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2・4・2 検査の申請
(1)検査の申請者
 各種検査の申請義務を有する者は、その検査の種類に応じて下記のとおりである。
 
検査の種類 申請義務者
定期検査、中間検査、臨時検査 船舶の所有者
予備検査 物件の製造者又は修繕者
(レーダーの場合はレーダーメーカー)
 
(2)検査の申請手続き及び提出書類
 検査の種類に応じて、所定の様式による検査申請書に定められた図面及び書類を添付して、管海官庁(地方運輸局等)に提出しなければならない。
イ 第1回定期検査
(i)船舶検査申請書・・・船舶安全法施行規則第31条第1項の規定に基づき、第4号様式。
(ii)船舶安全法施行規則第32条第1項第1号で規定された提出書類一式(この中には、レーダーの構造及び配置を示す図面が含まれている。)
(iii)提出先・・・船舶の所在地を管轄する地方運輸局又は運輸支局
ロ 第2回以降の定期検査及び中間検査、臨時検査
(i)船舶検査申請書・・・船舶安全法施行規則第31条第1項の規定に基づき、第4号様式
(ii)船舶安全法施行規則第32条第1項第2号で規定された提出書類一式(レーダーを変更しようとする場合のみ、構造及び配置を示す図面が必要。)
(iii)提出先・・・船舶の所在地を管轄する地方運輸局又は運輸支局
ハ 予備検査(レーダーメーカー等が申請する)
(i)予備検査申請書・・・船舶安全法施行規則第31条第4項の規定に基づき、第7号様式
(ii)船舶安全法施行規則第32条第1項第6号で規定されているレーダーの製造仕様書及び構造を示す図面
(iii)提出先・・・製造事業所の所在地を管轄する地方運輸局又は運輸支局
(3)航海用レーダー等の検査の準備
 検査申請者は、検査を受けるべき事項について検査の準備をしなければならない(施行規則第23条)。定期検査及び中間検査を受ける場合、航海用レーダー等を含む航海用具については、「効力試験」の準備をしなければならない(船舶安全法施行規則第24条第6項並びに同規則第25条第1項第6号及び同条第2項第6号)。
(4)航海用レーダー等の効力試験
 航海用レーダー等に係る効力試験については、次のとおりである。
(a)第1回定期検査(船舶検査の方法B編による。)
イ 航海用レーダー(設備規程146-12、航海用具告示8)
 次の検査を行う。
(i)磁気コンパスに対し、その航海用レーダーに示されている安全距離が保たれていること。ただし、当該安全距離が保たれていない場合であっても、航海用レーダーを設備したことによって磁気コンパスに与える誤差が、当該レーダーに電源を入れた状態と電源を切った状態にかかわらず軽微なもの(自動衝突予防援助装置及び自動操だ装置に電源を入れた状態と電源を切った状態とのいずれにおいても、これらの装置及び航海用レーダーによる誤差が、あわせて0.5度以内を標準とする。)であれば安全距離を保っていることとして、差し支えない。
(ii)オートプロッターを有しない航海用レーダーにあっては、プロッティングを行うためのグリスペン等、必要な器具類が備えられていることを確かめる。
(iii)導波管に*0.5〜1.0kg/cm2の圧力を30分以上かけ気密試験を行い、内気圧が、10%以上減少しないことを確かめる。
*SI単位では50〜100kpa(キロパスカル)で表す。
(iv)他の設備からの電磁的干渉により、レーダーの性能が妨げられないことを確認する。
 ただし、当該レーダーが電磁的干渉により性能が妨げられないことを資料等で証明された場合は、確認試験を省略して差し支えない。
(v)検査の方法附属書F(整備基準等)における「17. 航海用レーダー装備基準」及び「18. 航海用レーダー整備基準」により*1点検、効力試験を併せて行う。
ロ 電子プロッティング装置(設備規程146-14、航海用具告示9)
 次の検査を行う。
(i)磁気コンパスに対し、当該電子プロッティング装置に示されている安全距離が保たれていることを確かめる。ただし、安全距離が保たれていない場合であっても電子プロッティング装置を設置していることによって、磁気コンパスに与える誤差が、当該電子プロッティング装置に電源を入れた状態と切った状態にかかわらず、軽微なもの(航海用レーダー及び自動操舵装置に電源を入れた状態と電源を切った状態とのいずれの状態においても、これらの装置及び電子プロッティング装置による誤差が合わせて0.5度以内を標準とする。)であれば、安全距離を保っていることとして差し支えない。
(ii)手動で適当な物標をプロットし、プロットした計算結果をベクトル及び数値又は文字で表示することを確かめる。
(iii)航海用レーダー同様「17. 航海用レーダー装備基準」及び「19. 電子プロッティング装置、自動物標追跡装置及び自動衝突予防援助装置(以下、自動衝突予防援助装置等という。)整備基準」により*2点検、効力試験を行う。
ハ 自動物標追跡装置(設備規程146-16、航海用具告示10)
 次の検査を行う。
(i)航海用レーダーと自動物標追跡装置の表示の比較を各距離レンジについて行い、航海用レーダーの情報が正しく入力されていることを確かめる。
(ii)磁気コンパスに対し、当該自動物標追跡装置に示されている安全距離が保たれていることを確かめる。ただし、安全距離が保たれていない場合であっても、自動物標追跡装置を設置していることによって、磁気コンパスに与える誤差が、当該自動物標追跡装置に電源を入れた状態と切った状態にかかわらず、軽微なもの(航海用レーダー及び自動操舵装置に電源を入れた状態と電源を切った状態とのいずれの状態においても、これらの装置及び自動物標追跡装置による誤差があわせて0.5度以内を標準とする。)であれば、安全距離を保っていることとして差し支えない。
(iii)自動物標追跡装置に必要な情報が航海用具(ジャイロコンパス及び船速距離計)から正常に伝達されていることを確認する。
(iv)航海用レーダー同様「17. 航海用レーダー装備基準」及び「19. 電子プロッティング装置、自動物標追跡装置及び自動衝突予防援助装置(以下、自動衝突予防援助装置等という。)整備基準」により*2点検、効力試験を行う。
ニ 自動衝突予防援助装置(設備規程146-15、航海用具告示11)
 次の検査を行う。
(i)航海用レーダーと自動衝突予防援助装置の表示の比較を各距離レンジについて行い、航海用レーダーの情報が自動衝突予防援助装置に正しく入力されていることを確かめる。
(ii)磁気コンパスに対し、その自動衝突予防援助装置に示されている安全距離が保たれていることを確かめる。ただし、当該安全距離が保たれていない場合であっても、自動衝突予防援助装置を設置していることによって、磁気コンパスに与える誤差が、当該自動衝突予防援助装置に電源を入れた状態と切った状態にかかわらず、軽微なもの(航海用レーダー及び自動操だ装置に電源を入れた状態と電源を切った状態とのいずれの状態においても、これらの装置及び自動衝突予防援助装置による誤差があわせて0.5度以内を標準とする。)であれば、安全距離を保っていることとして差し支えない。
(iii)航海用レーダー同様「17. 航海用レーダー装備基準」及び「19. 電子プロッティング装置、自動物標追跡装置及び自動衝突予防援助装置(以下、自動衝突予防援助装置等という。)整備基準」により*2点検、効力試験を併せて行う。
*1:当協会の平成12年度以降の船舶電気装備技術講座〔レーダー〕装備艤装工事編第4章第4・2節から第4・9・5項まで参照又は航海用レーダー等認定事業場の「社内装備・整備標準」(以下、社内標準という。)第2章及び第3・1節参照。
*2:平成16年度以降装備編第4章第4・10節から第4・10・3項まで参照又は社内標準第2章及び第3・2節参照。
 
ホ 船舶自動識別装置(設備規程146-29、航海用具告示24)
 次の検査を行う。
(i)磁気コンパスに対し、当該自動船舶識別装置に示されている安全距離が保たれていることを確かめる。
(ii)表示器にエラー表示がされていないことを確かめる。
(iii)静的及び動的な情報が正しく記録されていることを確かめる。
(iv)時分割多元接続方式による送受信が、衛星航法装置信号の協定世界時に直接同期していることを確かめる。
(v)自己診断機能により機能が正常なことを確かめる。
(vi)自船位置が地域周波数設定海域内である場合には、指定された地域周波数で動作していることを確かめる。
(vii)一つのセンサーデータの取り込みを停止させた場合、警報機能が正しく動作することを確かめる。
(viii)船舶自動識別装置搭載船舶または船舶自動識別装置陸上局が近くにある場合は、その方位、距離、船名(局名)が正常に表示されることを確かめる。
(ix)航海用レーダー同様「20. 船舶自動識別装置及びこれに接続された衛星航法装置整備基準」により*3点検、効力試験を併せて行う。
*3:当協会の平成16年度以降の「船舶電気装備技術講座〔AIS、VDR、GPS〕編」第3章第3・4節から第3・4・3節まで参照又は航海用レーダー等認定事業場の「社内装備・整備標準 船舶自動識別装置及びこれに接続された衛星航法装置編」第3章第3・1節から第3・1・3まで参照。
ヘ 衛星航法装置(設備規程146-24、航海用具告示18.19)
 次の検査を行う。
(i)磁気コンパスに対し、当該衛星航法装置に示されている安全距離が保たれていることを確かめる。
(ii)表示器にエラー表示がされていないことを確かめる。
(iii)位置情報を航海用具等に接続している場合は、伝達できることを確かめる。
(iv)航海用レーダー同様「20. 船舶自動識別装置及びこれに接続された衛星航法装置整備基準」により*4点検、効力試験を併せて行う。
*4:当協会の平成16年度以降の「船舶電気装備技術講座〔AIS、VDR、GPS〕編」第5章5・4節から第5・4・3節まで参照又は航海用レーダー等認定事業場の「社内装備・整備標準 船舶自動識別装置及びこれに接続された衛星航法装置編」第3章第3・2節から第3・2・3節まで参照。
 
ト 航海情報記録装置(設備規程146-30、航海用具告示25)
 次の検査を行う。
(i)保護カプセルは、船橋近くの外部甲板上で、障害物となり得る構造物を避け、可能な限り船の中央線の近くに据え付けられていることを確かめる。また、カプセルの離脱装置の位置が適切であり、再帰反射材、注意銘板が正しく取り付けられていることを確かめる。
(ii)磁気コンパスに対し、保護カプセルに示されている安全距離が保たれていることを確かめる。
(iii)磁気コンパスに対し、保護カプセル以外の各ユニットに示されている安全距離が保たれていることを確かめる。
(iv)マイクロフォンが正しく動作していることを確かめる。
(v)いずれかのセンサーからデータが途絶えた場合、可視可聴警報が発せられることを確かめる。
(vi)必要な情報が正しく記録されていることを確認する。(設備規程146-30、用具告示25)この場合リアルタイムモニター表示器で確認しても差し支えない。または、製造者によるリモート・アクセスによって取得したデータを確認しても差し支えない。
(vii)船舶固有のデータを確認する。
(viii)自己診断テストを実行し、機能が正常なことを確かめる。
(ix)非常電源に接続されていることを確認する。非常電源が断となった時に警報を発することを確かめる。非常電源が復帰後1分以内に通常動作に戻ることを確かめる。
(x)航海用レーダー同様「21. 航海情報記録装置整備基準」により*5点検、効力試験を併せて行う。
*5:平成14年度以降の「船舶電気装備技術講座〔AIS、VDR、GPS〕編」の第4章第4・4節から第4・4・3節まで参照又は航海用レーダー等認定事業場の「社内装備・整備標準 航海情報記録装置編」第3章第3・1節から第3・4節まで参照。
 
(b)第2回以降の定期検査及び中間検査
・表の中で使用される用語のうち関連する用語の定義は次による。
(a)「第2A種中間検査」とは、定期検査合格後2回目又は3回目の第2種中間検査及び当該第2種中間検査合格後3回目の第2種中間検査をいう。(表中Aで表す。)
(b)「第2B種中間検査」とは、毎年検査基準日の前後3ケ月以内のいずれかの日に行う第2種中間検査をいう。
(c)「第3種中間検査」とは、条約適用船で船底検査等分離して行う中間検査をいう。
(d)「特1中」とは、旅客船について毎年行われる第1種中間検査のうち、機関、電気、救命設備、海上運転等の強化された検査を行う第1種中間検査をいい、定期検査合格後2回目又は3回目の時期とする。







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