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平成17年那審第32号
件名

漁船横山丸乗揚事件(簡易)

事件区分
乗揚事件
言渡年月日
平成17年12月15日

審判庁区分
門司地方海難審判庁那覇支部(平野研一)

副理事官
入船のぞみ

受審人
A 職名:横山丸船長 操縦免許:小型船舶操縦士

損害
舵頭材,プロペラ軸及びプロペラ翼に曲損,船尾外板に亀裂等

原因
船位確認不十分

裁決主文

 本件乗揚は,船位の確認が十分でなかったことによって発生したものである。
 受審人Aを戒告する。
 
裁決理由の要旨

(海難の事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
 平成16年11月7日23時03分
 鹿児島県与論島与論港
 (北緯27度03.3分 東経128度23.8分)

2 船舶の要目
船種船名 漁船横山丸
総トン数 4.4トン
全長 12.73メートル
機関の種類 ディーゼル機関
出力 264キロワット

3 事実の経過
 横山丸は,平成6年3月に進水し,船体中央部やや船尾寄りに操舵室を設けたFRP製漁船で,昭和50年12月に一級小型船舶操縦士の免許(平成17年4月一級小型船舶操縦士・特殊小型船舶操縦士免許に更新)を取得したA受審人ほか1人が乗り組み,そでいか旗流し漁の目的で,船首0.4メートル船尾1.1メートルの喫水をもって,平成16年11月5日00時00分鹿児島県与論島茶花漁港を発し,同港南東方沖合35海里の漁場で,そでいか50キログラムを獲たのち,翌々7日19時30分同漁場を発進し,帰港の途に就いた。
 ところで,A受審人は,平素帰港する際,与論島東岸に向けて北上したのち,レーダーで陸岸までの距離を確認しながら,同島に徐々に接近することとし,ハタンシ埼北西方沖合0.5海里の地点から与論港沖防波堤(以下「防波堤」という。)北方沖合に向けて転針して防波堤北端を替わし,与論港導灯の2灯一線の方位132.7度(真方位,以下同じ。)に沿うよう,針路を右に転じて係留地に向かうこととしていた。
 22時47分半A受審人は,与論港灯台から208度0.9海里の地点で,操舵輪後方の座席に座って見張りに当たり,針路を353度に定め,機関を半速力前進にかけ,5.0ノットの対地速力で,手動操舵により進行した。
 22時58分A受審人は,与論港灯台から282度0.5海里の地点に至り,いつものように防波堤北方沖合に向けるつもりで針路を右に転じて068度とし,そのまま続航するとハタンシ埼北方沖合の干出さんご礁に接近する状況となったものの,右舷方の灯火を一瞥して陸岸までの距離は十分にあるものと思い,レーダーで前路の防波堤北端を確認したり,右舷方の陸岸までの距離を確かめるなど,船位の確認を十分に行わなかったので,このことに気付くことなく進行した。
 23時01分A受審人は,依然船位の確認を十分に行わなかったので,前示の干出さんご礁に,著しく接近していることに気付かないまま続航中,23時03分横山丸は,与論港灯台から334度550メートルの地点の干出さんご礁に原針路,原速力のまま乗り揚げ,これを乗り切った。
 当時,天候は曇で風力2の南東風が吹き,潮侯は上げ潮の初期であった。
 乗揚の結果,舵頭材,プロペラ軸及びプロペラ翼に曲損,船尾外板に亀裂を,浸水により補機等の濡損をそれぞれ生じたが,のち修理された。

(海難の原因)
 本件乗揚は,夜間,鹿児島県与論島茶花漁港に向けて東行する際,船位の確認が不十分で,同島ハタンシ埼北方沖合の干出さんご礁に著しく接近したことによって発生したものである。

(受審人の所為)
 A受審人は,夜間,鹿児島県与論島茶花漁港に向けて東行する場合,同島ハタンシ埼北方沖合には,干出さんご礁が拡延していたのであるから,これに著しく接近することのないよう,レーダーで前路の防波堤北端を確認したり,右舷方の陸岸までの距離を確かめるなど,船位の確認を十分に行うべき注意義務があった。しかるに,同人は,右舷方の灯火を一瞥して陸岸までの距離は十分にあるものと思い,船位の確認を十分に行わなかった職務上の過失により,ハタンシ埼北方沖合の干出さんご礁に著しく接近して乗揚を招き,舵頭材,プロペラ軸及びプロペラ翼に曲損を,船尾外板に亀裂を,浸水により補機等に濡損をそれぞれ生じさせるに至った。
 以上のA受審人の所為に対しては,海難審判法第4条第2項の規定により,同法第5条第1項第3号を適用して同人を戒告する。





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