日本財団 図書館


(3)詳細な組成別分類の特徴
ア. プラスチック類
 プラスチック類は、30項目に小分類し、それらを(1)袋、(2)プラボトル、(3)容器類、(4)ひも類、(5)雑貨類、(6)漁具類、(7)破片類、(8)レジンペレット、(9)その他に中分類し計数した。
 
 プラスチック類の総量は、285,961.6g、45,632個であり、図3.1.2-8にその内訳を示す。
 個数比率は「破片類」が58.5%と最も高く、次いで「レジンペレット」20.9%、「ひも類」6.6%、「容器類」6.4%の順であった。
 プラスチック類の大半は、「破片類」であり、プラスチック類は壊れやすく、環境中で劣化しさらに細分化されるため「破片類」が最も多かったものと推察される。
 
図3.1.2-8 プラスチック類内訳比率
 
 これらの「小分類」のプラスチック類項目別上位10品目を図3.1.2-9に示した。
 「プラスチックの破片」25,287個が最も多く、次いで「レジンペレット」9,532個、「ふた・キャップ」2,282個、「ひも」1,755個、「シートや袋の破片」1,414個、「ロープ」1,106個の順であった。
 「その他」の内訳としては、「燃え殻」、「コード配線類」、「くい」、「不明物」などが比較的多く採集され、中には「注射器」など危険なものも確認された。
 また、昨年度の調査結果では、「プラスチックの破片」21,423個が最も多く、次いで「レジンペレット」13,849個、「ひも」1,890個、「ロープ」1,864個、「ふた・キャップ」1,796個、「シートや袋の破片」1,527個の順であり、両年度とも「プラスチックの破片」「レジンペレット」が、プラスチック類の項目別の上位2品目として出現している。
 採集個数が最も多いプラスチック類は、自然分解されず、軽いため遠距離を移動できる特性を備えている。また、人間が取り除かねばいつまでも存在し続けるため、景観を損なうだけでなく、微小な「プラスチック破片」等は、海岸の砂などに混在し、誤飲等による生物への影響をも招く懸念がある。
 
図3.1.2-9 プラスチック類項目別上位10品目
 
 次に、プラスチック類の中でも、日本海沿岸の「レジンペレット」の出現状況について検討する。調査地点別出現状況の比較を図3.1.2-10〜11に示す。
 本年度の調査では、「レジンペレット」は、26海岸中25海岸で9,532個、100m2当たりでは23個/100m2が採集されており、日本海沿岸に広範囲に分布していることが確認された(図3.1.2-10)。
 その中でも、多く採集された調査海岸は、北海道の坂ノ下海水浴場177個/100m2が最も高く、次いで山形県の飛島西海岸81個/100m2などであり、日本海沿岸の広い地域でレジンペレットが確認されているが、その分布に一様な傾向はみられなかった。また、昨年度の調査では、26調査地点中、14海岸で13,849個、100m2あたりでは120個/100m2が採集されており、鳥取県の浦富海岸3,600個/100m2が最も多く、次いで佐賀県の相賀の浜208個/100m2であった。平成14〜15年度の調査で、2年連続してレジンペレットの採集個数が多かった鳥取県の浦富海岸は、周辺等におけるレジンペレット供給源の存在が示唆されていたが、本年度の調査では、6個/100m2と少なかった。
 なお、本年度の調査では、昨年度、採集されていなかった島根県の三里ヶ浜海岸、猪目海岸、福井県の浜地海水浴場、富山県の島尾・松田江浜、秋田県の西目海水浴場、青森県の出来島海水浴場、吹越海岸、北海道の石狩浜海水浴場おいてレジンペレットが確認されており、出現範囲も年々の拡大しており、今後の出現の動向を注視しなければならない。


前ページ 目次へ 次ページ





日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION