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柳井 哲一(やない てついち)
(昭9.5.5生)東京都中央区
 
 過酷な作業環境に耐え高度の熟練技術を駆使する「飽和潜水」技術を欧米から導入し、その第一人者として我が国の海洋開発と飽和潜水士の育成に尽されている。
(推薦者:社会貢献支援財団 事務局)
 
Mr. Tetsuichi Yanai
(Born on May 5, 1934)
Tokyo Prefecture
 
 Mr. Yanai has introduced "saturation diving" technology from the West, which employs advanced technological skill to endure harsh working conditions undersea. As the first in this field, he has contributed to the development of oceans for Japan through training saturation diving engineers in our country and taking part in various projects under sea using this technique over many years.
Recommended by The Foundation for Encouragement of Social Contribution
 
 柳井さんは、50年にわたり潜水作業に従事し、より高度で安全な潜水作業を行うため欧米で発展していた飽和潜水技術を習得して我が国に導入する中核となり、自らも飽和潜水の第一人者として活躍してきた。現在も現場において後進の指導を続けている。
 飽和潜水は、海中の高圧下において安全に長時間作業を行うため、不活性ガス(ヘリウムと酸素の混合気体)を体内に飽和状態にし、海中および圧力容器内において作業環境と同一圧力下での生活を行った後、作業に従事する潜水方法である。(例えば、水深200メートルで作業を行う場合には、20気圧の環境で作業・生活する。)
 飽和潜水が使われる海中作業は、海底油田・ガス田プラットフォーム、パイプラインの設置工事などの海洋石油開発に関連するもの、橋梁・ダム等の建設・補修、海底ケーブルの敷設支援、サルベージ作業等、私たちの日常生活にも関わりが深いところで行われている。2002年の北朝鮮工作船の引き上げにおいても、柳井さんの指導した飽和潜水士が活躍した。飽和潜水は、過酷な労働環境下で高度な熟練技術の駆使を必要とするため、我が国には現在、民間人としては20名程度の飽和潜水士しかおらず、そのすべてが柳井さんの指導を仰いでいる。
 飽和潜水技術は、海洋国家日本には不可欠な技術であり、日本への技術導入以来30年にわたり、その技術向上に柳井さんの果たした役割は極めて大きい。現在、柳井さんを手本に人材が育っている。
 
受賞の言葉
 飽和潜水作業という、日常の世界とはかけ離れた現場にスポットライトを当てて頂き、名誉ある賞を受賞出来ました事を深く感謝申し上げます。
 今回の受賞を励みにさらなる技術の向上に努め社会に貢献すると共に、後進の育成になお一層の努力をして参りたいと思います。
 
水中での作業イメージ
 
水中作業装置(S.D.C)
 
ウエットスーツ
 
海底マスク
 
気圧調整装置


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