国が新たに加盟し、人口の増加、地理的拡大、予想される経済成長のいずれの観点からも前例のない5億人近い消費人口を擁する巨大市場が形成されるに至りました。
 
 これまでも、東欧との関係において、労働力はじめ東欧地域のメリットを活かした西欧諸国との生産、流通体制が構築されつつありましたが、今後はさらに、東欧を軸に据えたEU域内の経済活動の活性化が速いスピードで進むものと思われます。このことは、我が国舶用機器企業にとっても、欧州諸国との多くの新しいビジネスチャンスが生まれる可能性を期待させるものです。
 
 本報告書は、拡大EUがもたらす海事分野における欧州の新たな造船・舶用工業市場への影響等を把握するため、特に、東欧業界の現状、東欧業界と西欧業界との関係、東欧造船業への新規参入の可能性、今後の見通し等について調査を実施し、その結果をとりまとめたものです。
 
 本報告書が、我が国舶用工業企業による拡大EU市場での新たな事業機会の創出、円滑な事業活動の展開など関係各位の業務のご参考となれば幸いです。
 
ジャパン・シップ・センター 舶用機械部
ディレクター 山下裕二
リサーチ・オフィサー ジャック・ハンキンズ


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