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合吟コンクール“出場”に大きな意義
―平成十八年度全国吟詠合吟コンクール出場団体募集―
 圧倒的な迫力とスケールの大きさは、大合吟ならではのもの。
 その全国コンクールが今年も第三十九回武道館大会の冒頭に開催されます。仲間と心をひとつに吟じる連帯感、勇壮さだけではなく、叙情的な詩も独吟とは違う表現ができるのでは。勝敗は時の運、日本武道館の感動の舞台に奮ってご出場下さい。
 
 
合吟コンクール開催について
第三十九回 全国吟剣詩舞道大会日程
○平成十八年十一月十二日(日)午前九時〜午後四時三十分
 合吟コンクールは大会開会直後から概ね正午まで実施され、続いて当年度吟詠・剣詩舞優勝者演舞、記念式典、特別企画吟剣詩舞の後、午後四時頃、合吟コンクール入賞団体発表と表彰が行なわれます。
○会場
日本武道館 東京都千代田区北の丸公園二−三
  電話〇三(三二一六)五一〇〇(代表)
 
合吟コンクール出場団体募集要項
(1)目的
 吟詠の普及奨励と芸術的向上を目的とします。
(2)募集期間
 平成十八年一月二十日から同年六月二十日
(3)応募資格
 財団公認都道府県吟剣詩舞道総連盟に加盟している会、またはその連合であること。
(4)募集区分
 次の六区分とし、いずれも男女混成による出吟はできません。
A・・・男子
B・・・女子
C・・・学生男子
D・・・学生女子
E・・・総連盟連合男子
F・・・総連盟連合女子
★募集区分等に関する注意事項
(1)募集はA〜F各区分ごとに行ないます。同じ区分には一団体につき一組のみ申し込むことができます。別の区分であれば各一組の申し込みができます。
(2)幼年(十一歳未満)グループは特別参加扱いとし、コンクール審査対象外として発表していただきます。
(3)コンクール出場の機会と底辺を広げるため、過去五年間の優勝経験団体が応募する場合は、新しい出吟者のみでお申し込みください。優勝時の出吟者は出場できません。
(4)少壮吟士は出場できません。
(5)申込定員と出吟人数
 各区分とも申込定員は五十五名です。コンクール本番には五十名(最低出吟者数)から五十五名の間の人数で出吟していただきます。
(6)申込書への記入事項
(1)吟題=平成十八年度合吟コンクール指定吟題(別掲)の中から選び、作者名とともに記入。
(2)申込区分
(3)申込団体責任者氏名、住所、電話番号など
(7)出場団体の決定
 八月上旬に最終決定し、出場団体には、合吟コンクール代表者会議開催案内とともにご通知いたします。
(8)決定後の手続き
 出場が決定した団体へは「プログラム記載事項届出書」を送付します。次の事項を確定して記入し、九月二十日までに財団宛お送りください。記載事項の変更は原則としてできません。
(1)出場団体の正式名称と応募区分、所属都道府県連盟
(2)本数
(3)伴奏曲目=財団指定「吟剣詩舞道伴奏集」の何曲目かを選んで記入する
(4)吟題、作者
(5)出場者五十五名全員の氏名(雅号。楷書ではっきりと)
(9)出吟順の決定
 九月二日(土)に開催予定の合吟コンクール代表者会議で、公開抽選により出吟順を決定します。
(10)応募方法
 申込書様式は
(1)財団公認都道府県吟剣詩舞道総連盟(または地区連協書記局)備え付けの合吟コンクール出場申込書に所定の事項を記入、申込団体責任者が署名押印したもの
(2)返信用封筒(返信先を記入、80円切手貼付)の二点を、所属する都道府県総連盟事務局へ六月二十日までにお届けください。
 各公認都道府県総連盟では出場者申込書をとりまとめ、六月末日までに財団へ届くようお送りください。
(11)競吟方法
 歌い出しは先導者が一節を独吟し、繰返さず、次の句から合吟に移るものとします。
 
出吟者の服装など
(1)出吟者の服装は、申込区分A(男子)およびE(総連盟連合男子)は黒または紺系の背広上下、もしくは和服・袴を着用してください。B(女子)およびF(総連盟連合女子)は和服を着用してください。C(学生男子)、D(学生女子)は学生服で結構です。
(2)旅費、宿泊費、その他の経費につきましては出吟者のご負担でお願いします。
(3)こんどの大会も前回同様「高松宮妃癌研究基金奉賛大会」として開催されます。合吟出場者の皆様には合吟席券(三、〇〇〇円)の購入をお願い致します。合吟出場者以外の方には、座席当日指定入場券(四、〇〇〇円)の購入をお願いしています。
(4)出場決定団体の皆様は、全国吟剣詩舞道団体の代表にふさわしい合吟をめざして練習に励んでください。
 
平成十八年度合吟コンクール指定吟題
絶句編
寒夜の即事  寂室 元光
山行同志に示す  草場 佩川
志を言う  藤田 東湖
逸題  山内 容堂
舟由良港に到る  吉村寅太郎
蜀中九日  王 勃
元二の安西に使するを送る  王 維
山中幽人と対酌す  李 白
絶句  杜 甫
秋思  許 渾
 
続絶句編
芳野に遊ぶ  菅茶山
桶狭間を過ぐ  大田 錦城
偶成  松平 春嶽
春行して興を寄す  李 華
清明  杜 牧
 
吟剣詩舞の若人に聞く[第79回]
早淵良宗さん
 
早淵良宗さん(十六歳)兵庫県神戸市在住
(平成十七年度全国剣詩舞コンクール決勝大会剣舞少年の部優勝)
母:河野鶴聲さん
父・副宗家:早淵鯉將さん
宗家:早淵鯉操さん(大日本敬天社道場総本部)
国際的環境の中で育まれた逸材
 吟詠から剣舞へ、その活躍の場を広げた早淵良宗さん。平成十二年度吟詠コンクール少年の部優勝に続き、見事に今回は剣舞少年の部で優勝を手にしたいま、彼の思う吟剣詩舞やコンクールのことを宗家はじめ父である副宗家、母親を交えながらお聞きしました。
 
――剣舞での優勝、おめでとうございます。
良宗「ありがとうございます。まさかの優勝でした」(笑)
――自信はありましたか?
良宗「いいえ。ただ、舞い終わった後に、周りの人が良かったといってくれたので、それだけの剣舞ができたのかとは思いました」
――剣舞のコンクールはこれが始めて?
良宗「いえ、昨年(平成十六年)はじめてコンクールに出ました。結果は四位でした。それ以前は、コンクールに限らず剣舞で舞台にはあまり立っていません」
鯉將「出せませんでした」(笑)
――ところで、剣舞は何歳から始めたの?
良宗「剣舞は九歳ごろからです。当時、吟詠も習っていましたが、吟詠は平成十二年に少年の部で優勝をしていましたから、それ以後、時間的にも剣舞を習う余裕ができたので始めました。その時は剣舞でコンクールに出るなどとは、まるで考えていませんでした」
――剣舞は初めから副宗家が教えられたのですか?
鯉將「はい、私が初めから教えました。私が九歳のころより上手でしたね」(爆笑)
――ご宗家の印象はいかがでしたか?
鯉操「この子が剣舞をする前、初吟会などに寄せていただくと、いろいろなパフォーマンスをしまして、小さいのにその方面には才能のある子だなと思っていました。それで剣舞をさせたらうまいだろうなと思っていました」
――お母様は剣舞をすることはどうでしたか?
鶴聲「私も吟剣詩舞の世界にいますので、むしろ剣舞をすることを薦めました。吟詠も剣舞も両方できるのが、良いのではと思っていましたから」
――剣舞を始めた動機は何ですか?
良宗「はっきりとした動機はありませんが、歴史がとても好きなので、歴史の物語を表現することに魅力を感じ、剣舞ならそれができるのではと思い、始めた感じです」
 
真剣な表情で早淵鯉將副宗家より剣舞の指導を受ける早淵良宗さん
 
――吟詠では表現できないの?
良宗「吟詠をしているときはまだ幼かったですし、吟じている意味もあまりわかりませんでした。剣舞をすることで吟の意味を知るようになり、表現ということも意識しだしました」
――指導する上のポイントなどはありますか?
鯉將「まだ若いので、一〇〇パーセントでやろうとし、とにかく動こうとします。それを抑えるのが大変です。あと、うちの流儀は刀の扱いがきっちりしていますので、それは常に厳しくいっています」
――刀をきっちりとはどんな意味ですか?
鯉將「例えば空気を切っていても、実際に敵を切っている、物を切っている、という気持ちで刀を扱っているか。また、見ていて、そう見えるかどうかということです」
 
トロフィーを囲み優勝を喜ぶ写真左より早淵鯉操宗家、早淵良宗さん、父の早淵鯉將副宗家、母の河野鶴聲さん
 
――コンクールの舞台はご覧になっていかがでしたか?
鯉將「セーブしたというか、辛抱強く我慢した剣舞をしているなという印象を持ちました」
鯉操「審査員をしていましたが、ドキドキして見ていました(笑)。それと、私が注意した、刀を抜くときの腕の動きもできていたので良かったです。うちの流派のイギリスの門下生に居合いを仕込まれたおかげです」
――イギリス人に教えられたの?
良宗「夏の間、イギリスに行っていました」
鯉將「私が毎年、六週間ばかりイギリスに行って、剣舞を教えています。彼はイギリスに行って剣舞の稽古ができるものと思っていたようですが、居合いをやっていろといったものだから、けったいな顔をしていましたね」(笑)
鯉操「でも、それがずいぶんプラスになったと思います」
――ところで、なぜ、イギリスで教えているのですか?
鯉將「うちの流派の先代がイタリアで公演したとき、たまたま見に来ていたイギリス人が、これを習いたいと日本の家まで訪ねて来まして、それ以来、先代の代わりに私がイギリスで教えるようになりました」
――今後の課題などはありますか?
良宗「課題というより、青年の部まで一年開きますから、それまで優勝したときの緊張感やピリピリした感じを忘れずにいたいです」
――開いている一年は何をしますか?
鯉操「詩舞の練習をさせたいです」(爆笑)
良宗「力を入れるところは入れる、抜くところは抜く。舞の緩急をもっと勉強しなくてはと痛感しています。そのため、いろいろな人の舞を見て研究しなくてはと思っています」
鯉操「それは詩舞でも勉強できるでしょ」
良宗「詩舞で・・・そうですね・・・」(爆笑)
――詩舞をどのように考えていますか?
良宗「扇子で表現することは難しいと思います。刀なら振り下ろせば切る感じは出せますが、扇子でどのようにするか、考えてしまいますね」
――吟詠のほうはどうしますか?
良宗「もちろん精進し、青年の部に出ます。待ってました、という感じですから」(笑)
――吟剣詩舞以外にしていることはありますか?
良宗「ダンスをしています。ダンスをすることで、いまのところ吟剣詩舞に役立つとは考えていませんが、長年続けていく中で、勉強になるものはあると思います」
――最後になりますが、今後の豊富などはありますか?
良宗「優勝したと浮かれないようにしたいです。そうしないと、青年の部のコンクールで失敗してしまうので、気をつけたいと思います。そして、練習に励みます」(笑)
――皆様からアドバイスなどはありますか?
鯉將「刀の扱いがまだだと思いますから、居合いのほうをもう少しやるように、してほしいですね」
鯉操「私も父から、刀のことばかりいわれましたが、刀をしっかり扱えるようにしてください」
――本日はインタビューにお答えいただき、ありがとうございます。今後のご活躍を期待しております。


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