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受講者感想文
受講者の皆様に感想をお寄せいただきました。
紙面の都合で一部をご紹介します。
 
ペアレントメンターの養成講座に参加して
三重県支部 中野 喜美
 
 ペアレントメンターってあまり聞いたことはなかったのですが、メンターというのは「信頼のおける相談相手」という意味だそうです。
 私たちは、自閉症協会に入って、同じような子どもを授かった仲間同士ということで、安心して辛いことを聞いてもらったり、情報を交換したりしています。それで元気をもらったり、知らないことを教えてもらって助かりますが、これも立派なペアレントメンターです。
 自閉症児者を授かった親が一人で悩まなくて良いように、当事者同士が支えあうことがとても重要かつ有効であることから、この事業に助成がついたようです。
 相談を受けるにあたって、当事者同士が、それなりのカウンセリング技術 知識 心構えなどを備えていれば益々心強い支部になります。
 
 まず、メンターとして相談を受ける時、相談者が今どんな状態かどんな時期にいるかを知らなければなりません。例えば子どもに障害があると診断された時、それを受け入れることができずに苦しい時、障害を周りに理解されず悲しい時、子どもとどう向き合ってよいか迷っている時、どのような時期にいて何を訴えたいか 言葉の裏にあるものを五感を使って聴き取ることが大切です。
 信頼関係を確立するためには
共感 同情とか同感ではない 同調して盛り上がることでもない
傾聴 相手のものの見方、考え方、気持ちに耳を傾ける
共感を言語化する 要約、言い換え、理解の確認
が求められます。
 そして、子どもの年齢と親の年齢で考え方は違いますし、こどもの状態や親の性格でも感じ方は異なりますから、アドバイスをするとしたら注意深い配慮が必要です。ですから「共感」「傾聴」して、相手が話を聞いてもらいながら自分で最終判断を見つけられるような方向付けができるのが良いということです。
 また、時間は長くなるとお互いに大変ですから、30分位をめどに時間を区切ることも有効だということです。
 私たちに出来ることは、とても小さな部分ですが重要な部分です。
 相談者が、穏やかな気持ちで子どもと向き合えるように支えることができればすばらしいことですが、私たち一人ひとりが支援できることは限られています。
 そこで、大事なポイントは今回の講座でも提案されました「リソースブック」です。
 「リソースブック」とは、それぞれの地域の身近にあるすぐ役に立つ情報が詰まった便利帳です。
 本当に便利なものにするためには、まず自分たちが必要で確かな情報を収集する所からはじめなければなりませんが、三重県支部として取り組んで温かみのあるリソースブックを作成し、会員みんながお互いに支えあえるようにペアレントメンターの意識をもてればいいなぁと思います。皆さんも今回の講座の資料を是非活用してください。
 
「ペアレントメンター養成講座」に参加して
横浜市支部 田中 明子
 
 このたびは、「ペアレントメンター養成講座」に参加させていただき、ありがとうございました。
 私は、支部事務局の係をしています。
 支部連絡先として自宅を公表していますので、いろいろな内容の電話がかかってきます。十人十色の質問や相談、専門機関や地域資源の紹介依頼、入会申込み・・・。かけてくる方は非会員の親御さんがほとんどですが、たまに親以外の一般の方やご本人さんからもあります。(会員からは意外と少ないです。)市内ばかりでなく全国からも問い合わせが来ます。支部の顔として誠意を込めお答えしているつもりですが、なかには自信を持って対応することができない場合もあり、日々難しさを痛感しております。
 今回の「ペアレントメンター養成講座」の中で、武藤先生の「相談の技術と基礎知識」はとても参考になりました。今日から即使える実践的な内容でした。先生の的確な相談者としての姿勢と、ことばの深さに感銘いたしました。話術は技術、緻密な配慮と信頼の賜物だと感じました。
 ロールプレイングでは、講義で教えていただいたことを心がけてやってみました。未熟ではありますがだいぶ要領がわかりました。反省を向上に変えて実践に役立てたいと思います。また、各地から参加された皆さんと楽しく学び、みんな同じ立場で悩んでいることがわかり、仲間意識を感じました。今後、回を重ねるごとに横のつながりも広げることができたら、と期待するところです。
 リソースブックも作らなければ・・・3人のお母様方、研究発表ご苦労様でした。
 ペアレントメンターの役割は、技術に基づき同じ親として話を聞き、共感する。できれば、さらに何らかの方向を一緒に考えてあげたり、話すことで、当事者が思いを整理することができたら。また、多くの方にいろいろな情報を提供すること。
 どのくらい役に立つかわかりませんが、受話器の向こうの不安と悩みをかかえている方へ、安心の一つとなれるよう、気持ちを引き締めて向き合ってみようと思います。
 また、ペアレントメンターの事業を、支部としてどのように展開していくか、今後の課題としてとらえていきたいと思います。
 
 ありがとうございました。
 
自閉症児者の家族支援のための人材養成2005
 
企画運営委員
阿部美喜子(日本自閉症協会福島県支部事務局長)
井上雅彦(兵庫教育大学)
氏田照子(日本自閉症協会副会長)
大岩香代子(東京都発達障害者支援センターTOSCA)
永井洋子(静岡県立大学・日本自閉症協会相談事業担当)
中村文子(日本自閉症協会東京都支部支部長)
野尻美夏(日本自閉症協会横浜市支部支部長)
日詰正文(長野県精神保健福祉センター)
横山美香(日本自閉症協会三重県支部事務局長)
与那嶺泰雄(千葉県発達障害者支援センターCAS)
事務局
田中奈緒子(日本自閉症協会)


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