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国民文化祭協賛事業 高松宮妃癌研究基金奉賛
第三十八回 全国吟剣詩舞道大会
日時■平成十七年十一月十三日(日)
場所■日本武道館
主催■財団法人日本吟剣詩舞振興会
後援■文化庁・財団法人日本武道館・NHK
和歌に見る美しき日本語の再認識
 全国吟剣詩舞道大会は、一年の終わりが近づいてきたことを知らせてくれる、財団主催事業のなかでも特に大きなイベント。本年もすばらしい舞台を見せてくれました。
 
式典であいさつを述べる河田和良会長
 
開会のことばを述べる鈴木吟亮副会長
 
全国コンクール優勝者演舞で「家兄に寄せて志を言う」(広瀬武夫作)を舞う剣舞少年の部・早淵良宗さん(吟詠は中澤春誠吟士)
 
 武道館前は本年も早朝から大勢の人で埋まり、華やかな舞台の幕開けを待つ人、合吟の練習を繰り返す団体、連絡に走り回る大会関係者など本大会ならではの慌ただしい光景が見られました。
 大会は、まず一昨年十二月にご薨去された高松宮妃喜久子殿下を偲んで黙祷がささげられ、「禮と節まもりて長き 日の本の 心を世々に 傳へてしがな」という財団創立十周年記念式典に際して高松宮妃殿下から頂戴したお歌が紹介されました。これからも本大会は高松宮妃癌研究基金に捧げる大会であることが改めて確認されました。
 鈴木吟亮副会長の開会のことばで大会が始まり、各流各派五十五団体が合吟を競う、平成十七年度全国吟詠合吟コンクールが行なわれました。一番手から五十五番手まで総勢三〇二五名。その圧倒的な迫力とスケールの大きさは大合吟ならではのもの。しかし、勇壮さだけではなく、叙情的な吟も独吟とは違う風情を感じることができ、合吟の繊細さ奥の深さを感じることができました。また、心をひとつにして吟じる連帯感も合吟には必要不可欠。出場したどの団体もよく練習を重ねられ、一糸乱れぬ吟詠を聴かせてくれました。
 全国コンクール優勝者及び優勝チームの吟剣詩舞では、優勝者としての名に恥じない、すばらしい吟剣詩舞を堪能することができました。なお、出場者と出場順は別表をご覧ください。
 
文化庁長官代理として祝辞を述べられる芸術文化課地域文化振興室長・安間敏雄氏
 
祝辞を述べられる日本財団会長・笹川陽平氏
 
審査員として紹介される工藤龍堂専務理事
 
 式典は押阪忍氏の司会で進行され、会長挨拶では河田和良財団会長が吟剣詩舞の発展を誓い、来賓挨拶では河合隼雄文化庁長官代理の安間敏雄文化部芸術文化課地域文化振興室長が、吟剣詩舞の役割に期待する長官の言葉を読み上げました。笹川陽平日本財団会長は「日本人の心を歌い、日本人の心を舞っている皆様こそが、これからの日本人の中核としてあるべき姿ですし、皆様のご指導を我々は仰がなければならない時代だと思っています」(詳細は五十一ぺージの「編集後記」をご覧ください)と吟剣詩舞の大切さを強調されていました。つづいて高松宮妃癌研究基金奉賛目録が河田和良財団会長から廣澤眞信高松宮妃癌研究基金常務理事へ贈られました。平成十七年度吟剣詩舞大賞は大本旭章、椎野瑞城、菊池吟正、福永瀧霊、今村騰洲の各氏が吟剣詩舞功労賞を受賞され、平成十七年度少壮吟士として陣川虎鳳龍吟士が紹介されました。祝電披露では小泉純一郎内閣総理大臣や、小坂憲次文部科学大臣の祝電が読まれました。
 式典も滞りなく終了すると、いよいよ期待の企画構成番組「和歌は日本のこころ――古今集編纂一一〇〇年に寄せて――」が披露されました。内容は、わが国の文学の黄金期である平安時代に編まれた「古今和歌集」の編纂から一一〇〇年、鎌倉前期に編まれた「新古今和歌集」からも八〇〇年の節目を迎え、吟剣詩舞道の世界でも近年、和歌が取り上げられることが多くなってきました。また、和歌に親しむことで日本語の乱れや人心の頽廃を防げるのであれば、もっと親しむべきではないのかという考えのもと、和歌を中心にすえて、さまざまな漢詩を吟剣詩舞で楽しむという番組になっていました。出場者は財団会長をはじめ、財団役員、少壮吟士はもちろん、東西随一といわれる剣詩舞家の方々が大挙出演され、華やかさと気品、動と静が織り成す美しい舞台を満喫することができました。会場からも大きな拍手が何度となく送られていました。最後に合吟コンクールの入賞団体が発表・表彰され、来年も武道館で皆さんとお会いすることを約束しながら、第三十八回全国吟剣詩舞道大会も無事終了しました。
 
●吟詠コンクール
幼年の部 伊達佳内子さん「早に白帝城を発す」
少年の部 遠藤衣恵さん「早に白帝城を発す」
一般三部 山内チヨコさん「胡隠君を尋ぬ」
一般二部 堀川泰司さん「舟中子規を聞く」
青年の部 仲宗根香さん「事に感ず」
一般一部 榮 葉子さん「後夜仏法僧鳥を聞く」
●剣詩舞コンクール
幼年の部 剣舞・野中政利さん「八幡公」
詩舞・柴田きよ乃さん「春夜洛城に笛を聞く」
少年の部 剣舞・早渕良宗さん「家兄に寄せて志を言う」
詩舞・鈴木恵美子さん「春夜洛城に笛を聞く」
一般二部 剣舞・玉田朝子さん「暁に発す」
詩舞・笹野和子さん「春日山懐古」
青年の部 剣舞・鈴木宏実さん「和歌・君がため」
詩舞・大野晶子さん「雪梅」
一般一部 剣舞・西原 香さん「戊辰の作」
詩舞・甲本美恵子さん「春日山懐古」
 
合吟コンクールで優勝した臥風流吟詠会本部女子の皆さん


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