日本財団 図書館




 海難審判庁採決録 >  2005年度(平成17年度) >  乗揚事件一覧 >  事件





平成17年神審第52号
件名

モーターボートデンマシャイン乗揚事件(簡易)

事件区分
乗揚事件
言渡年月日
平成17年9月21日

審判庁区分
神戸地方海難審判庁(甲斐賢一郎)

副理事官
山本哲也

受審人
A 職名:デンマシャイン船長 操縦免許:小型船舶操縦士

損害
船体中央部右舷側に亀裂,船底船尾部右舷側に破口

原因
船位確認不十分

裁決主文

 本件乗揚は,GPSプロッターに記録した航跡をたどって荒天避難する際,船位の確認が不十分で,浅瀬に著しく接近したことによって発生したものである。
 受審人Aを戒告する。

裁決理由の要旨

(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
 平成17年4月2日21時10分
 香川県引田港東方沖合
 (北緯34度14.2分東経134度26.4分)

2 船舶の要目
船種船名 モーターボートデンマシャイン
全長 9.50メートル
機関の種類 ディーゼル機関
出力 169キロワット

3 事実の経過
 デンマシャイン(以下「デ号」という。)は,船体中央に操舵室を設けたFRP製モーターボートで,平成17年4月に交付された小型船舶操縦免許証(一級,特殊,特定)を受有するA受審人が1人で乗り組み,知人2人を同乗させ,夜釣りの目的で,船首0.5メートル船尾0.4メートルの喫水をもって,平成17年4月2日16時00分岡山県岡山港を発し,香川県引田港東方沖合に向かった。
 A受審人は,天気予報で風が強くなることを知っていたので,夜釣り途中で荒天となったときは引田港に避難しようと考え,一旦同港に入港したあと,17時10分引田港を出港し,17時30分引田鼻灯台から078度(真方位,以下同じ。)1.79海里の地点に至って松島付近の釣場で投錨し,引田港からの航跡をGPSプロッターに記録した。
 こうして,A受審人は,同乗者とともに,投錨したまま魚釣りを行っていたが,21時前から南東の風が強まってきたので,揚錨して引田港に向かうこととした。
 21時00分A受審人は,前示投錨位置を離れ,自らの手動操舵で松島と同島西側の小島の間を抜け,同時03分引田鼻灯台から081度1.75海里の地点に至って,機関を回転数毎分1,000の4.0ノットの対地速力として,GPSプロッターに記録した引田港からの航跡をたどるように針路を222度に定めて進行した。
 GPSプロッターに記録した航跡をたどる操船方法は,発航地に無難に戻ることが容易であったが,風などで圧流される場合は,船位の確認を十分に行い,その圧流量を修正する必要があった。
 定針したとき,A受審人は,GPSプロッターに記録した航跡をたどるよう針路を定めているので大丈夫と思い,その後の船位の確認を十分に行わないまま,南東の強風を左舷に受けて圧流され,実効上の針路が247度となり,通念島東側の浅瀬に著しく接近することとなったが,波が高くなった海上で進行方向を維持して操船することに気を奪われていたので,このことに気付かないまま続航した。
 21時10分少し前ふとGPSプロッターを見たA受審人は,通念島に接近しすぎていることに危険を感じて左舵をとろうとしたが,21時10分デ号は引田鼻灯台から085度1.4海里の地点において,原針路,原速力のままその船底を浅瀬に乗り揚げた。
 当時,天候は雨で風力5の南東風が吹き,潮候はほぼ低潮時で,波高1.5メートルの波があった。
 乗揚の結果,船体中央部右舷側に亀裂を,船底船尾部右舷側に破口をそれぞれ生じた。

(原因)
 本件乗揚は,夜間,香川県引田港北東方沖合において,GPSプロッターに記録した航跡をたどって引田港に荒天避難する際,船位の確認が不十分で,通念島東方の浅瀬に著しく接近したことによって発生したものである。

(受審人の所為)
 A受審人は,夜間,香川県引田港北東方沖合において,南東の強風を左舷に受ける状況下,GPSプロッターに記録させた航跡をたどって引田港に荒天避難する場合,風圧流により浅瀬に圧流されないよう船位の確認を十分に行うべき注意義務があった。しかしながら,同人は,GPSプロッターに記録した航跡をたどるよう針路を定めているので大丈夫と思い,船位の確認を十分に行わなかった職務上の過失により,通念島東側の浅瀬に著しく接近して乗揚を招き,船体中央部右舷側に亀裂を,船底船尾部右舷側に破口をそれぞれ生じさせるに至った。
 以上のA受審人の所為に対しては,海難審判法第4条第2項の規定により,同法第5条第1項第3号を適用して同人を戒告する。





日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION