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3.1.4 漂着物調査のまとめ
 平成8年度から実施され、平成16年度で9回目を迎えた本年度の調査は、日本における日本海沿岸の16道府県で実施された。
 平成16年度調査は26海岸、105区画、10,480m2で実施され、採集された海岸漂着物の総重量が444,447.4g、総個数が59,946個であった。
 漂着物の種類をみると、重量では、「プラスチック類」が64.3%を占め、次いで「その他の人工物」が15.0%、「ガラス・陶磁器類」が6.3%、「金属類」が5.3%の順であった。
 個数では、「プラスチック類」が76.1%、「発泡スチレン類」が18.1%、「ガラス・陶磁器類」が2.5%、「その他の人工物」が1.6%の順であった。
 「プラスチックの破片類」58.5%に次いで、工業製品の原材料である「レジンペレット」20.9%と多く採集された。
 「レジンペレット」が確認された海岸は、26海岸中25海岸で発見され、これらが日本海沿岸に広範囲に分布していることが確認された。
 海外のものと考えられる漂着物は、26海岸中19の海岸で採集され、その総数は316個であり、その割合は全体の0.5%であった。
 種類別では、プラスチック類が全体の82.3%を占めており、日本国内の漂着物と同様の傾向である。国別では、「韓国・北朝鮮」77.2%、「中国・台湾」15.5%と両地域で約93%を占めていた。
 
 平成16年度は、平成15年度と比較すると、調査海岸数は、同数であり、区画数、海岸調査延べ面積は、1割程度少なかった。
 また、平成16年度に採集された漂着物の総重量は、平成15年度調査の1.7倍であり、総個数は、1割程度少ない結果となった。また、平成16年度に採集された100m2当たりの平均重量では、平成15年度調査の1.7倍であり、平均個数は同程度であった。
 重量が大きくなった理由は、両年度の調査とも漂着物の「プラスチック類」の占める割合が極めて多いことから、「プラスチック類」に調査結果が影響していると考えられる。「プラスチック類」の平均個数は、平成15年度と同程度であったことから、「プラスチック類」の1個当たりのサイズが大きい個体が採集されたと考えられる。また、「ガラス・陶磁器類」や「その他の人工物」などの1個当たりの重量の重い個体が多く採集されたことなども原因と考えられる。
 大分類及び小分類については、種類や割合もほぼ同じ結果であることが確認され、広域的なプラスチック類汚染が継続していることが示唆された。
 
3.2 ロシア
 ロシアにおける漂着物調査は、平成16年9月23日から10月31日までの期間にハバロフスク地方、沿海地方の2自治体、5海岸で実施し、調査範囲は12列、24区画、延べ面積2,250m2であった。なお、各地域の調査結果については付属資料で示す。
 
3.2.1 実地調査結果
(1)漂着物調査の集計
 本年度の調査で採集した漂着物の分類別重量比率を図3.2.1-1に、漂着物の調査海岸別分類別重量を表3.2.1-1に示す。
 本年度の調査で採集された漂着物の総重量は15,797.5gであった。重量別では、「ガラス・陶磁器類」が7,252.0g(総重量の45.9%)と最も重く、次いで「その他の人工物」が3,412.0g(同21.6%)、「プラスチック類」が2,517.0g(同15.9%)、「金属類」が1,589.0g(同10.1%)、「布類」433.0g(同2.7%)、「ゴム類」344.0g(同2.2%)の順であり、「発泡スチレン類」、「紙類」の漂着物に占める割合は0.8%以下と低かった。
 昨年度採集された漂着物の総重量は29,739.5gであり、本年度の調査結果は5割程度少なかった。重量別では「プラスチック類」が11,163.5g(総重量の37.5%)と最も重く、次いで「ガラス・陶磁器類」が7,852.0g(同26.4%)の順であり、組成に違いがみられた。
 本年度の調査では、1個当たりの重量の重い「ガラス・陶磁器類」が、昨年度より多く採集されていたため、昨年度の調査結果と比較すると組成に違いがみられたものと考えられる。
 
図3.2.1-1 漂着物分類別重量比率
 
表3.2.1-1 漂着物の海岸別分類別重量
(拡大画面:61KB)
 
 漂着物の分類別の個数比率を図3.2.1-2に、漂着物の調査海岸別分類別の個数を表3.2.1-2に示す。
 本年度の調査で採集した漂着物の総個数は1,439個であった。個数別では、「プラスチック類」が513個(総個数の35.6%)と最も多く、次いで「ガラス・陶磁器類」が504個(同35.0%)、「その他の人工物」が236個(同16.4%)、「発泡スチレン類」88個(同6.1%)、「紙類」が35個(同2.4%)、「金属類」が35個(同2.4%)の順であり、「ゴム類」、「布類」の漂着物に占める割合は1.0%以下と低かった。
 昨年度採集された漂着物の総個数は1,261個であり、本年度の調査が1割程度少なかった。個数別では、「プラスチック類」が545個(総個数の43.2%)と最も多く、次いで「ガラス・陶磁器類」が391個(同31.0%)の順であり、ほぼ本年度と同じ結果であった。
 両年度とも総個数の「プラスチック類」、「ガラス・陶磁器類」が占める割合が高かった。
 
図3.2.1-2 漂着物分類別個数比率
 
表3.2.1-2 漂着物の海岸別分類別個数
(拡大画面:51KB)


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