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「テロ防止に関する講演」レジュメ
〜国際テロリズムの動向とテロ対策、海上・港湾テロの可能性〜
防衛大学校 宮坂直史
平成17年度海上セキュリティ委員会(第一回)
2005年8月24日 於:海事センタービル8階会議室
 
1. 国際テロのタイプと動向
(1)領土型テロ(↓) IRA(北アイルランド)ETA(バスク)LTTE(スリランカ)
(2)イスラム過激派(↑)
ジハード継続 絶えないリクルート
砂丘の砂
グループ間の連携
(3)単一争点テロ(→) 環境
(4)その他  極右 極左 イスラム以外の宗教過激派
○組織犯罪、他グループとの連携や取引によって広がるテロの実行可能性
○国家支援テロの減少と、グローバル化の波にのるテロ
○武器選択の広がり
 
2. ソフト・ターゲットとしての海上・港湾(一般論)
○紛れ込める余地大。 業者、偽装ボート
○いくつもの価値・ターゲット
海運、陸運、インフラ攻撃:破壊と途絶
乗員、乗客の人質。
海水浴、レジャー客への襲撃
危険物の積載
オペレーションの中継地点としての利用
○過去の統計 少ないのが不思議なくらい
 
3. 日本が「狙われる」可能性
○声明文(2003.10以降)をどう解釈するか。
○国内と国外権益 プラットフォーム論からは国内よりも国外の方が容易
○都市と地方 地方が狙われないという根拠はない。
 
4. 海上・港湾テロのシナリオ
○平成16年度『海上におけるセキュリティ対策 調査研究報告書』によると、「運航支配型」「船舶攻撃型(舟艇による自爆)」「船舶攻撃型(爆発物設置)」
追加 (最悪シナリオの例)『ワイルド・アトム−核テロリズム』(1996.11 CSIS)
米国がCSIを進めたいその背景にある恐怖。PSIも広義には関係。
○港湾域でのテロ想定
(1)WMD(特に核と放射性物質の)運搬、爆破(湾内、接岸中)
(2)要求のためのシージャック、その後テロリスト制圧or逃走
(3)自爆または衝突のためのシージャック
(4)外部からの船舶攻撃(ドルフィン、接岸中、海中からも)
(5)内部からの船舶攻撃
(6)港湾施設・インフラ攻撃
(7)観光地攻撃
 
5. テロ対策
 
目的:テロを防ぐこと、国民と国際社会の信頼を失わないこと。
 
○テロ予防は、<予防措置>だけでは不十分。 対テロリスト
予防措置(警戒警備など)は「拒否的抑止」→あきらめさせる
先制や実行犯の追及などで示す「懲罰的抑止」→おそれさせる
被害管理、復旧をすばやく実施、パニック防止→がっかりさせる
 
テロを招いた失敗原因を検証して次に生かす。→国民と国際社会で信頼を得る
*自爆テロリスト(価値合理主義者)に抑止は利かないというのは早計。
○スレットコン(threat conditions)の設定 メリハリの重要性
例)米海軍 Aアルファー Bブラヴォ Cチャリー Dデルタ
米国土安全保障省 レッド・オレンジ・イエロー・ブルー、グリーン
日本は保安レベル(特)、(監)、(企)
○港湾・船舶関係者の身上調査 合理的かどこまで可能か。
○国内船 フェリーやホーバーが利用される恐れ。
○シミュレーション:シナリオの策定では前提状況の現実性が重要。
○国内での港湾テロ防止は、国際協力、対外支援が不可欠。
以上


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