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まえがき
 この報告書は、当協会が日本財団からの事業補助金を受けて実施した「大陸棚限界画定のためのソフトウエア開発及び情報収集活動」平成17年度分に関した内容、成果等をとりまとめたものであります。各位におかれましてご参考になれば幸甚であります。
 1982年に「海洋法に関する国際連合条約」が採択され海の権利について決められました。我が国は、国連「大陸棚の限界に関する委員会」へ2009年までに大陸棚延長申請の必要がある。わが国周辺は、世界で最も地形が複雑な地域であり、海底にもさまざまな構造がある。このため、大陸棚限界画定には、様々な考え方により限界線案を検討する必要があり、その作業は煩雑かつ膨大である。このような作業を効率よく処理するためには専用のソフトウエアを開発する。
 また、国際的な会合の場に出席し、情報収集や意見交換を行いわが国の大陸棚延長に資することを目的とする。
 本研究は、共同研究として一端を担っていただいた海洋情報部のご担当の方々及び研究の実施を担当していただいた(株)海洋先端技術研究所の方々に厚く御礼申し上げます。
 
平成18年3月
財団法人 日本水路協会
 
第1章 研究の概要
1.1 研究の目的
 国際会議の場では、地形学、地質学、国際法学等の学識経験者及び民間企業が議論に積極的に関わっており、このような議論が国連における大陸棚限界画定の審査基準に大きく影響している。我が国としても、大陸棚限界画定に関連した学識経験者及び民間企業の知識を集約し、国際会議等で発表し、国際的な理解を得る必要がある。国際会議での発表と大陸棚限界画定の手法を取り入れた大陸棚の外側の限界線を引くためのソフトウエアを開発し、我が国の大陸棚限界画定に関する普及活動を行うことを目的とする。
 
1.2 研究の概要
 わが国周辺は、世界で最も地形が複雑な地域であり、海底にもさまざまな構造がある。このため、大陸棚限界画定には、様々な考え方により限界線案を検討する必要があり、その作業は煩雑かつ膨大である。このような作業を効率よく処理するためには専用のソフトウエアの開発が不可欠である。このため、大陸棚限界画定に関連する地形学、地質学、国際法学等の学識経験者による指導のもとでソフトウエアを開発する。海洋法に関する諮問委員会(ABLOS)、日米天然資源会議海底調査専門部会(UJNR)、米国地球物理学連合(AGU)に大陸棚の申請資料作成に関係する専門家を派遣した。派遣者が国際的な動向を直接把握することにより、わが国の申請をより適切なものとするための知識と判断力を培うほか、わが国の状況について適切な発表を行うことにより、国際世論をわが国に有利なほうに導く。
 また、国連に近い将来申請の提出が予想される国に専門家を派遣し情報収集や意見交換を行った。
 平成17年度は、下記の事項を実施した。
1)大陸棚限界画定のための普及に関する活動
 モナコで開催のABLOS、米国シアトルで開催のUJNR、米国サンフランシスコで開催のAGU及びニュージーランドを訪問し、普及活動を行う。
 情報収集活動について、成果の発表会を実施した。
2)限界画定のためのソフトウエアの開発
 大陸棚限界線を引くためのソフトウエアを開発した。
 
1.3 検討会等
1.3.1 検討会の構成
 下記の方々により構成し、ご審議、ご指導をいただいた。
 
(敬称略、順序不同)
関係官庁 阿部 則幸 海上保安庁海洋情報部 海洋調査課 大陸棚調査室 主任大陸棚調査官
吉田 剛 海上保安庁海洋情報部 技術・国際課 海洋研究室 研究官
小森 達雄 海上保安庁海洋情報部 海洋情報課 海洋情報官
片桐 康孝 海上保安庁海洋情報部 海洋調査課 大陸棚調査室 大陸棚調査官付
及川 光弘 海上保安庁海洋情報部 海洋調査課 大陸棚調査室 大陸棚調査官付
事務局 村井 弥亮 (財)日本水路協会 調査研究部長
委託先 植木 俊明 (株)海洋先端技術研究所 代表取締役
横井 康孝 (株)海洋先端技術研究所 地球物理情報室室長
 
1.3.2 審議経過
平成17年5月10日 第1回検討会 実施計画書の検討
平成17年6月3日 第2回検討会 実施計画書の審議・承認
平成17年6月14日 第3回検討会 現状プログラムの確認、開発プログラムの検討
平成17年6月24日 第4回検討会 プログラムのアルゴリズム
平成17年7月12日 第5回検討会 ノイズ除去の評価
平成17年8月22日 第6回検討会 グリッドかの評価
平成17年9月26日 第7回検討会 3次元表示のデモ
平成17年11月21日 第8回検討会 60海里ショートカットのアルゴリズム
平成18年1月18日 第9回検討会 60海里ショートカットの評価
 
1.3.3 情報収集活動
海洋法に関する諮問委員会(ABLOS)出席
期日:平成17年10月10日〜12日
出席者:
葉室 和親 内閣官房 参事官
棚橋 学
(独)産業技術総合研究所 地圏資源環境研究部門 副研究部門長
石原 丈実
(独)産業技術総合研究所 地質情報研究部門 主任研究員
桂 忠彦 (財)日本水路協会 審議役
植木 俊明 (株)海洋先端技術研究所 代表取締役
横井 康孝 (株)海洋先端技術研究所 地球物理情報室室長
日米天然資源会議海底調査専門部会(UJNR)出席
期日:平成17年10月18日〜20日
出席者:
浅田 昭 東京大学 生産技術研究所 教授
荒井 晃作
(独)産業技術総合研究所 地質情報研究部門 主任研究員
池原 研
(独)産業技術総合研究所 地圏資源環境研究部門 リーダー
八島 邦夫 (財)日本水路協会 常務理事
大島 章一 日本大陸棚調査(株) 取締役相談役
横井 康孝 (株)海洋先端技術研究所 地球物理情報室室長
米国地球物理学連合(AGU)出席
期日:平成17年12月5日〜7日
出席者:
望月 将志 東京大学 生産技術研究所 助手
西村 昭
(独)産業技術総合研究所 地質情報研究部門 副研究部門長
湯浅 真人
(独)産業技術総合研究所 地質情報研究部門 主任研究員
下田 玄 (独)産業技術総合研究所 地質情報研究部門 研究員
村井 弥亮 (財)日本水路協会 調査研究部長
笠原 順三 日本大陸棚調査(株) 常任顧問
植木 俊明 (株)海洋先端技術研究所 代表取締役
横井 康孝 (株)海洋先端技術研究所 地球物理情報室室長
成果発表会
期日:平成18年3月16日
場所:日本財団ビル


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