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2.3.2 調和分解
1)潮流調和分解計算
 潮流調和分解は観測値をスカラー量にした分速値の時系列変化について潮汐と同様に周期解析を行うもので、本研究では最小自乗法[彦坂他(1966)の方法]を用い、表2.3.2.1に示す10分潮の潮流調和定数を求めた。
 
表2.3.2.1 各分潮の周期および角速度
記号 名称 周期(h) 角速度(°/h)
K1 日月合成日周潮 23.93 15.0411
O1 主太陰日周潮 25.82 13.9430
P1 主太陽日周潮 24.07 14.9589
Q1 主太陰楕率潮 26.87 13.3987
M2 主太陰半日周潮 12.42 28.9841
S2 主太陽半日周潮 12.00 30.0000
N2 主太陰楕率潮 12.66 28.4397
K2 日月合成半日周潮 11.97 30.0821
M4 太陰1/4日周潮 6.21 57.9682
MS4 複合潮M2+S2 6.10 58.9841
 
 最小自乗法による調和分解は、まず、一連の時系列変化の時刻tにおける変化量U(t)が、時刻tの関数として次式により表されると仮定する。
 
 
 ここで、Aoは平均値、mは分潮数、σ1〜mは各分潮の各速度、al〜m、bl〜mは求めるべき未知数で、各分潮の振幅をRi、遅角をKiとすると
 
 
の関係があり、式6.2.1の左辺と右辺の差の自乗和が最小となるAo、ai、biを求めれば容易にRi、Kiを求めることができる。ここで、fiおよび(Vo+u)iは天文引数と呼ばれる振幅と位相に対する補正係数である。
 
※彦坂茂雄・赤木登・矢野雄幸(1966):最小自乗法による潮汐調和分解とその精度について, 水路部研究報告 第1号 P27-31
 
2)潮流楕円
 調和分解計算で求めた各分潮の調和定数から、式2.3.2.3により主要4分潮(M2, S2, K1,O1)の潮流楕円を作成した。
 
 
 各格子点の潮流楕円を図2.3.2.1、調和分解計算に用いたデータの平均流(恒流)を図2.3.2.2に示す。主要4分潮の潮流楕円図で示されるように、当海域は半日周期潮流が卓越している。北側海域、南側海域とも強水道の両側には環流域が形成される様相が示されている。
 
図2.3.2.1 主要四分潮の潮流楕円
 
 
 
 
図2.3.2.2 調和分解計算に用いた期間の平均流


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