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《第五章》
学校卒業後
相談のポイント
・就労や住居の心配
・成年後見制度
・問題行動と医療対応
 
掲載されていると便利な情報
働き場
地域の施設(作業所・デイサービス等)
就労支援機関
就労・自立生活支援センター、職業センター、職業訓練所等
公共職業安定所(ハローワーク)
労働基準監督署
特例子会社・福祉工場
住むところ
グループホーム
入所施設
成人判定・年金手続き
更生相談所
地域福祉権利擁護事業
福祉サービス利用支援サービス、日常金銭管理サービス、財産保全サービス
成年後見制度利用援助事業
 
養護学校における進路と現状について(都立八王子養護学校)
(1)進路の現状
 東京都立八王子養護学校は全校児童生徒数218名(H17年現在)の小・中・高等部の養護学校です。内訳は小中学部115名、高等部103名、学区域は八王子の南部地域をのぞき全市にわたっています。
 障害も重度重複化の進行に加え多様化しており、個々のニーズに対応していくためには日頃から各学部(小学部・中学部・高等部)、諸機関(福祉・労働・行政)との連携が欠かせないものとなっています。
 義務教育終了後はほとんどの生徒が高等部に入学してきます。高等部卒業後の進路先については、大きく分けて「一般企業」「進学」「福祉就労(都立・民間)」「その他」となっています。16年度の卒業生30名に対して、企業就職者11名、進学者1名、福祉就労者11名(都立2名・民間9名)、その他7名となっています。ここでいう「その他」は、主に本校が施設提携校となっている多摩藤倉学園(児童)の内部作業所に従事する学園利用生を示します。
 前述したように卒業後の進路を決定するにあたり、在学中より個別移行支援計画等を利用しながら保護者・諸機関・学校と連携を図り、何より本人の意思を尊重しながら進めています。
 
(2)進路の課題とその対応
 「福祉就労」の八王子地区の特色として、民間の小規模作業所が約40ヶ所存在し、進路先については数的に切迫した状況にはありません。しかし、小規模作業所に多く見られるように、指導員数を含む環境面においては決して恵まれておらず、問題行動や頻繁な発作等を有して支援を多く必要とする生徒については、デイサービスとの併用を薦める等、進路先の確保には苦慮している状況です。
 「企業就労」をしている者については、一般事務等の業務も少しづつ増えてきていますが、外食産業を中心としたサービス業に進む生徒がほとんどであり、このあたりも郊外型の八王子の地域性を表しています。それ以外の業務を希望する場合には、1時間以上の通勤時間をクリアする必要があり、ラッシュ時の交通機関を利用しての長時間通勤に耐えることも一つの課題であるといえるでしょう。又、企業就労する際にも、地域デイグループに在籍する等、卒業後の地域の情報を取得し易い環境をつくっておくための配慮をし、就労不適応で離職を余儀なくされた場合にも対応できるよう指導をおこなっています。
 
(3)自閉症児の進路の現状と課題
 「企業就労」については、現場の方に実習中に十分に理解していただいた上で、調整を取っていき雇用に結びつけていただいています。就労先で単純作業では力を発揮することができますが、作業内容がめまぐるしく変わる環境では順応しにくく、現場の従業員などとのコミュニケーション面でもよほどの理解がないとうち解けることは難しい場合が多く見られます。
 「福祉就労」をしている者は、学校や家庭ではある程度個人レベルで対応することが容易ですが、施設・作業所では集団の中に入った時環境に順応しにくい方もあります。「自閉症児」では当然のことではあるものの、そのことを捉えて十分に連携を取っていれば解消できることもあるので、いかに連携ということが言葉だけでなく必要であるかを実感しています。
 
(4)進路を踏まえ身につけておきたい力、心がけたいこと
 障害の有無に関係なく、社会に出るということは「マナー」を身につけることが大変重要になります。「マナー」を身につけると言葉で言うことは簡単ですが、例えば高等部3年生で卒業前に即座に身に付けさせることは困難であると思います。長い時間をかけて生活や体験の中で繰り返し、体で覚えていくことが必要と思われます。
 最も大切なことは「基本的生活習慣の確立」だと考えています。卒業後にどんな進路を取るにせよ、形は違っても「就労」をすることは避けられません。そのためにも生活習慣はしっかりと身につけておく必要があります。
 「進路」という言葉だけ聞くと、高等部以降の問題の様に捉えられがちですが、小学部段階より数年後の課題を見据えた課題に取り組む姿勢が大切であるといえるでしょう。今年度より、盲・ろう・養護学校で策定実施となる「個別支援計画」等も利用しながら、保護者・学校・関係諸機関の連携のもと、長期的視野を持って取り組んでいく必要が感じられます。
 
主な福祉施設等の種類と内容について(平成17年3月現在)
 知的障害者(児)のために種々の施設があり、生活訓練や職業訓練などを行っています。
種別 内容 問い合わせ先
知的障害者更生施設
(入所・通所)
18歳以上の知的障害者のための施設で、更生に必要な指導や訓練が行われます。(施設訓練支援費) 各施設
支援費については、各市町窓口
知的障害者授産施設
(入所・通所)
18歳以上の知的障害者のための施設で、雇用される事が困難な方に自活に必要な訓練が行われます。(施設訓練支援費) 各施設
支援費については、各市町窓口
知的障害者通勤寮 就労している知的障害者に対し、居室その他の設備が利用できるとともに、独立及び自活に必要な助言や指導を受けることが出来ます。(施設訓練支援費) 各施設
支援費については、各市町窓口
知的障害者福祉ホーム 住居を求めている知的障害者のための施設で、低額な料金で居室その他の設備が利用できるとともに、日常生活に必要な便宜をうけることが出来ます。 各施設
知的障害者地域生活援助事業(グループホーム) 数名の障害者が世話人の援助(食事の提供、身の回りの世話など)を受けながら、マンション等を借りて共同生活を行うものです。(居宅生活支援費) 各施設
支援費については、各市町窓口
知的障害者福祉工場 作業能力はあるものの、対人関係や健康管理等の理由により、一般企業に就労できない知的障害者のための施設(通所)で、生活指導や健康管理等に配慮された環境の下で働くことにより、社会的自立が促進されること目的とします。 各施設
雇用契約を結ぶ
知的障害者デイサービスセンター 地域において就労が困難な在宅の知的障害者が通所して、文化的活動や機能訓練等を受けることができます。(居宅生活支援費) 各施設
支援費については、各市町窓口
知的障害者小規通所授産施設 常時利用する人が10人以上20人未満の知的障害者通所授産施設で、社会福祉法人、NPO法人が運営を行います。 各施設
知的障害者小規模作業所 親の会等が運営し、知的障害者の特性に応じた作業指導や生活訓練を行います。 各施設
※平成17年3月現在のものです。平成18年10月に施設体系の改正が行われる予定です。


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