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6. 国内外における周知・情報交換・運用承認活動及び関係資料調査・作成
6.1 周知・情報交換活動
 周知・情報交換活動と資料作成は、資料を作成してシンポジウム、機関誌等で発表するとともに、マスコミ等により紹介された。
 
(1)海洋理工学会平成17年度春季大会のシンポジウムにおいて、当協会の菊地武晃 海洋汚染防止研究部長による“流体力等を用いたバラスト水処理”と題した講演で本事業を紹介(6月2日)
(2)同シンポジウムにおける「諸外国のバラスト水問題と対策」の講演要旨の中で本事業を紹介(6月2日)
(3)第23回オゾン技術に関する講習会(主催:日本オゾン協会)において、当協会の和田雅人 海洋汚染防止研究部主任研究員による“船舶バラスト水管理への取り組み”と題した講演の中で本事業を紹介(6月2日)
(4)日刊工業新聞に掲載(6月7日)
(5)平成17年度(独)海洋技術安全研究所第5回研究発表会におけるポスター発表(6月7〜8日)
(6)テレビ朝日で本事業に関する放映(2月27日)
(7)朝日新聞に本事業の記事掲載(2月28日)
(8)日本マリンエンジニアリング学会誌「Marine Engineering Vol.41 No.2」に、当協会の和田雅人 海洋汚染防止研究部主任研究員による“special pipeを用いたバラスト水処理装置の開発”と題した、本事業におけるバラスト水処理システムの開発状況の掲載
(9)同学会誌「Marine Engineering Vol.41 No.2」に、「バラスト水処理装置の国際的な開発動向」と題した記事の中で本事業を紹介
(10)2006年度日本プランクトン学会シンポジウムにおいて、当協会の菊地武晃 海洋汚染防止研究部長により、 “処理法の開発−スペシャルパイプ法”と題し本事業におけるバラスト水処理システムの開発状況について講演(3月30日)
(11)2006年度日本プランクトン学会シンポジウム要旨
 
(1)海洋理工学会平成17年度春季大会シンポジウムの講演資料
 
 
IMOにおける審議の流れ
海洋汚染国際会議
1973年
伝染病バクテリアを含むバラスト水排出の影響調査を求める“当該影響調査に関する決議18”を採択
MEPC 26
1988年9月
カナダ、“五大湖に排出される船舶バラスト水内外国産生物の存在及びその影響”に関する研究分書提出。外国種問題を抱えている加盟国に対し情報提供要請。
米国、この問題に関する懸念表明
MEPC 27
1989年3月
豪州、タスマニア州港で、日本ウッドチップ船排出バラスト水に含まれる有毒プランクトンが商業魚貝類を汚染し貝中毒患者が発生したため、漁業関係者に重大な経済的損害が生じた事実を報告
カナダ、1989年4月1日から、五大湖水路入路船に対する洋上でのバラスト水交換奨励する自主的計画実施宣言
MEPC 28
1989年10月
議論なし
MEPC 29
1990年3月
豪州、1990年2月1日から、外国から入港する船舶に対し、可能な限り熱帯域外洋でのバラスト水交換実施自主規制を確認
MEPC 30
1990年11月
正式議題となる。作業部会設置
国際制御方策の必要性から、第1段階として自主的国際制御アプローチを取ることで結論、カナダ提出のバラスト水制御に係るガイドライン案を検討・修正
ガイドライン案を会期外で検討しMEPC31での採択で合意
MEPC 30
1990年11月
正式議題となる。作業部会設置
ガイドライン案を会期外で検討しMEPC31での採択で合意
MEPC 31
1991年7月
決議MEPC.50(31)“船舶のバラスト水・沈殿物排出による好ましくない生物・病原体侵入防止のための国際ガイドライン”採択
第18回IMO総会
1993年11月
外洋2,000m以上水深におけるバラスト水交換を推奨する“船舶のバラスト水・沈殿物排出による好ましくない生物・病原体侵入防止のためのガイドライン”に関する決議A.774(18)採択
第20回IMO総会
1997年11月
決議A.774(18)を廃止し、できる限り陸岸から離れた開放的外洋におけるバラスト水交換及び代替処理法の採用/併用を、決議A.868(20)“有害水生動物・病原体の移動を最小化する船舶バラスト水制御・管理のためのガイドライン”採択
MEPC 45
2000年10月
“新造船開発・研究時に考慮すべきバラスト水・沈殿物管理選択肢に関するMEPC/MSC回草案”作成
GloBallastワークショップ
2001年3月
処理対象生物(大きさ)に対する殺滅/除去/不活性化率(95%又は99.9999%)で意見一致に至らず、両論併記
MEPC 46
2001年4月
処理基準については、IMOの定期的見直し条件での、船外排出代表種族グループの[95%]以上処理/[100][50][10]μmサイズ別生物の[目標日]までの[約100%]処理/両選択肢の組み合わせという3選択肢提案
MEPC 47
2002年3月
処理システムについての、百分率基準/サイズ別基準/ゼロ基準/バラスト水交換以上性能基準等の14選択肢列記
MEPC 48
2002年10月
バラスト水交換区域離岸距離12/50/200海里案
短期間処理基準として一定生物群の[95%]以上処理/[100]μm以上未満サイズ別基準の2選択肢、また長期基準として[y]μm以上検出不可能レベル等の案作成
中間期作業部会
2003年3月
バラスト水条約案検討、バラスト水交換区域離岸200海里かつ水深[200]米以上を原則、単一処理基準とし、動植物プランクトン・病原体の濃度基準仮置。[10]μmより大きな植物プランクトン:[200]細胞/1ml以下、
[10]μmより大きな動物プランクトン:[25]個/1以下、指標微生物の特定セット:一定の濃度以下
MEPC 49
2003年7月
バラスト水条約案の総体的最終化。バラスト水排出基準は、10μm以上50/80μm未満生物:1/10/100/未満、50/80μm以上生物:1/100/m3未満、病毒性コレラ菌1・大腸菌250/500・腸球菌100/200cfu/100未満
外交会議
2004年2月
“船舶バラスト水及び沈殿物の制御及び管理のための国際条約”採択。バラスト水排出基準は、10μm以上50μm未満生物:10/未満、50μm以上生物:10/m3未満、病毒性コレラ菌1・大腸菌250・腸球菌100cfu/100未満
 
当協会で実施してきたバラスト水処理装置開発関連調査研究一覧
年度 処理法 水生生物に対する効果
1991 さまざまな物理/化学的処理法の検討
1992 塩素:
滅菌濾過海水使用実験室実験
実際のバラスト水への投入を想定した実用有効処理濃度
有毒渦鞭毛藻類遊泳細胞:5 mg/
同シスト:100 mg/
過酸化水素:
滅菌濾過海水使用実験室実験
実際のバラスト水への投入を想定した実用有効処理濃度
有毒渦鞭毛藻類遊泳細胞:5 mg/
同シスト:50 mg/
1997 オゾン:
自然海水使用実験室実験
植物プランクトン 処理濃度:1 mg/
有殻渦鞭毛藻 処理濃度:0.6 mg/
動物プランクトン 処理濃度:1 mg/
細菌類 処理濃度 10 mg/
シスト 処理濃度:20 mg/
1998 電気化学:
自然海水使用(通電量3V/1A程度)20m3/h陸上実験
直径100μm孔電解槽滞留時間2〜90秒で、動・植物プランクトン・細菌シストへの50〜100%処理
目詰まり・大型化が課題
1999 ミキサーパイプ:
自然海水使用20m3/h陸上実験
植物プランクトン:3本直列1 pass直後で約50%処理
動物プランクトン:3本直列1 pass直後で約60%処理
細菌/シストへの明確な効果なし
パイプ1本10循環で、シスト以外のほとんどの生物死滅
オゾン1mg/注入で、パイプとの相乗効果でシスト処理
2001 特殊パイプ:
自然海水使用20m3/h陸上実験
スリット板1枚内臓パイプで、
浮遊甲殻類:流速約26m/sec 1 pass直後で約90%処理
衝突板の追加で、約40%上昇(圧損増幅せず。)
2002 特殊パイプ(スリット板2枚:
自然海水使用100m3/h試作機
陸上実験
特殊パイプ+目詰まり対策装置システム実験(流速約29m/sec 1 pass直後)
植物プランクトン:52%処理
動物プランクトン:80%処理
バクテリア:約30%処理
2003 特殊パイプ(スリット板2枚):
100m3/h実船用試作機船上実証実験(北米西岸航路コンテナ船)
10以上50μm未満水生生物:条約排出基準達成(2 pass: 漲/排水時)
50μm以上水生生物:バラスト水内水生生物内在状況により排出基準達成/不達成(2 pass: 漲/排水時)
(条約排出基準が極めて厳しいため)
病毒性コレラ菌、大腸菌及び腸球菌実験できず。(バラスト水中に該当生物が非常に少なかったため)
2004 特殊パイプ(スリット板2枚)+オゾン:
自然海水使用20m3/h実験機陸上試験
“バラスト水管理システム承認ガイドライン”案に沿った、特殊パイプ自体の性能・効果向上及びオゾン添加による効果実験。パイプ/オゾンの相乗効果により、同ガイドライン案の水生生物処理基準達成確認
2005 特殊パイプ(スリット板2枚)+オゾン等:
200m3/h以上実船用試作機船上実験
国内・国際承認に向けた“バラスト水管理システム承認ガイドライン(G8)”及び“活性物質承認ガイドライン(G9)”等に沿った実験実施予定
 
スリット板及び稼動時状況
 
流速変化とOithona属の損傷率(%)
 
流速変化とCopepoda naupliusの損傷率(%)
 
流速変化と甲殻類合計の損傷率(%)


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