日本財団 図書館


表紙説明◎名詩の周辺
八紘一宇塔―松口月城 作
宮崎・宮崎市
 去る六月二十六日(日)、「少壮吟士制度発足三十周年記念吟詠チャリティーリサイタル」が宮崎市民文化ホールであり、取材のため、宮崎市に行って来ました。南国宮崎はかつては新婚旅行のメッカであり、また、日向の国宮崎は神話の国でもあります。市内には、第一代天皇である神武天皇を祀る「宮崎神宮」があり、神武天皇にまつわるさまざまな伝説や地名が県内各地に残っています。
 そして、この宮崎神宮の北西、海抜六〇mの古墳台地の一帯にあるのが「平和台公園」で、その中央には皇紀二六〇〇年の記念事業として、昭和十四年(一九三九)五月に着工、昭和十五年十一月に竣工した高さ三十七mの巨大な「八紘一宇の塔」が聳え立っています。この塔が「八紘一宇の塔」と呼ばれるのは、この地が「宮崎神宮」の近くにあり、神武天皇が大和に東征するまでの皇居と伝えられる皇宮屋(こうぐうや)の北方の丘にあること、また、神武天皇が橿原で即位された時の勅語の一節「八紘を掩いて字を成さんこと亦よからずや」という建国の理想からきています。「「八紘一宇」とは全世界(=八紘)を一棟(=一宇)にする、つまり「世界を一つの家」にするという意味で世界平和を願ったものであり、私たちにはなじみ深い財団笹川良一創始会長の「世界は一家、人類皆兄弟」のスローガンと相通ずるものがあります。
 
 
 しかし、この思想は不幸にも、太平洋戦争期に軍部により「大東亜共栄圏」実現のための標語として用いられ、戦後はGHQにより公文書による使用を一切禁止されました。このため、この塔の文字も一時削り取られ、単に「平和の塔」と呼ばれた時期もありましたが、極東軍事裁判で「八紘一宇は侵略思想ではない」と認められたこともあり、昭和四十年には「八紘一宇」の文字も復元、元の「八紘一宇の塔」と呼ばれるようになりました。
 余談ですが、東京オリンピックの聖火リレーはこの「平和台公園」がスタート地点であり、ジーコ・ジャパン(サッカー日本代表)のユニホームの胸を飾る「八咫烏(やたがらす)」は神武天皇が東征時、道に迷われた時、天の神が道案内としてつかわした烏として有名です。
 
宮崎市内はあちこちにフェニックスやワシントニアパームが茂り、明るい南国情緒にあふれている
 
「八紘一宇の塔」の北側にあるハニワ園。ハニワの複製品が並び、古代の世界さながらの光景を現出している
 
【八紘一宇の塔】バスセンターである宮交シティからバス25分。バス停「平和台」下車、塔まで徒歩約5分。
【宮崎神宮】宮交シティからバス20分。バス停「宮崎神宮」下車後すぐ。
 
吟剣詩舞だより
富山県輝風会認可20周年
小矢部市・福岡町吟詠会創立三十五周年
小林岳吟道五十年記念吟道大会
平成十七年四月十日
クロスランドおやベメインホール
 
 午前九時開会、「春を詠う」と題して「新春の千代田城」を皮切りに教場毎の会員吟詠が続いたあと、九番のご招待合吟で午前の部を終えました。
 
女性会員の「祝賀の詞」合吟
 
 午後は式典のあと、黒留袖で正装した女性会員五十三名による「祝賀詞」で幕が上がり、正装に恥じないすばらしい熱吟で会場をうならせました。
 続いての友好団体代表及び日本クラウン会員の先生方による吟詠と剣詩舞道団体代表の先生方による吟詠と剣詩舞との響演は吟詠と剣詩舞の素晴らしさを堪能させてくれました。
 今大会のメイン行事である企画構成吟―至誠の人―「吉田松陰」は、家族の松陰に対する深い愛情を根底に秘め乍ら、佐久間象山をはじめ松陰を取りまく人々を通して松陰に光を当てる構図を取り、木戸孝允の「偶成」でフィナーレを締め括りました。「偶成」に特別ご出演をお願いした日本壮心流宗家入倉昭山先生ご一家の演舞は素晴らしく、会員のベテラン三人による連吟とこれに岡田純明先生の尺八演奏が加わり、舞と吟と音の三者が舞台で火花を散らす三つ巴の熱演は、会場全体を感動の渦に巻き込んで幕を閉じました。
(富山県輝風会 会長 小林岳
 
日本壮心流剣詩舞道
岡崎昭武舘創立二十五周年
同南心会創立十周年記念大会
素晴しい吟詠で舞う幸福と慶びを館員と共に
平成十七年四月二十四日
愛知県額田郡幸田町民舘さくらホール
 
「戦乱の英傑」より
 
 平成十七年四月二十四日愛知県額田郡幸田町民舘さくらホールに於いて日本壮心流剣詩舞道・岡崎昭武舘創立二十五周年、同南心会創立十周年記念大会が、開催され、オープニングの詩舞「富士山」から始まり、家族共演に依る「相生の舞」、同門群舞、来賓吟剣詩舞と続き、剣詩舞界の若手のホープの「天祥の舞」会長一家演舞、舘長一家、家元一家、宗家一家、と続き、後半は、第二期少壮吟士の小林北鵬先生を筆頭に十二名の吟界のトップエンターテイナーの先生方の「平成の志士高嶺に詠う」と銘うって、会場満席の観客を魅了、最後は、地元三河が生んだ、「織田信長」「豊臣秀吉」「徳川家康」の三英傑をテーマに「戦乱の英傑」で会場は大いに盛り上がりました。
 また今回は脚本を海老澤宏升先生にお願いし、入倉昭星家元、昭山宗家の振付指導により今までにない大変中味の濃い構成演舞となりました。信長、秀吉、家康の衣裳、甲冑等は会員の手造りで、その豪華さを見事に再現、構成演舞の幕が上がると会場は波打つどよめきとその後の演舞と素晴らしい吟詠に、舞台と満席の観客が見事一つになり余韻を残して、記念大会の幕を閉じました。
(今泉昭剣記)
 
日本吟詠総連盟
第五十二回全国吟詠剣舞詩舞大会開催される
 平成十七年五月二十二日、長崎県佐世保市アルカスSASEBO大ホールに於いて、第五十二回全国吟詠剣舞詩舞大会が盛大に開催されました。
 本大会は長崎県、佐世保市、財団法人日本吟剣詩舞振興会、佐世保文化協会、長崎県吟剣詩舞道連盟、西日本新聞社、KTNテレビ長崎、他多くのご後援を戴き、午前九時予定通り連盟旗が入場、先導は伊東鷺伸大会副会長、中詰め櫻井櫻國大会実行委員長と鶴島桜香大会副実行委員長が続き、旗手は熊本の長谷川有晄大会総務副委員長が務め、壇上の小野静蓉大会会長に手渡されました。
 金井心將大会副会長の力強い開会の挨拶に続いて、物故者に黙祷を捧げ、君が代斉唱、更に椎野瑞城大会副会長の先導で、連盟詩の大合吟が会場に響き渡りました。プログラムは、地元長崎県吟剣詩舞道連盟佐世保地区男女各一チーム百二十四名の協賛大合吟で、時間通りスタートし各地区常任理事による独吟、連吟、剣舞、詩舞の中に十六チーム千二百九十八名の協賛大合吟を挟み、華麗な中に、迫力ある演舞が披露されました。
 十三時より、西山啓峰式典委員長の司会により、石川節洲大会副会長の開式の挨拶で式典が始まりました。小野静蓉大会会長のご挨拶に続いて、地元岩崎英洲大会委員長の挨拶の後、金子原二郎長崎県知事と、地元佐世保市助役野口先生に歓迎とご祝辞を戴き、感謝状贈呈と続きました。感謝状は、岩崎英洲大会委員長と櫻井櫻國大会実行委員長更に、地元、鶴島桜香大会副実行委員長に送られました。祝電が内藤眞城大会総務委員長から披露され、笹谷城俊大会副会長の閉式の挨拶を以て式典を終了致しました。
 
大合吟風景
 
 舞台は再び、地元の協賛大合吟を挟み、各地区別に常任理事吟詠、剣舞、詩舞の競演と進み続いて会計監事・全国運営委員の吟詠、剣舞、詩舞が披露されました。各地区事務局長・事務総局の吟詠に続いて大会委員長・同副会長吟詠が進み最後に小野静蓉大会会長が、平野国臣の短歌「わがむねの」を朗詠され、張りのある美声で会場内を魅了しました。舞台展開も素早く、がらりと雰囲気を変え、アトラクションが披露されました。今年のアトラクションは、地元の綺麗どころ「藤扇流扇維会」による〔長崎ぶらぶら節と佐世保ハイヤ〕が全国からの来客を楽しませてくれました。静かさを取り戻した舞台は、最後のセレモニーへと進み、連盟旗が小野会長より、次回平成十八年度開催地、近畿地区の伊東鷺伸副理事長と小林快川事務局長に移管されました。締めくくりに日枝師鵬大会副会長の音頭で万歳三唱し、和田箔峰大会副会長の閉会の挨拶で幕を閉じました。
(事務総局広報記)
 
第三十回吟道桂月流吟詠剣詩舞大会
平成十七年五月二十九日
燕市文化会館
 
 第三十回吟道桂月流吟詠剣詩舞大会が五月二十九日燕市文化会館で盛大に行なわれました。
 
大会式典風景
 
 今年は三十回記念大会ということ、そして卒寿を越えた宗家・霜鳥桂月先生の詩吟人生七十年の集大成の大会ということで会員一同例年にも増して張り切っておりました。
 大会には阿部吟鳳、中澤春誠、中野吟紫三名の少壮吟士をはじめ県内各流各派の諸先生方の応援をいただき、また、大会に華を添えていただくべく地元の郷土芸能「飛燕太鼓」と、今大会の構成吟「義経」にちなんで平家琵琶での「敦盛の最後」の演奏もありバラエティーにとんだ大会となりました。当日は開演を待ちわびる数十名の一般客もおられ会場は満席となりました。
 会員合吟、招待者吟詠剣詩舞、そして勇壮な飛燕太鼓の演奏、そして構成吟「義経」と続き構成吟は常盤御前が雪の中、三人の子供達の手をひいている絵をバックに女性会員の「常盤孤を抱くの図に題す」の合吟で始まり剣詩舞、「華道」、「茶道」の野点を取り入れ、趣向をこらした一般のお客様にも楽しめる内容となっておりました。
 午後は式典、桂月流師範吟詠、来賓諸先生方の吟詠剣詩舞、そして少壮吟士三名のすばらしい吟に聞き入り、最後は会長、宗家の吟詠そしてフィナーレに宗家を全会員で囲んでの「富士山」の大合吟で会場は大いに盛り上がり、宗家もしばし声をつまらせておりました。そして閉会、帰りには来場者より「よかった」「すばらしいかった」の声を戴き会員一同なお一層の努力、精進を誓い合いました。
(事務局長・金子秀月)
 
大日本正義流剣舞術総本部
正義流詩舞同好会総本部
八十七歳
剣舞の福原寿美江さん
朝日新聞・大阪版で紹介
 
 去る五月二十日の朝日新聞・大阪東部版の紙面トップに“八十七歳「おかん」元気の秘訣『剣の舞』”と題して、大阪府大東市に住む大日本正義流総師範の福原寿美江さん(武名・義月、雅号・千栄寿)が紹介されました。記事の中で、福原さんは、全国コンクールの詩舞で二位、剣舞で五位に入賞したことや、「剣舞と詩舞が健康の秘訣」として「百歳まで舞台に立つことが夢」と語っています。高齢化社会の到来が告げられる中、吟剣詩舞を楽しむ方々が健康で充実した人生を送られることは正に心強い限りです。
 
(この新聞記事は大日本正義流剣舞術総本部多田正満宗家、正義流詩舞同好会総本部多田正稔家元より編集部に寄せられたものを一部要約しました)
 
ハンセン病制圧に関するご報告
世界のハンセン病回復者、その子どもたちのために、今後も一層のご支援を!
WHOハンセン病制圧特別大使
日本財団会長
笹川陽平
 
インドにハンセン病の親を持つ子どもたちの学校を訪ねる笹川氏
 
 全国の吟剣詩舞愛好者の皆様、お元気でしょうか。
 皆様がハンセン病について関心をもたれご寄付くださった総額は四四〇万円になりました。私はこの貴重な寄付金を一円たりとも無駄使いせず、すべてインド・中国・ミャンマーなどの国々の、恵まれないハンセン病回復者や学校に行けないその子どもたちのために活用させていただいております。寄付金の使途につきましては、後日詳しくご報告いたします。
 私は年間四カ月、海外で活動しています。皆様の心強い支援があればこそのことです。いわれない差別に苦しんでいる人々のために世界からハンセン病をなくしたいという父・笹川良一の遺志を継いで、私は仕事をさせていただいていることに感謝をしながら活動しております。
 世界のハンセン病回復者は、皆様の想像を絶する環境の中で、仕事もなく極貧の生活をしております。その子どもたちも学校に行けず、悲しい生活を強いられております。
 お元気でご活躍の皆様方、彼らのためにも今後も一層のご支援をお願いいたします。
 
■笹川陽平氏の著書
『世界のハンセン病がなくなる日』をプレゼント
 
 世界保健機関(WHO)ハンセン病制圧特別大使として、昨年第十一回読売国際協力賞を受賞した笹川陽平氏が、ハンセン病に取り組んできた半生を本にしました。父の故・笹川良一氏(前・日本財団会長)がハンセン病根絶とかかわったいきさつから、その遺志を継いでの自身の活動が克明に記録されています。ぜひご一読ください。なお、四月一日以降一万円以上の募金をいただいた方には、もれなく著者サイン入りの本書をプレゼントいたします。
 
ハンセン病回復者支援事業に引き続き協賛戴きました
 現在、開発途上国におけるハンセン病回復者自立支援事業における「(財)日本吟剣詩舞振興会」を通じてご寄付いただいた額は、四、四〇〇、四三九円(五月末日現在)となっております。
■募金の振込についてのご案内
 ハンセン病回復者自立支援募金は、本誌最終頁に貼付の「専用振込用紙」をご利用いただき、最寄の郵便局からお振込ください。送金手数料はかかりません。皆さまの温かいご支援をお願いします。
ハンセン病回復者自立支援事業 スタッフ一同
 
五月中にご寄付いただいた方のお名前(敬称略)
〔宮城〕
高橋 澄也
〔埼玉〕
匿名 一
〔神奈川〕
石塚 定寿
〔岡山〕
河田 千春
〔広島〕
春洋流吟誠会
広島支部 代表
中村 春荘
藤河 賀久清
〔愛媛〕
紫雲館吾妻流事務局
安東 翠玲
森 経之
〔長崎〕
竹村 ヤスノ
〔熊本〕
村迫 恭子
〔大分〕
伊地知 隆輝


前ページ 目次へ 次ページ





日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION