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山田早苗コレクション ―第2報―
内田 誠
 前報(海事博物館研究年報No.32, 2004)に引き続き、「山田早苗コレクション」について概説いたします。2004年10月に山田早苗先生から船舶資料集「山田早苗コレクション」を寄贈いただきましたが、きっかけは1998年1月の関西造船協会(現日本船舶海洋工学会関西支部)新年特別講演会・懇親会の席上にまで遡ります。山田先生がコレクションの寄贈を神戸商船大学(当時)にと願っておられましたが、懇意にされていた小野政雄氏(元三菱重工神戸造船所)を通じて南波壯八氏(元三菱重工神戸造船所)に適切な人物「継続的に責任を持って資料の管理をできる若者」の紹介を依頼され、南波氏が先の懇親会の席上で筆者に声をかけて下さいました。1998年2月6日には小野氏、南波氏と共に筆者が山田先生のご自宅に伺い、将来的な寄贈・受入について約束いただき、約6年を経て結実しました。寄贈にあたって山田先生が望まれたことは、1)戦争遺族による調査や戦没商船の行動研究等々への積極的な協力と情報提供の継続、2)コレクションの散逸防止、3)第三者による二次利用の防止の3点ですが、同時に、山田先生の意向を最大限尊重しつつ海事博物館の判断により所蔵品として活用することにもご理解いただきました。
 
写真 山田先生の少年時代、報国丸船上にて、妹豊子さんと共に
 
 2005年10月に開催された海事博物館一周年記念講演会の第5回講演「山田早苗コレクション」には、山田先生ご本人は残念ながらご出席いただけませんでしたが、一般参加者に混じって山田久子様(奥様)、菅豊子様(妹様、東京より)、山田耕一様(息子様)にもお越しいただき、これまでご本人しか把握されていなかったコレクションの全体像を紹介したところ、執念とも言える偉業にご家族として改めて感心されていました。また、海事博物館内に新たに設けられた「山田早苗コレクションコーナー」では、一つ一つの資料を確認されるように丁寧に閲覧されていました。
 紙面を借りて、山田先生、小野氏、南波氏、山田先生のご家族の皆様方に改めて御礼申し上げます。
 
【山田早苗コレクションの構成】
(太字表記はコレクションの核となる資料)
日本の商船隊行動記録集:S20.8.15.(終戦)までに建造された日本商船で、逓信省の船名録に記載があるものの内、500GT以上の船舶、約4,600隻の行動記録集 ファイル 20冊
船主別所有船舶写真集 ファイル  11冊
キャビネ版船舶写真集 ファィル 14冊
船舶絵葉書集 ファイル   2冊
船舶写真ネガアルバム (ネガ1,428本、約8,500コマ ファイル 16冊
船舶模型:1/600スケール洋上模型 模型船  102隻
船名検索ノート 1冊
船主別写真目録 1冊
日本商船隊の懐古:「船の科学」掲載記事 ファイル   5冊
「船の科学」掲載済船名 1冊
日本船名録:逓信省 明治23年〜昭和18年 22冊
日本汽船件名録 3冊
日本貨物船明細書:昭和16年 1冊
ロイド船級録:1936年 1冊
遭難船舶一覧:大正7年 1冊
船舶出航予告表:新聞記事 明治20年〜昭和16年 18冊
大阪商船出港予定 2冊
戦史叢書:防衛庁 朝雲新聞社 49冊
陸軍徴傭船舶行動調書 2冊
船舶模型写真:浅間・新田丸、吉林・報国・ぶらじる丸ファイル 2冊
船内図:あるぜんちな・ぶらじる・報国・愛国丸ファイル 1冊
船のパンフレットファイル 2冊
船内食堂メニュー・船内絵はがきファイル 1冊
雑誌「海」:大阪商船 昭和2年〜昭和17年 多数
雑誌「モーターシップ」:昭和13年〜昭和14年 23冊
造船所、船会社社史 多数
 
 「山田早苗コレクション」の核となる資料「日本の商船隊行動記録集」に掲載されている情報ならびに写真情報について、海事博物館が以前より船模型を所蔵している「うらる丸」を一例にご覧下さい。
 
船舶写真ネガアルバムより
(133番ネガフィルム − 第2コマ が 「うらる丸」)
 
 
日本の商船隊行動記録集「うらる丸」のページ(全2ページより)
 
(拡大画面:197KB)
 
(拡大画面:146KB)


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