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2.3 調和分解
2.3.1 データ作成
1)データの作成期間
 ベクトルデータは観測時間毎の格子データであり、これを調和分解用の格子点での時系列データに変換した。調和分解用のデータは、32昼夜と、15昼夜連続データの2種類である。作成したデータの観測期間を表2.3.1.1に示す。
 
表2.3.1.1 調和分解に用いたデータの観測期間
格子点 観測期間
北側海域32昼夜 8月21日 00:00〜9月22日 00:00
室−宮の鼻15昼夜 8月21日 00:00〜9月05日 00:00
室−孫埼15昼夜 9月07日 00:00〜9月22日 00:00
南側32昼夜 7月17日 00:00〜8月18日 00:00
 
2)測得最大流速
 調和分解用に作成したデータの中から最大流速を抽出し図2.3.1.1に示す。最大流速の中で、鳴門大橋の北側約500mの格子点が330cm/s(北西流)の最高値を示す。
 
図2.3.1.1(1)格子点の最大流速ベクトル
 
図2.3.1.1(2)格子点の最大流速値
 
3)流向・流速経時変化
 最大流速の最高値が出現した格子点(N=1.0km、E=0.0km)の流向・流速の経時変化を図2.3.1.2に示す。図の流速を示す項目については、縦軸のフルスケールを300cm/sで表示している。最高流速は9月6日に出現しているが、台風14号の接近時に一致しており、25時間移動平均グラフにも南東風による吹送流の発生が示されている。流向は、北北西と南南東の往復流が卓越しており、分速変化も北方分速に比べ東方分速が非常に小さい。なお、北側海域は、観測期間の前半と後半では、流速の振幅に若干の変化がみられる。これは、短波レーダー観測局の配置を変えた影響と考えられ、この現象が非常に著しい格子点も多くみられる。この要因は、ベクトルファイル作成に使用するラジアルファイルは、500mの距離レンジを観測しており、このレンジ位置の違いによるものと考えれられる。この現象は、複雑な流況海域においてベクトルファイルの作成半径を小さくするほど、顕著になるものと考えられる。
 
図2.3.1.2 最高流速出現地点の流況経時変化


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