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2.4.3 離岸流数値シミュレーション
 海浜流の計算に関しては、基本的に風波やうねりなどの入射波浪が直接の外力となり浅海域で海浜流が形成されると言う前提を用いた。したがって、エッジ波のように汀線に平行に進行する長周期波により離岸流が発生したり、日野により提案されたような砕波帯内の流体力学的不安定性が原因で生じるもの、外洋におけるフリーク波のような一発大波タイプの現象で発生する離岸流、海岸沖合を航行する大型船や高速船などの航跡波が原因で生じるものは考慮していない。
 なお、現地観測等によりリップチャンネルを伴う三次元地形の場合には離岸流が発達しやすいことが分かっているので、数値計算用の地形モデルとしては、平成16年度に鹿児島県志布志町押切海岸で得られたような弧状砂州地形を使用することにした。また、ここで示すような弧状砂州は、左右対称のもの意外に、左右が非対称型のものも知られているので、本数値計算では両方の地形モデルを使用することにした。
 
図−2.4.14 志布志町押切海岸で観測された弧状沿岸砂州
 
(1)海岸地形の数値モデリング
 海浜流の計算に使用する海底地形を構成する地形要素としては、(1)岸沖の平衡海浜断面形状、(2)誤差関数状の沿岸砂州、(3)汀線から砕波帯にかけてのカスプ形状、および、汀線背後地(後浜)地形を用いた。したがって、海底地形を示す水深データは、次式のように定義した。
 
 
 ここで、岸沖方向の平均地形である、平衡海浜断面形状は次式で求める。
 
 
 但し、Aは形状パラメーターで海浜底質の粒径に依存し、ここでは、A=0.1を用いる。
 
・沿岸砂州(誤差関係に類似) d2;
 
 
 但し、b=バーの高さ;xb=バーの位置
 なお、弧状沿岸砂州(誤差関係に類似) d2‘は以下のようにして計算する。
 
 
 但し、b=バーの高さ;xb=バーの位置
 
・沿岸波状汀線付近地形(非対称波状地形を含む;カスプ地形)d3;
 
 
 但し、a=砂州の最大振幅;lb=砕波点位置;Δ=波状地形に導入する歪(非対称)の程度(DELTA = DELTA1 + DELTA2、delta1A = for skewness、delta2 = for the oblique downstream orientation of the crest of unduration)
 
(2)波・流れの数値計算条件等
 今回実施した波・流れの数値計算の実施ケースと計算条件は表−2.4.2に示すとおりである。
 
表−2.4.2 数値計算条件


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