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(2)組成別の特徴
ア. プラスチック類
 プラスチック類の重量及び個数の比率が高い海岸を図3.1.2-7に示す。
 プラスチック類は、漂着物全体に占める重量比率が平均65.8%(8.3〜97.1%)、個数比率が平均76.8%(38.0〜94.5%)であり、ほとんどの海岸でプラスチック類の占める割合が高かった。
 その中でも特に重量及び個数の比率が高かったのは、青森県の出来島海水浴場(重量比率97.1%、個数比率94.5%)、北海道の坂ノ下海水浴場(重量比率84.1%、個数比率94.4%)などであった。また、他の海岸に比べ、重量比率及び個数比率が低かったのは、富山県の宮崎・境海岸(重量比率28.5%、個数比率44.4%)、島根県の三里ヶ浜海岸(重量比率35.2%、個数比率38.0%)であった。
 これらプラスチック類の比率が高い海岸の小分類内訳は、国内起源と推察されるプラスチックの破片、シートや袋の破片、レジンペレット、ひも、ふた・キャップなどであり、プラスチック類の分類の中でもサイズは比較的小さく軽いものばかりである。このため、回収されていないこれら漂着物が風や波などにより、海に流れ出し、沿岸を流れる海流等に乗って広範囲に移動し、再度、海岸に漂着していることも示唆される。
 
図3.1.2-7 プラスチック類の重量及び個数比率が高い海岸
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 昨年度のプラスチック類の重量比率は、平均64.1%(10.4〜94.2%)、個数比率は、平均76.8%(38.0〜99.2%)であり、本年度調査とほぼ同様の結果であり、その中でも重量比率及び個数比率が高かったのは、青森県の出来島海水浴場(重量比率94.2%、個数比率96.7%)、鳥取県の浦富海岸(重量比率93.2%、個数比率99.2%)、佐賀県の相賀の浜(重量比率90.9%、個数比率96.8%)などであった。青森県の出来島海水浴場では、両年度ともプラスチック類の重量及び個数の占める割合が高い傾向がみられた。
 
イ. ゴム類
 ゴム類は、漂着物全体に占める重量比率が平均2.7%(0〜22.4%)、個数比率平均0.3%(0〜3.1%)であり、ともに低い比率であった。
 比較的重量比率が高かったのは、京都府の琴引浜海岸(重量比率22.4%、個数比率1.1%)であったが、個数比率は、全ての海岸で4%以下であり、何れも低い比率であった。
 昨年度のゴム類の重量比率は、平均4.6%(0〜37.9%)、個数比率は、平均0.6%(0〜3.2%)であり、本年度調査とほぼ同様の結果であった。
 
ウ. 発泡スチレン類
 発泡スチレン類は、漂着物全体に占める重量比率が平均2.2%(0〜59.3%)、個数比率平均18.0%(0〜45.5%)であり、ほとんどの海岸で低い比率であった。
 比較的重量及び個数の比率がともに高かったのは、富山県の松太枝浜(重量比率17.0%、個数比率45.5%)、福井県の浜地海水浴場(重量比率12.9%、個数比率41.4%)であった。また、重量比率が高かったのは、北海道の石狩浜海水浴場(重量比率59.3%、個数比率2.7%)であり、1個当たりの重量が重い個体またはサイズが大きいものが採集されたことがわかる。また、個数比率が高かったのは、富山県の島尾・松田江浜(重量比率3.7%、個数比率43.5%)、島根県の三里ヶ浜(重量比率3.8%、個数比率42.4%)などであり、破砕化され細かくなった発泡スチレン類の破片が多く採集されたことがわかる。なお、他の海岸に比べ、重量比率及び個数比率が低かったのは、青森県の出来島海水浴場(重量比率0.3%、個数比率2.0%)、石川県の塩屋海水浴場(重量比率0.7%、個数比率0.8%)であり、青森県の吹越海岸では、発泡スチレン類は採集されなかった。
 昨年度の発泡スチレン類の重量比率は、平均6.5%(0.1%未満〜45.7%)、個数比率平均19.7%(0.4〜56.4%)であり、昨年度調査に比べ本年度調査は、重量比率及び個数比率ともにやや低い結果であった。
 
エ. 紙類
 紙類は、漂着物全体に占める重量比率が平均0.4%(0〜14.5%)、個数比率が平均0.3%(0〜10.8%)であり、ともに低い比率であった。
 その中でも比較的重量及び個数の比率がともに高かったのは、北海道の石狩浜海水浴切(重量比率14.5%、個数比率10.8%)であり、その他の海岸では10%以下であり、何れも低い比率であった。
 昨年度の紙類の重量比率は、平均0.4%(0〜31.9%)、個数比率は、平均0.4%(0〜9.7%)であり、本年度調査とほぼ同様の結果であった。
 
オ. 布類
 布類は、漂着物全体に占める重量比率が平均3.2%(0〜10.0%)、個数比率が平均0.2%(0〜4.3%)であり、ともに低い比率であった。
 その中でも比較的重量比率が高かったのは、長崎県の西浦浜(重量比率10.0%、個数比率1.4%)であった。また、個数比率は、全ての海岸で何れも10%以下と低い比率であった。
 昨年度の布類の重量比率は、平均0.5%(0〜8.4%)、個数比率は、平均0.1%(0〜1.5%)であり、本年度調査とほぼ同様の結果であった。
 
カ. ガラス・陶磁器類
 ガラス・陶磁器類は、漂着物全体に占める重量比率が平均6.2%(0〜19.0%)、個数比率が平均2.8%(0〜26.1%)であり、ともに低い比率であった。
 その中でも比較的重量及び個数の比率がともに高かったのは、青森県の吹越海岸(重量比率19.0%、個数比率12.5%)、山形県の飛島西海岸(重量比率16.1%、個数比率26.1%)であった。また、その他に重量比率が高かったのは、福岡県の幣の浜海岸(重量比率16.1%、個数比率3.1%)、富山県の宮崎・境海岸(重量比率15.6%、個数比率0.8%)、松太枝浜(重量比率14.5%、個数比率0.6%)、島尾・松田枝浜(重量比率12.1%、個数比率0.8%)、個数比率が高かったのは、石川県の塩屋海水浴場(重量比率9.4%、個数比率10.1%)であり、その他の海岸では、何れも個数比率は10%以下と低い比率であった。
 昨年度のガラス・陶磁器類の重量比率は、平均5.9%(0〜29.9%)、個数比率は、平均0.7%(0〜15.9%)であり、本年度査とほぼ同様の結果であった。
 
キ. 金属類
 金属類は、漂着物全体に占める重量比率が平均6.1%(0〜31.3%)、個数比率が平均0.6%(0〜3.9%)であり、ともに低い比率であった。
 その中でも比較的重量比率が高かったのは、長崎県の西浦浜(重量比率31.3%、個数比率3.9%)、島根県の三里ヶ浜海岸(重量比率26.0%、個数比率3.3%)、富山県の宮崎・境海岸(重量比率13.0%、個数比率2.8%)であった。個数比率は、全ての海岸で4%以下と低い比率であった。
 昨年度の金属類の重量比率は、平均2.2%(0〜55.9%)、個数比率は、平均0.5%(0〜9.3%)であり、本年度調査とほぼ同様の結果であった。
 
ク. その他の人工物
 その他の人工物は、漂着物全体に占める重量比率が平均13.3%(0〜36.1%)、個数比率が平均1.0%(0〜29.0%)であり、ほとんどの海岸で低い比率であった。
 比較的重量及び個数の比率がともに高かったのは、富山県の宮崎・境海岸(重量比率29.4%、個数比率29.0%)、山口県の二位の浜(重量比率23.0%、個数比率11.5%)であった。また、その他に重量比率が高かったのは、富山県の島尾・松田枝浜(重量比率36.1%、個数比率1.0%)、島根県の三里ヶ浜海岸(重量比率33.0%、個数比率3.3%)、福岡県の幣の浜海岸(重量比率28.7%、個数比率5.2%)、個数比率が高かったのは、北海道の石狩浜海水浴場(重量比率6.4%、個数比率16.2%)であった。
 昨年度のその他の人工物の重量比率は、平均15.8%(0〜77.6%)、個数比率は平均1.2%(0〜31.5%)であり、本年度調査とほぼ同様の結果であった。


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