日本財団 図書館




 海難審判庁採決録 >  2005年度(平成17年度) >  乗揚事件一覧 >  事件





平成17年広審第69号
件名

漁船第二永福丸乗揚事件(簡易)

事件区分
乗揚事件
言渡年月日
平成17年9月5日

審判庁区分
広島地方海難審判庁(川本 豊)

理事官
神南逸馬

受審人
A 職名:第二永福丸船長 海技免許:五級海技士(航海)

損害
船首部が圧壊

原因
居眠り運航防止措置不十分

裁決主文

 本件乗揚は,居眠り運航の防止措置が不十分であったことによって発生したものである。
 受審人Aを戒告する。

裁決理由の要旨

(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
 平成16年5月21日01時30分
 鳥取県鳥取港

2 船舶の要目
船種船名 漁船第二永福丸
総トン数 85トン
登録長 28.37メートル
機関の種類 ディーゼル機関
出力 507キロワット

3 事実の経過
 第二永福丸(以下「永福丸」という。)は,専ら山陰沖の日本海で沖合底びき網漁業に従事する鋼製漁船で,A受審人ほか10人が乗り組み,操業の目的で,船首1.3メートル船尾3.8メートルの喫水をもって,平成16年5月17日08時00分鳥取港を発し,隠岐諸島島後北方の漁場に向かった。
 A受審人は,漁場に到着後,投網作業を約15分間行ってから曳網を約1時間行い,その後揚網作業を45分間行う操業を1日あたり10回ないし12回繰り返し,同月20日17時30分ごろ農林848−1海区付近での操業を終え,漁獲物を水揚げするため隠岐諸島西ノ島北西方沖合約12海里の地点を発して鳥取港に向かった。
 ところで,A受審人は,操業の間は曳網中に仮眠したものの,睡眠が連続してとれなかったことから熟睡することができず,睡眠不足が解消されないままの帰航となった。
 こうして,A受審人は,発航後単独で船橋当直に当たり,19時27分四敷島灯台から254度2.5海里の地点において,針路を126度(真方位,以下同じ。)に定め,機関を全速力前進にかけて10.0ノットの対地速力で自動操舵により進行した。
 A受審人は,翌21日01時12分鳥取港第1防波堤東灯台から306度3海里の地点で,操舵スタンド右後方に取り付けられた椅子に座っていたところ眠気を催すようになったが,あと少しで入航するので,それまで居眠りすることはあるまいと思い,休息中の他の乗組員を起こして当直を交替するなどの居眠り運航の防止措置をとることなく続航するうち,いつしか居眠りに陥った。
 こうして,永福丸は,A受審人が居眠りしたまま同じ針路及び速力で進行するうち,01時30分鳥取港第1防波堤東灯台から298度20メートルの同港第1防波堤北東端の消波ブロックに乗り揚げた。
 当時,天候は晴で風力3の北風が吹き,潮候は上げ潮の中央期であった。
 乗揚の結果,船首部が圧壊したが,のち修理された。

(原因)
 本件乗揚は,夜間,鳥取港沖合の日本海を同港に向け帰航中,居眠り運航の防止措置が不十分で,鳥取港の第1防波堤北東端に向首進行したことによって発生したものである。

(受審人の所為)
 A受審人は,夜間,鳥取港沖合の日本海を同港に向け単独で船橋当直に就いて帰航中,眠気を催した場合,居眠り運航とならないよう,休息中の他の乗組員を起こして当直を交替するなど居眠り運航の防止措置をとるべき注意義務があった。しかるに,同人は,あと少しで入航するのでそれまで居眠りすることはあるまいと思い,居眠り運航の防止措置をとらなかった職務上の過失により,居眠りに陥って鳥取港第1防波堤北東端の消波ブロックへの乗揚を招き,船首部を圧壊させるに至った。
 以上のA受審人の所為に対しては,海難審判法第4条第2項の規定により,同法第5条第1項第3号を適用して同人を戒告する。





日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION