日本財団 図書館


4.1.3 鉄道の例
4.1.3.1 電子タグの例
 2006年現在、米国では、370万台のアムテックタグと6,000カ所のリーダーが設置済みであり、米国の幹線鉄道網の99%をカバーするネットワークが形成されています。電子タグシステムはトランスコア社が提供しています。同社のシステムは我が国ではJR四国と東京メトロの列車管理に導入されています。
 リーダーは、鉄道会社所有のものとトランスコア社所有のものとがあります。貨車・コンテナの正確な位置情報および運行管理効率の向上には極めて効果的であることが指摘されています。
 最近の設置費用は公表されていませんが、設置開始当初のユニオン・パシフィックの推計(1991年)によれば費用は以下のとおりです。
(1)コンテナに付ける2つの電子タグの費用
1両で約60ドル
設置費用(アメリカ鉄道協会推計)1両約65ドル
(2)リーダーの費用
設置費用を含めて約3万ドル
(3)総額
アメリカ全体の鉄道貨車140万両に適用する場合
(1)電子タグ 約1億7500万ドル
(2)リーダー 全米3千箇所の基地設置 約9千万ドル
(3)合計 約2億6500万ドル
 当時の問題点としては、以下の点が指摘されていました。
(1)大規模車体の電子タグ設置の遅れ。
(2)正確なチェックのためには電子タグ基地の近くで行う必要がありました。
(3)鉄道会社の列車を管理するために設置されたリーダーの設置場所が顧客の保管施設ニーズと一致しないので顧客の施設配置も考慮する必要がありました。
(4)電子タグの設置場所が悪いことによる、データ内容の不整合に伴う読み取りミスが発生していました。
(5)電子タグ設置の品質をチェックする必要がありました。
(6)電子タグまたはリーダーが機能しない場合を自己診断できるようなシステムが必要でした。
 さらに、一般的な実装条件には以下の差異があります。
(1)タグの設置個所:側面か底面か
(2)受動型か能動型か
(3)データフォーマット
(4)周波数
(5)リーダーの通信制御システム
 
 コンテナの同一タグをトラックターミナルと鉄道の基地で同様に読取りできるかといった異なる交通機関における取扱の違い等があります。
 標準化については、アメリカ鉄道協会(AAR)は1990年10月にAEIの業界標準を決定し、1990年代半ばにアメリカの全ての鉄道結節部に適用しています。
 最近では燃料等のセンサータグや、列車の下部とレールに電子タグシステムを入れた500km/hの高速列車の運行管理システムも導入されています。
 しかし、このほかにもISOの任意の海上コンテナ標準、全米トラック協会(ATA)の任意の標準、ヨーロッパの鉄道があり、複数の交通機関にわたる全体的な整合性の確保・標準の整備が必要になっています。
 今後、ロジスティクスの高度な管理ニーズが強まり、多様で複雑な製品供給の流通経路管理が必要とされるにつれ、信頼のできるAEI網の構築が要請されてくると考えられます。
 
図4.1.10 鉄道コンテナ管理の例
 
4.1.3.2 OCR方式の例
 鉄道の出入り管理やコンテナ管理においてもOCR方式が多くの場所で活用されています。鉄道での設置例は下図のとおりです。
 
図4.1.11 コンテナ鉄道管理(OCR方式)(1)
(資料):www.htsol.com
 
図4.1.12 コンテナ鉄道管理(OCR方式)(2)
(資料):www.htsol.com


前ページ 目次へ 次ページ





日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION