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平成17年度 船舶バラスト水等処理技術実用化のための調査研究 報告書

 事業名 船舶バラスト水等処理技術実用化のための調査研究
 団体名 日本海難防止協会 注目度注目度5


5 リスクの特性
5.1 難分解性、生物蓄積性及び毒性に関するスクリーニング
 
5.1.1 活性物質及び/又は製剤の難分解性、生物蓄積性及び毒性のような、固有特性についてのアセスメントを実施すること(第6章、表1参照)。
 
.1 難分解性試験:
 難分解性については、関係該当条件下での半減期を決定するシミュレーション試験システムを用いて評価することが望ましい。生物分解性のスクリーニングテストについては、物質が分解容易であることを明示するために利用することができる。当該半減期の決定には、関連化学物質のアセスメントを含むこと。
 
.2 生物蓄積性試験
 (潜在的)生物蓄積性のアセスメントには、測定された海洋(又は淡水)生物の生物濃縮係数を用いること。これらの試験が適用できない場合、又はlogPow>3の場合には、生物濃縮計数(BCF)の値については、(定量的)構造活性相関((Q)SAR)モデルを用いて推定することができる。
 
.3 毒性試験
 毒性判定基準のアセスメントのためには、原則として、感受性の高い生活史段階を理想的にカバーする急性及び/又は慢性毒性データを使用すること。
 
5.2 処理済バラスト水の毒性試験
 
5.2.1 毒性試験は、活性物質又は製剤(第4.2.1項及び5.3項参照)、また、この章の範囲に記載されている処理済排出バラスト水に対して必要である。排出バラスト水に対する毒性試験実施の利点は、活性物質及び製剤の、可能性のある副生成物と一体となった潜在的相互作用について、統合して取り扱うことにある。
 
.1 基本承認プロセスにおいては、排出試験を、製剤による処理に続く排出バラスト水を模擬するための技術及び設備を使用して実験室で実施すること。
 
.2 最終承認においては、排出試験を、処理済排出バラスト水を使用した陸上型式承認プロセスの一環として実施すること。
 
5.2.2 申請者は、バラスト水管理システムに関連して使用される製剤及び関連化学物質の毒性を決定するため、標準化された試験手順を用いた急性及び慢性両方の毒性試験データを提出すること。バラスト水管理システムは、製剤又は関連化学物質の有害影響を軽減又は促進するかのいずれかであるので、この試験方法については、処理済排出バラスト水に対し実施すること。
 
5.2.3 排出水の毒性試験は、陸上試験設備から採取したサンプルに対して実施すること。これらは、バラスト水管理システムからの排出水を代表するものとなる。
 
5.2.4 これらの毒性試験には、感受性の高い生活史段階に対応する多様の試験対象種(魚類、無脊椎動物及び植物)の慢性試験方法を含むこと。半致死的endpoint(成長)及び生残endpointの両方を含むことが望ましい。淡水又は海水試験方法のいずれかで実施すること。
 
5.2.5 提供される試験結果には、実験計画法に基づいて、必要に応じて、次の算定結果を含む。被験生物が24時間、48時間、72時間及び96時間後の暴露後に、x%死滅するか急性致死濃度(LCx)、最大無影響濃度(NOAECs)、慢性最大無影響濃度(NOEC)、及び/又は被験生物のx%が影響を受ける影響濃度(ECx)の値
 
5.2.6 100%のバラスト水排出を含む希釈系列については、統計的endpoint(NOEC又はECx)を利用して、無害影響レベルを推定するための試験を行うことになる。初期分析においては、希釈効果は考慮に入れない慎重な(conservative)アプローチ(モデル化又はplumes analysisプルーム解析は利用しない。)を用いることができる。慎重なアプローチを用いる理論的根拠は、(実情は、必ずしもそうとは限らないとはいえ、)一地点で複数の排出の可能性があることにある。
 
5.2.7 第4.2.1項における情報を関連した慢性及び急性試験データについては、排出の際、無害影響濃度に達するまでの保持時間の決定に利用されること。半減期(日数)、衰退速度、投薬率、システム容量及び時系列の毒性試験結果を理解した上で、処理済バラスト水を排出するまでに必要な保持時間を決定するために、計算モデルを用いることが可能である。
 
5.3 リスクの特性及び分析
 
5.3.1 基本承認プロセスのため、実験室にて、活性物質及び製剤についての運命及び影響試験を実施すること。この条項において、予備的リスク特性に有益な情報を列挙する。
 
5.3.2 排出による毒性影響から受け入れ環境を保護するため、処理済排出バラスト水だけでなく、活性物質又は製剤についても毒性試験の適用を受けること。
 
5.3.3 遊離基(free radical)を生み出す活性物質及び製剤の有機物質との反応について、環境に対して懸念のある生成物を特定できるように定性的に記述すること。
 
5.3.4 関連媒体(バラスト水、海水及び淡水)中の関連代謝産物の特定ができるように、好気性及び嫌気性条件下における、活性物質及び製剤の無生物及び生物の分解速度を算定すること。
 
5.3.5 特定の条件下(例えば、pH、酸化還元、温度)の下での分解速度という点で、活性物質、製剤及び関連化学物質の難分解性の特性が得られるように、好気性及び嫌気性条件下における、活性物質及び製剤の無生物及び無物の分解速度を算定すること。
 
5.3.6 活性物質、製剤及び関連化学物質についての、の分配係数(固体/液体間の分配計数(Kd)及び/又は有機炭素の標準化分配計数(Koc))を決定すること。
 
5.3.7 活性物質及び製剤について、オクタノール/水分配計数の対数が(logPow)>3の場合、海洋又は淡水生物(魚類又は二枚貝)内における生物蓄積の可能性を算定すること。
 
5.3.8 活性物質及び製剤の運命及び作用の情報に基づいて、一定の時間毎の排出濃度を予測すること。
 
5.3.9 活性物質、製剤及び関連化学物質の影響評価については、まずは、一次生産者(藻又は海草)、消費者(甲殻類)、捕食者(魚類)の水生生物に対する急性及び/又は慢性の生態毒性データセットに基づくこと。また、底生生物に対するデータのみならず、哺乳類及び鳥類などの生態系の上位に位置する捕食者に対する二次的毒性も含むこと。
 
5.3.10 二次毒性の評価については、懸念される物質が生物蓄積性を持たない(例えば、脂肪6%の生物で、BCF<500L/kg wet weight)と実証された場合には不要である。
 
5.3.11 底生生物の評価については、懸念される物質の底泥中への分配の可能性が低い場合(例えば、Koc<500L/kg)には不要である。
 
5.3.12 活性物質、製剤及び関連化学物質の影響評価については、発がん性、突然変異性及び内分泌かく乱性に関するスクリーニングを含むこと。スクリーニングの結果により懸念を生じた場合には、さらなる影響評価を実施すること。
 
5.3.13 活性物質、製剤及び関連化学物質の影響評価については、示された情報を考慮して、国際的に認識されている指針に基づくこと。
 
5.3.14 この影響評価の結果は、排出水毒性試験の結果と比較される。予期せぬ結果(例えば、排出水測定における毒性の欠如又は予期されない毒性)に対しては、さらなる詳細な影響評価を実施すること。
 
5.3.15 排出バラスト水中の活性物質及び製剤のモニタリングに適した分析方法が利用可能であること。
 
6 評価のためのクライテリア
 IMOは、この章のクライテリアに基づいて申請承認書を評価すること。
 
6.1 提出された情報が、全項目を満たし、十分な品質を持ち、かつこの手順に基づくものであること。
 
6.2 この情報が、環境、人への健康、資産又は資源に対して、許容できない有害な影響をもたらす可能性を示していないこと。
 
6.3 船舶及び乗組員の安全
 
6.3.1 テクニカルグループは、船舶及び乗組員の安全性を守るため、活性物質、製剤又は処理済バラスト水内で生成された関連化学物質が、船舶及び乗組員に対していかなる不合理なリスクも形成しないことを確保するために、物理的及び化学的危険性(第4.2.1.4項参照)を評価すること。導入される使用及び技術設備の提案手順に関して、考慮する必要がある。
 
6.3.2 申請書には、活性物質及び製剤の取り扱い及び保管に伴う乗組員の保護のために、関連(M)SDS((Material)Safety Data Sheet: 製品安全データシート)を含むこと。IMOは、(M)SDS、哺乳類毒性データ及び化学的特性の危険性(第4.2.1.2及び4.2.1.4項参照)を評価し、かつ、活性物質、製剤又は関連化学物質の潜在的危険性が、船舶又は乗組員に対し、いかなる不合理なリスクも形成しないことを確保すること。当該評価については、船舶又は乗組員が航海中遭遇する状況の相違(例えば、氷、熱帯、湿気など)を考慮すること。
 
6.4 環境保護
 
6.4.1 IMOは、申請を承認するためには、活性物質、製剤又は関連化学物質が、難分解性、生物蓄積性及び毒性(PBT)を持っていないと決定すること。以下の表に記載のクライテリア(難分解性、生物蓄積性及び毒性)のすべてを超える製剤はPTBとみなされる。
 
表1 PBT物質同定のためのクライテリア
評価基準 PBTクライテリア
難分解性(Persistence) 半減期:
海水中 > 60日、又は
淡水中 > 40日*、又は
海洋沈殿物中 > 180日、又は
淡水沈殿物中 > 120日*
生物蓄積性(Bioaccumulation) BCF > 2,000、又は
LogP octanol/water ≧ 3
毒性(Toxicity) 慢性NOEC < 0.01mg/
* 海洋環境のリスクアセスメントが目的であるため、海洋条件に基づき得られたデータにより、淡水及び淡水沈殿物の半減期データを棄却することができる。
 
6.4.2 IMOは、製剤がバラスト水管理に使用された際に生じる可能性のあるリスクの全体的受容について決定すること。全体的受容については、提供された情報並びに実施されたPTB及び排出水の評価と、活性物質、製剤及び関連化学物質の科学的知見とを比較すること。当該リスク評価においては、海運及び港湾運用の性格から生じる蓄積作用について、定性的に考慮すること。
 
6.4.3 当該リスク評価については、承認申請に関連する不確実性を検討し、かつ、必要に応じて、これらの不確実性に対し、どのように対処可能なのかについて助言すること。
 
7 活性物質及び製剤の使用規定
7.1 活性物質及び製剤の取り扱い
 
7.1.1 活性物質及び製剤の承認申請書には、意図する使用及び適用に関する情報を含むこと。活性物質及び製剤のバラスト水への添加量及び活性物質の最大許容濃度について、製造者の提供する取扱説明書に記載すること。システムについては、いかなる場合にも、最大投入量及び最大許容排出濃度を超過しないことを確保すること。
 
7.2 危険性に関する文書化及びラベリング
 
7.2.1 申請書には、要求に応じて((M)SDS)を含むこと。当該(M)SDSについては、保管中の分解及び化学反応性の影響と共に、適切な保管及び取り扱いについて明記し、かつ、製造者の提供する取扱説明書の中に含まれること。
 
7.2.2 危険性の文書化又は当該(M)SDSについては、国連の化学品分類及び表示に関する世界調和システム(GHS)、並びにIMOの関連規則(例;IMDGコード)及びその他のガイドライン(例;GESAMP危険性評価手順)に準拠すること。これらの制度が適用できない場合には、関連する国又は地域の制度に従うこと。
 
7.3 手順及び使用
 
7.3.1 船上における活性物質及び製剤の安全な適用のための詳細な手順及び情報が提供されること。また、当該手順及び情報に最大許容濃度及び最大排出濃縮などの承認条件があれば遵守すること。


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更新日: 2019年5月25日

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