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3.4.3 海外のものと推定される漂着物の分析
(1)海外からの漂着物の集計
 海外からの漂着物と推定される調査海岸別の漂着物重量を表3.4.3-1、個数を表3.4.3-2に示す。
 海外のものと推察される漂着物は、14海岸中1海岸で採集され、その総数は4g、2個であった。中国国内で採集された漂着物(51,900.2g、4,602個)に対する割合は、重量・個数とも0.1%未満であった。
 
表3.4.3-1  海外の漂着物と推定される調査海岸別の標着物重量
(拡大画面:39KB)
 
表3.4.3-2  海外の漂着物と推定される調査海岸別の漂着物個数
(拡大画面:38KB)
 
(2)組成別分類
 海外からのものと推定される漂着物の組成別重量・個数比率を図3.4.3-1に示す。
 海外のものと推定される漂着物は、「プラスチック類」が4g、2個(海外重量の100%)であり、その内訳は、「食品用プラボトル」、「ライター」が各々1個であった。
 また、それらの国籍は日本であり、海外漂着物が採集された海岸は、山東省の葡萄浜であった。
 
図3.4.3-1 海外のものと考えられる漂着物重量・個数比率
 
(3)漂着物の発生源
 遼寧省の海の韻海水浴場は、新しく開拓された海水浴場であり、周辺には商店街があり、年間28万人の観光客が訪れる。頻度等は不明であるが、清掃をする人がいる。
 遼寧省の熊岳開発区海辺魚は渤海湾に位置している山地である。果物と農産物の生産が中心の地域であり、海岸はレクリエーションに利用されており、年間20万〜25万人が利用し、周辺には、お土産屋がある。頻度等は不明であるが、清掃をする人がいる。
 遼寧省の筆架山海水浴場は錦州港付近に位置し、干満差が大きく、不思議な景観となるため、多くの観光客が訪れる。周辺には、商店やお土産屋があり、海水浴場は、年間35〜38万人の観光客が訪れる。頻度等は不明であるが、清掃をする人がいる。
 遼寧省の竜湾海辺海水浴場は、コロトウ市区に位置しており、河北省と隣接している新興都市である。周辺には憩いの村があり、年間35〜40万人が訪れる。
 河北省の東山海水浴場は、秦皇島市の優良海水浴場であり、周辺には観光地や遊覧ボートクラブ等の娯楽施設があり、有名な避暑地である。周辺には、商店やレストラン、ホテルがある。
 河北省の老竜頭海水浴場は万里の長城の東側の基点であり、歴史上の重要な要地である。中国における40有名遊覧地の一つであり、国家の4級景勝地である。海岸の周辺には商店等がある。
 河北省の老虎石海水浴場は、北戴河区一流の海水浴場であり、人気の避暑地であり、多くの観光客が訪れる。
 山東省の煙台第一海水浴場は周辺に公園がある有名な遊覧地であり、周辺にはホテルや飲食店がある。海水浴場には、年間50万人の観光客が訪れる。
 山東省の葡萄浜は、三面山に囲まれた海岸である。周辺は、住宅やレストランなどがある。年間の海岸利用者は2万人である。
 山東省の石老人海水浴場は青山の東側に位置する海水浴であり、有名な労山景勝地で、北部はビールの町であり、毎年国際ビール祭りはここで開催される。年間の利用者は30万人である。
 山東省の黄金海岸は船舶停泊地であり、埠頭とえびの養殖場がある。海岸は、年間の利用者は約200人である。
 江蘇省の白沙海湾砂浜は暗礁があり、波が低い。周辺には、住宅団地、スーパーマーケットがある。年間の利用者は30万人である。
 江蘇省の塩城大豊港海岸は現在建設中の港であり、見学者が多く訪れる。年間の利用者は10万人程度である。
 江蘇省の呂四鎮東海岸は海水養殖が盛んなところである。呂四は、中国の四大漁場の一つで、海産物が豊富であり、観光客が多く訪れる。年間の利用者は、1万8千人程度である。
 
 海岸利用状況等から判断すると、漂着物として採集されたものの大部分は、海岸利用者から排出されたものが多いと考えられるが、明確な判断は困難である。
 
3.4.4 漂着物調査のまとめ
 平成14年度から実施され、平成16年度で3回目を迎える本調査は、4自治体、14海岸で共同実施された。
 平成16年度調査は14海岸、29区画、2,900m2で実施され、採集された海岸漂着物の総重量が51,900.2g、総個数が4,602個であった。
 重量では、「発泡スチレン類」が18,004.5g(総重量の34.7%)と最も重く、次いで「プラスチック類」が12,931.0g(同24.9%)、「ガラス・陶磁器類」が11,474.2g(同22.1%)の順であり、「ゴム類」、「紙類」、「布類」、「金属類」、「その他の人工物」の漂着物に占める割合は6.9%以下と低かった。
 個数では、「プラスチック類」が1,738個(総個数の37.8%)と最も多く、次いで「ガラス・陶磁器類」が1,498個(同32.6%)、「紙類」が429個(同9.3%)、「発泡スチレン類」が282個(同6.1%)、「その他の人工物」が270個(同5.9%)の順であり、「ゴム類」、「布類」、「金属類」の漂着物に占める割合は3.7%以下と低かった。
 プラスチック類では、「タバコのフィルター」652個が最も多く、次いで「ロープ」267個、「プラスチックの破片」159個、「シートや袋の破片」154個、「食品用・包装用の袋」102個の順であり、日本海沿岸の海岸で広く確認された「レジンペレット」は、河北省の東山海水浴場で11個、老竜頭海水浴場で28個、老虎石海水浴場で15個の計54個採集された。
 ガラス・陶磁器類では、「ガラス破片」が1,300個と最も多く、次いで「陶磁器類破片」185個、「タイル・レンガ」6個、「飲料用容器」4個、「食品用容器」2個などが採集された。
 その他の人工物では、木類(人工物)として分類された「木材・木片(角材・板)」などが多く採集された。
 海外のものと推定される漂着物は、「プラスチック類」が4g、2個(海外重量の100%)であり、その内訳は、「食品用プラボトル」、「ライター」が各々1個であった。また、それらの国籍は日本であり、海外漂着物が採集された海岸は、山東省の葡萄浜であった。
 本年度の調査は、昨年度の調査と比較すると、調査海岸数、区画数、海岸調査延べ面積は、1割程度多く、採集された漂着物の総重量は、4割程度少なく、総個数は同程度であった。
 両年度の総重量の内訳は、本年度の調査は「発泡スチレン類」の重量割合が高く、発泡スチレンの破片やブイ等の1個当たりの大きさも大きく、重量のあるものが昨年度より多く採集されていたためと考えられる。
 また、総個数の内訳は、「プラスチック類」、「ガラス・陶磁器類」が占める割合がやや高かった。


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